西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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犬。スレッドを改めて一枚。奥に見える妙な円筒状物体は19世紀末のドイツ製陶製暖房器具。現在はなかに電気ストーブを仕込んでいるとのこと。絨毯はもちろんペルシャ。ピアノは年代物のエラール(いまだ現役)。演奏が始まるとワンコはピアノの下で寝っ転がるそうです。全体、優雅であります。
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雑。屋内での幽霊出現のホットスポットといえば階段周辺であります。真夜中に階段をおりていくと一番下で幽霊に会えるとか、その種のフォークロアには事欠きません。上界と下界をつなぐ装置は不意に起動して魂をとりこむのであります。面白や、と。
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ウェストミンスターの宿屋には、青いタフタ織のドレスの裾をつまんで階段を上ってくる金髪縦ロール美少女の幽霊が出るとオカルトレヴュー誌の報告。階段を下りる人をすり抜けると、振り返って軽くお辞儀をするそうで、育ちがよいとの評判。英国の幽霊は一味違うのであります。
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雑。dragonism なる名詞。調べるに「舞踏会などで、若い女性につきそう強面の年長婦人が群がってくる男どもをけん制し、蹴散らす作業」を指す模様。ようするに宝物を守るドラゴンの仕事なのでしょう。19世紀末、自転車が普及するとお姫様がドラゴンを振り切って暴走するようになります。面白や、と。
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猫。読者対象がいまひとつ不明な童話は面白いような迷惑なような。ブラボーン卿の「猫男」(1886)は妖精を怒らせて猫に変身させられた中年男性の苦悩と解放を描く中編。解呪条件もややこしく、年少読者には難解な文体がえんえんと。サンボーンの挿絵も妙にリアルなタッチで不気味なのであります。
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#宝石言葉 がトレンドにあるので。 とりあえず調べますと1846年のオズグッド詩集にそれらしきものがありました。花言葉が流行るなか宝石がすねてるぞ、「宝石は決して枯れない花」だぞ、と。そしていろいろな宝石の特徴を宝石言葉として述べていくという趣向。興味深し。
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ダイヤは鋭い天才の輝き、 サファイアは真理、ルビーは情熱 クリソライトは嫉妬、エメラルドは若さゆえの希望 バラ色のカーネリアンは慎み、トパーズは悦び 真珠の純潔、オパールの移り気 トルコ石の静謐、ベリルは光の美 闇に輝くカーバンクルは信仰 紫に輝くアメジストは高慢 ジェットは弔いの悲しみ
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#宝石言葉 関連でゾディアックストーンも出しておきましょう。以前紹介したパヴィット『タリスマンの書』(1922)から。  もうすぐカニ乗りおやじの巨蟹宮が到来しますので、対応宝石であるムーンストーンやキャッツアイが力を帯びるのであります。誕生石とは少し発想が異なるところが面白いのです。
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#宝石言葉  先程紹介した『タリスマンの書』の著者パヴィットは20世紀前半に活躍したロンドンのオカルト宝飾店の経営者でもありました。照応論に則った護符系宝飾や結社の徽章などを作製して評判を博しておったのです。図はオークション等に登場したパヴィット作の逸品たち。
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#宝石言葉 もう少しこの話題を。  王侯貴族がぶっとい指にルビーやエメラルドの指輪をはめるのは、護符的意味合いが強いとのこと。毒物の具体的接触は金銀の変色で察知し、将来的な暗殺や凶事はルビーの輝き方で判断するという伝承があります。悪霊、生霊の類はサファイアで撃退とのこと。
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さてミツバチの巣別れの季節。分蜂の群れがやってきたお家は名誉にしてアンラッキーなり、というのが英国の伝承にあります。流浪の女王様と忠義の家臣たちをお迎えするのであります。光栄ですがトラブル必至ということでしょう。養蜂文化は異文化接触の面があり、魔術的にも面白うございます。
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雑。妖精の成長に関しては諸説あるようです。ベースとなる植物によって決定されるのだとか。小妖精がやがて一帯を統べる神霊に進化するとの見解もございます。図は1911年のスポフォード『妖精の取り換え子』から、ファニー・コーリーが描く妖精たち。右端はフェアリー・レディー。
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猫。今年ももう少しで夏至。この時期に猫の国へのゲートが開き、身寄りのないおばあさんが招待される伝承は紹介しましたが、猫の国から愉快な猫たちが派遣されてくるお話もございます。七匹の魔法猫がおばあさんを助ける「ウィギンズ夫人」のお話を長い黄昏のなかでゆっくりと味わうのも楽しいのです。
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弓。この時期のヴィクトリア朝英国。快適なトワイライトの過ごし方としていいとこのお嬢様方によるアーチェリー大会が開催されます。銃砲の普及によって弓術が上流階級の趣味に昇華した結果とのこと。有力貴族や王族を名誉会長に据える弓術クラブも登場。左は芳紀二十歳のヴィクトリア女王。
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先程カーナビが「今日は #恋人の日 」と口走りましたので、おなじみタロットの「恋人」を紹介するのであります。図は当館謹製「W. T. ホートンタロット」から。スコットランドで作製された限定50部の珍品のため、いまでは入手はほぼ不可能でありますーー
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雑。『セントニコラス』誌には結構皮肉っぽい作品も掲載されています。「子猫の一年」というイラストポエムでは、「毛玉ふわふわ可愛いこねこ、一年たてばはいこのとおり、不細工おとなねこ」。子供になにを教えたかったのか。もちろん自分はふとりたおした不細工ねこも可愛いと思っております。
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メモ代わり。「(悪党は)畳の上では死ねない」の照応英文として Lawyers and asses always die in their shoes を参照。「弁護士とロバはいつも靴をはいたまま死ぬ」。弁護士さんに不幸があったときにランカシャーで用いられる言い回しとのこと。面白や、と。
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雑。さて夏至近し。この時期のスコットランドでは女子が目当ての男の生霊を誘い込むべく、真夜中にターゲットの好物でテーブルセッティングしてドアを開けるおまじないがあります。うまくいくと男の生霊がやってきて家に入り、お辞儀をしてから帰るそうです。違う男が来たら蹄鉄で殴るとのこと。
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ナーサリーマジック。一人っ子のドットは「あたしがふたりいると思って」と両親にお願いし、自分そっくりの人形も使って「ふたりごっこ」を始めてしまいますーー無自覚なサイコホラーと呼ぶべきでしょうか。かなり怖いです。バターワース『ファイアライト物語』(1882)から「ふたりごっこ」。
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雑。パンドラの箱の描き方もいろいろあって面白いのです。オリーブ・アレンが描くのは好奇心あふれる少女。クララ・M・バードのパンドラは蓋を全体重で押さえ込みにかかります。旅行前の無理な荷造りのようです。出てくる災厄たちはどこかユーモラス。
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雑。ジューンブライド関連。結婚指輪の伝承。  レザーリング。恋人と逃げる花嫁が自分の手袋の指を輪切りにして急ごしらえしたという故事にちなみ、一時期流行したとのこと。手袋の残骸を追っ手にたたきつけて挑発するまでがワンセットだそうで、なかなかドラマチックであります。
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雑。以前も紹介しました19世紀の夏場のロンドンの風物詩「バイアブルーム」。フランドルからやってくる箒売りの女性たち。  ナーサリーという聖域で育つ良家の坊ちゃま嬢ちゃまにとって、ガラス窓越しに見る「路上職」の人々は異形にして異能、異世界からの誘惑者としての属性を有していてーー
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――子供たちの異界巡りのガイド役を任されること多し。煙突掃除人、街灯点灯人、猫肉屋、箒売りなどなど、ロンドンの路上職の風俗をまとめるカタログは事実上の魔物図鑑として機能するのであります。このあたり、ナーサリーマジックのグリモワール事情なり、と。
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雑。「夏の宵、薔薇と働く蜂」と題される絵葉書(c1900)。お客様に庭先のビーハイブに棲む蜂たちを紹介しているのでしょう。蜂は家族の一員として遇されるのであります。アフタヌーンティーの際に蜂たちが集めたハニーでスコーンをいただくのがお洒落かと。つきあわされるネコは迷惑そうです。
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こちらは「メニー・ハッピー・リターンズ、あなたに幸運が微笑みますように」というお誕生日向き絵葉書。ミツバチは「勤勉がもたらす幸福」「ヴェヌスの力を収穫する者」であり、基本的にラッキーなのです。ミツバチに刺される人は「おまえがわるい」と言われるのが普通であります。