西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。19世紀前半の文献にカードを用いたおまじないがありましたので。 就寝前、小型祈祷書に指輪と鍵とビスケットと花を載せ、さらに四枚のプレイングカード(図参照)を祈祷書の結婚式次第の箇所に挟んで薄いモスリンのハンカチないしスカーフで包む。それを枕元に置いて眠り、見た夢で将来を占う。
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暦。3月14日は2021年のマザリングサンデイ、簡単に言うと英国伝統の「母の日」です。正確には洗礼を授かった教会(マザーチャーチ)に詣でる日。事実上の奉公人の里帰りの日となり、気の利いた主人は手土産など持たせて下男やメイドを送り出すのであります。図はケントの教会が出した洗礼証明書。
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暦。3月17日の聖パトリックデイも近づいておるのです。世界中のアイリッシュたちが飲んで騒いで殴り合う日とされていて、図のライフの表紙もそんな感じ。手にするのはブラックソーンの棍棒「シレイラ」。コロナが収束してみんな楽しく殴り合える日が来ますようにと聖人に祈りを捧げましょう。
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雑。暦本によれば、英国では伝統的に3月17日をノアが方舟に乗り込んだ日と決めているそうです(下船は4月29日)。追加設定として、ノアが方舟を作ると決めた日から夫婦仲がおかしくなり、口喧嘩が絶えなかったとか。お告げを真に受けて裏庭で船を作りはじめる夫に不満たらたら。絵はPCS描くノア夫妻。
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雑。呪詛の形式なんでしょうが、偉い人や権力者をあえてふざけた造形で再現しておちょくるという発想。図はオランダ方面で作られたビヤジョッキ。おひげの人は宗教改革に対抗して送り込まれた枢機卿だったそうで、ビールで膨れた腹がリアル。英国ではグレイベアードという名前で人気が出たとのこと。
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暦。3月15日は聖ロンギヌス祝祭日。磔刑にされたキリストを槍で刺し、その後いろいろあって改宗したローマの軍人です。かれの槍は当然ながら聖遺物としてあちこちの教会の秘宝となりました。軍人が槍を複数所有していても不思議はないわけで、深く追及しないのが知恵というか礼儀というかーー
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3月15日はカエサルが暗殺された日だったわけです。「ブルータス、おまえもか」が最後の台詞として有名ですが、ほんとうは「ギャー!」とか「痛え!」だったのではとの議論もございます。今わの際の言葉の呪力(というか拘束力)は重視されてしかるべきでしょう。ぎりぎりのウケ狙いはまた別のお話。
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季節。冬の使者ジャック・フロストの到来を語る説話は多いのですが、春先に退場する模様を描くそれはあまり見かけないのであります。少年としてのジャックはフローラの到来を感じていじけてすねて、雪が残る高山へひっそりと向かいます。中高年ジャックは川に落ちて海に流されたりします。悲惨なり。
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珍品。「日本のフェアリー・テイル。このお話にフェアリーは登場しません。ですが日本人はフェアリー・テイルだと言っています。ですからフェアリー・テイルということにしておきます」。いきなりケンカを売られた気分です。挿絵からは想像つかないでしょうが、これ、モモタローのお話ですーー
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刃物を持っているのは近場で暴れているオーガ。モモタローのお供はハチとクリと石臼というコラボレーションが素敵です。モモタローも商家の手代か若旦那風。リバーサイド読本(1911)から。
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ハチ、クリ、カニ、石臼の勧誘に際して用いられた食材は「竹の葉に包んだコメ」。実際の戦闘を行ったのは例の四名だけで、モモタローは後方から観戦のみ。 「これでお話はおしまい。日本人はこれをフェアリー・テイルと呼んでいます。読者のみなさんはどう思いますか?」
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暦。さて3月17日はアイルランドの聖パトリック祝祭日。この時期に合わせてよく出回るのが「あなたのレプラコーン・ネームは?」というジェネレーター。ファーストネームの最初の文字と生まれ月などの対応名を組み合わせるもので、いろんなヴァージョンがあります。当館からもひとつーー
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雑。magic casement 「魔法の窓」は両開き。普通は庭に出るのですが、たまに異世界につながったりするわけです。あるいは庭先に現れた怪異はケースメントを通って居間や書斎に招待されたり侵入したり。窓際の攻防はなかなか苛烈なのであります。
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暦。ホーンによりますと、1719年の3月19日午後8時頃に英国全土でとんでもない流星というか隕石というかが目撃されたとのこと。月ほどの大きさの薄青色の火の玉が一分間近く夜空を横切っていって、砲声のような轟音を発して消滅したとの記録。当時の天文学界は流星の軌道計算に夢中になったそうです。
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雑。リッチゲート lychgate といいます。lych は古アングロサクソン語で遺体の意。教会の墓地に通じる門でありまして、伝承が多いのです。怪異目撃はもちろん、花嫁がくぐるときわめて不吉とか、この周囲の花に各種特効とか。ご覧のように屋根付きの構造になっていて、雨宿りするとまたいろいろと。
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蜘蛛に関する伝承 ・蜘蛛を害すと家が滅ぶ ・頭上に降りてきたら予期せぬ入金が近い ・衣服につくと瑞兆。あわてて払い落すと貧乏になる ・蜘蛛の巣から読み取れる名前はラッキー 意外なほど肯定的な話が多いのです。最後のやつは「シャーロットの贈り物」で有名でしょう。絵はホクサイ。
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さて25日の受胎告知日近し。この時期、「セブン・ホイスラーズ」と称される七羽の鳥が英国の夜空を飛翔し、逃げまわる魂を捕獲するとのこと(七羽が逃げ回る説もあり)。この七羽は「決して離れることがない」そうで、もしかしたら音階の比喩なのかもしれません。電線の鳥音符もシグナルであります。
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ガブリエルの猟犬に関するヨーク界隈の伝承 ・午前0時に生まれた子供は長じて霊を見る力を持つ ・またガブリエルの猟犬の声が聞こえる ・教会の鐘が鳴っているときに生まれた子供は長じて霊を見る力を持つ ・赤子は生後の一か月間で将来のすべての場面の夢を見る  誰もが聞こえる音ではないようです
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伝承。夜、ろうそくをともして姿見の前に立ち、祖母や曾祖母たちが遺した古いドレスをまとってひとり舞い踊る少女の図。ある種の魔女になる儀式とおぼしきものでしょう。デラメアの詩集から、絵はブロムフォード。
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暦。「3月の29、30、31日は4月から借りたもの」という例の説話。むかし28日しかなかったマーチ君にある羊飼いが「ずっと晴れだったら羊を一頭あげる」と約束したんだそうです。そこで晴天が続きます。しかし羊飼いは約束を守らず期限切れの逃げ得を企んだのでマーチ君が激怒ーー
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雑。「真夜中、ろうそくの灯りだけで屋根裏部屋にある古い聖書をとってくる」というのが定番の肝試しであります。その家に幽霊がいる場合は出会えるチャンスなのですが、選択権は向こうにあります。デラメアが描くそれは舞踏会に憧れる古風な少女。英国幽霊譚は典雅でよいです。
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補足。英国ではながらく布袋様を「ラッキーブッダ」と称してマスコット化しておりました。よくわからない東洋系神仏はみんなラッキーブッダですませていたという印象であります。日本サイドも明治以降にマスコット類を大量輸出していたようです。
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さてエイプリルフール近し。かつて英国ではこの日の定番の悪戯で「気の毒なお使い」なるものがありました。Aさんに届けよと少年に手紙を渡します。それには(こいつをさらにどこかに送り出せ)と書いてあるのです。結果、少年はあちこち放浪するはめに。この悪戯の起源が方舟のカラスの故事との説も。
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さてイースター近し。英国ではこの日の定番のプレゼントとして手袋が流行った時期があります。理由は「愛があるから」 G"love"s とのこと。この種の文字遊びはどこで顔を出すかわからないので注意が必要です。なお金貨を入れておくとさらに歓迎されるのは常識。図は18世紀末の逸品。
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雑。シスルトン・ダイアによればヴェネティアン・グラスは毒物に触れると割れるとの伝承があったとのこと。ゆえに同素材を用いた酒杯などが貴族の間で重宝されたそうです。ガラスの表面に金銀をあしらうのも毒物による変色を想定しているのでしょう。優雅な殺意の時代であります。