西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

626
ナーサリーマジック。ベストン『ファイアライト童話集』の一篇「雲の羊飼い」。空に浮かぶ雲は実は巨大な羊で、それを統べる羊飼いがいるという物語。その仕組みに巻き込まれた青年のお話ですが、清冽な空気と大空の爽快感の描写が秀逸。天候のメカニズムを想像するのは重要な作業であります。
627
雑感。なんどもとりあげております「三匹の熊さん」。老婆あるいは少女がクマの家に入り込んで狼藉を働くわけですが、あれから得る教訓がひとそれぞれで面白うございます。こないだ聞いたのは「長居は無用」。犯行現場で昼寝など論外であると。絵はクマのサイズ感がいいパームリー読本(1918)から。
628
妖精。この時期、子供が妖精界にまぎれこんで楽しく遊ぶ話が多いのです。しかしそのうち「帰るの?」「帰りたいの?」「帰れると思ってるの?」と話は不穏な雰囲気に。夢落ちで終わればラッキーでしょう。絵はパームリー読本(1914)から。全体に漂うダークな感じがよろしゅうございます。
629
雑。実写版『アラジン』の放映があるそうで。以前も触れましたが、あれの舞台が北京でアラジン少年が中国人であるという部分は意外に抜け落ちているようです。図はランサムが1920年頃に出した韻文版『アラジンと魔法のランプ』から、ブレイクリー・マッケンジーの挿絵。悪い魔法使いは国籍不明。
630
お姫様の名前はベドレルブード。サルタンの娘とされていますが容姿はなんとも極東風。  精霊を指輪や壺に宿らせる術は昔から伝わっていますが、あそこまで芸達者なジーニーは出色の出来でありましょう。
631
再掲。アラジンの住む都を北京としている英語作品が多い印象。辮髪もよく見かけます。 twitter.com/MuseeMagica/st…
632
5月22日は #サイクリングの日 とのこと。  1890年代のロンドンでは若い女性の間で自転車が大流行。ブルーマー姿で暴走するニューガールたちが半ば社会問題化。月夜のサイクリングデートが憧れのロマンス行動だったようです。当時のオカルト関係者の間でも自転車保有率が高かったのであります。
633
雑。ヴィクトリア朝末期、自転車一大ブームの面白い副産物が風俗営業「ブルーマー・レストラン」。ブルーマー姿のウェイトレスがいるだけのお店ですが、それを目当ての紳士たちで繁盛したとのこと。1896年のスタンダード紙から。
634
結婚月に関する伝承 1月に結婚、いつも貧困 2月、いずれ再婚 3月、相手は大物 4月、釣りあい良好 5月、最後は険悪 6月、みんな羨望 7月、相手は貧乏 8月、時期は尚早 9月、とても裕福 10月、やたら健康 11月、すぐに解消 12月に結婚、キュピドの気まぐれ 1920年代の感覚でしょうか。
635
花嫁に関する伝承 ・花嫁の付き添いを三回つとめると花嫁になれない ・ウェディングドレスは挙式前に試着してはならない ・借り物の黄色いガーターを着けるとラッキー ・なにか古いもの、なにか新しいもの、なにか借りたもの、なにか青いものを身に着けるとラッキー 「四つのなにか」は有名です。
636
雑。ロバといえば酷使される家畜の代表格ですが、たまに背中に十字の模様を持つロバがいます。それはキリストがエルサレム入城の際に乗っていたロバの子孫と見なされ、えらく珍重されるのであります。背中の十字を撫でると願いがかなうとか、背中の毛を煎じて飲むと万病平癒といった伝承があります。
637
予習。来週ははや六月。「六月はカニに乗ってやってくる」とスペンサーが詩に詠みこんでからというもの、人類は毎年「カニ乗りおやじ」に襲われております。図像はいろいろありますが、このチェンバース暦本の挿絵が一番好評です。カニの上に正座して微笑む中年をは可愛いのだそうです。
638
参考に他の図像も。左がホーン暦本、右が農業年鑑から。乗っているカニが妙に写実的な点もいい味出してます。5月31日夜に「六月召喚!」などと叫ぶとよいのであります。必ず来るものをあえて呼ぶのは大事な心得でありましょう。
639
六月の伝承 (天候と結婚以外) ・六月一日に単独で枝にとまっているコキジバトから睨まれたあげくに罵られたら、身に覚えのない敵がいるしるし ・六月にかえったヒヨコは一日中寝ている コキジバトはカップルで行動するのが常態ですから、それが単身で呪いにやってくるあたり、事件です。
640
雑。悪い子をつかまえて棺に押し込みどこかに連れていくブラックラビッツ。『ピノキオ』に登場するやつが有名ですが、こいつらは突然ドアを開けて乱入してくるのです。児童劇では客席の背後から出現することが多く、子供たちのトラウマ・メーカーとして秀逸な存在であります。
641
雑。チェンバース暦本によると5月30日はアーサー王の誕生日とのこと。根拠、出典は不明であります。アーサー王とキャメロット伝説はヴィクトリア朝になってから急に人気が出て、魔術界に組み込まれるのは1次大戦後といった印象です。絵はハワード・パイル。
642
雑。断頭台といえばギロチンが有名ですが、英国伝統のそれは「ハリファックスの乙女」という優雅な名前を有しておるのです。なんでもヨークシャー州ハリファックスに設置されたそれが稼働率の点できわめて優秀だったとか。公開刑具の周辺は夜になるといろいろありまして、呪術系の舞台と化します。
643
暦。5月30日はジャンヌ・ダルクの命日。もちろん聖遺物業界がこの魅力的な素材をほっておくわけもなく、あちこちで「内密に保存された聖乙女の遺灰」なるものが登場。あるいは「実は生き延びて〇〇になった」「英国に渡って結婚した」系の伝説がささやかれています。面白いのであります。
644
ジャンヌを貶めようとする勢力の活動にも振幅があるようで、「悪魔の手先」といった古典的なものから「19歳と言い張っているが実は27歳」といった微妙なものまで見つかります。どちらがクリティカルかわかりにくいです。
645
雑。「帰るの?」「帰りたいの?」「帰れると思ってるの?」でおなじみのフェアリーリングダンス。崖に追いつめるパターンもあるようです。そこで目が覚めて人間界に戻るわけですが、実は完全には戻っておらず、心のどこかは妖精たちと踊り続けているのであります。ええもう、いつまでも。
646
雑。フェアリーリングはキノコの環状発生のみにあらず、芝生上の環状変異もそれに当たります。発見したら決して踏み込まないこと。運が良ければ(悪ければ)その晩に妖精さんから舞踏会のご招待が、とパーマー・キンボール『はるかな幸福の国』(1902)の一篇「ベッシー・ベル」は始まるのであります。
647
雑。ヴィクトリア朝の一般家庭を悩ましたものに例の「素早く動くチャバネ色のあれ」がありました。英語ではブラックビートルなのですが、ご婦人たちはそれを口にするのも嫌なのであえてビードル(教会関係の役人)と称していた模様。結果、クルックシャンク描く「ブラックビードル」が爆誕。
648
雑。なぜその場面を、と不思議に思う挿絵。それゆえに心に残って術式化する場合もございます。「ホレおばさん」の樹を揺する娘。王子を見つめる人魚姫。なんともスタイリッシュ。ともにシングルトンの『野の花童話集』(1905)から、C. B. Falls 作品。
649
雑。ユーモラスな怪談は何時頃から流行りだしたのか。1845年のクルックシャンク・テーブルブックの一篇では、書物のみで解剖学を学んだ若者が骸骨幽霊に遭遇してこれを追い回しています。 「汝、死すべきものよー」 「成程、下顎骨はああ動くのか」 「話を聞け」 「皮膚って邪魔なんだよね」
650
雑。エイプリル、メイ、ジューン、ジュリエット、オーガスタと各月擬人化娘たちは成長していくのであります。よくできております。「つぼみがわれ、ことりがうたうとき、わたしとおどって」と誘ってくるのはスチュアート・ウォーカーが描く「エイプリル」。