西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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恒例。クリスマスが近いので巨大典礼書を持ち出すわけですが、大仰な絹製栞にあらためて注目。赤、青、紫は三位一体のトリコロール(人の血の赤、父の空の青、両者を混ぜて紫)。ライオンは聖マルコとして、手に持つ花が今一つ不明。それをあれこれ推測するのが楽しいのであります。
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雑。病床に伏す子供のもとにクリスマスツリーが訪問してくるお話がございます。そういった不思議を司る天使をクリスマス・エンジェルとしてツリーに飾るのであります。なおユーイングによればこの天使の星は冬場の木星とのこと。季節の話題ということで。
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雑。ヴィクトリア朝の大邸宅は当然ながら暖房効率が悪いわけで、冬場の応接間は暖炉を中心に座席が展開されます。視線が集中するマントルピース上になにを置くかでホステスのセンスが問われるのであります。写真は貴族にして国教会司教というグリン司教卿の(ご本人いわく)質素な応接室。
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季節。チェンバースによればヴィクトリア朝のロンドンでは今頃「あらゆるサイズ、形状、テーマのクリスマス本が書店のウィンドウで壮麗に煌めく。贅を尽くす現代の装丁術、活字印刷と挿画技術の精華を披露している」とのこと。当時の児童書の装丁は激烈な商戦を勝ち抜くための武装だったようです。
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もちろんクリスマスに高価な童話本をプレゼントされるのは一部の恵まれた子供たちだけでしょう。学校から貰えるご褒美本は優等生の特権。華麗な装丁で魔法と妖精を語るフェアリーブックはある種の怨嗟の対象ともなり、トロフィーと化していくのでありました。
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雑の雑。クリスマス・ストーリーといえば『フランダースの犬』。各種挿絵に見るパトラッシュはなかなか戦闘力が高そうです。ネロも「やんのか、ああ?」と目つきが悪い(印象)。ペアで召喚すればそこそこ戦ってくれるかもです。
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雑。訪問先などで初めてのお部屋に泊まるとき、寝台の4本の柱に福音書記の名前をつけて守護をお願いするおまじないがあります。ゴシック式寝台を前提とした優雅な伝承です。庶民用の似たようなおまじないとしては、脱いだ衣服を部屋の四隅に配置して名前をつけるというものも。就寝は神秘の入口。
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本に関する伝承はそこそこ見つかるのですが(枕の下に入れて寝ると内容を夢見るetc)、本棚のそれはまだ見つかりません。おそらく本棚という家具が一般に普及してからあまり時間が経過していないからかと。個々の修道院や図書館には「不吉の本棚」とか「幽霊が棲む本棚」があるようです。
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季節。クリスマス名物、炎のなかからレーズンを素早くつまんで食べるゲーム「スナップドラゴン」。シンボリズムを考えますと、燃える皿がドラゴンの口というか地獄の門。そこから魂を救済するということか。クロスバンやソウルケーキに通じるものを感じるのであります。
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ナーサリーマジック。峡谷にて反響を得ようと叫ぶ言葉。「ヤッホー」が有名ですが、なかにはあやかしを目覚めさせる呪文もあるのです。木霊を呼んでしまった少年の魂は無事ですみそうにありません。デラメアの「ダンダンデリーの書」から、絵はラスロップ。
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雑。デヴォンシャーに伝わるローズマリーを使ったディスペル法。「燃える石炭にローズマリーの葉を少しずつくべながら詩篇68歌の最初の二節を唱え、最後に主の祈りを唱えよ。悪しき術は解けるであろう」。写真はうちの庭に咲いていたローズマリーの花。こうしてみるとなかなかきれいです。
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暦。ウェールズのクリスマスといえば奇習「マリ・ロイド」の出番。馬の頭蓋骨を使った獅子舞と思ってください。一時期、教会からの攻撃で廃れていたそうですが、近年は復活傾向にあるとのこと。攻撃理由のひとつが「カトリックの残滓」でしたが、カトリック側も骸骨獅子舞には身に覚えがないとのこと。
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雑。ヴィクトリア朝のクリスマス本の一種、彩色聖書文言手帳。366日分の引用句とそれに基づくデザイン、書き込み用のスペースを持つ小さな本(11x7㎝)です。メモ帳やバースデイブックとしても使えます。この一冊は1890年に父親が息子に贈ったとの書き込みあり。無意識の護符といえましょう。
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BBCウェールズによるマリロイドの映像。 twitter.com/BBCWales/statu…
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暦。クリスマスの朝、当館では巨大典礼書を持ち出して飾るのが恒例となっております。朝のローライトのなかで撮影。大きな留め金はごわごわの羊皮紙をきっちり抑えこむために必要だったもので、近代の製紙本には意味がないのですが、そこは勢いで。中世貴族のゴテ趣味の再現なのであります。
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12月26日はボクシングデイ。みんなで殴り合う日です(今年も言いました)。定義はいろいろあるでしょうが、当館的には「魔法を箱から出す日」と考えております。開けると嬉しい箱を作っておくのは重要なのであります。自分のための嬉しい箱が重要なり、と。
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遊戯。「魔女の輪」という鬼ごっこ系の遊びを発見。参加者のうち一名が魔女になり、残りの人数分の輪っかを地面に描く。他の子はそれぞれ木や柱などを自分の「家」と決める。捕まった子は輪に閉じ込められ、他の子からタッチされるまで解放されない。タッチされたら「家」に戻る。缶蹴りに近い?
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卵に関する伝承 ・割った卵の殻はきちんと潰さないとアンラッキー ・夜に卵をとりこむとアンラッキー ・新婚の夫に義母がオムレツを作ってやると夫婦仲がうまくいく ・悪魔がくれるメンドリは黄金の卵を産む 卵の殻は悪しき手に渡ると呪術の材料にされるとのこと。義母のオムレツはロシアの伝承です。
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手袋に関する伝承 ・新年の贈り物としてラッキー ・手袋を頭にのせてから帽子をかぶるとラッキー(男子限定) ・外出に際し、手袋を着用したら鏡を見てはならない(女子限定) ・手袋の指先を噛むのは復讐の表明 クリスマスに靴下、新年に手袋が本来の姿らしいです。
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クリスマスに新しい靴や靴下をおろし、その際に銀貨などを入れておくわけです。本来もらうべきは靴や靴下であってプレゼントは副次的だったのですが、そこらが混乱して現在に至ったとのこと。
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椅子に関する伝承 ・客に二度と来てほしくないと思うとき、そいつが座っていた椅子を壁に向けて一昼夜放置すると効果的 ・立ち上がるとき椅子がひっくり返るのはアンラッキー ・不運が続くときは部屋の椅子をひっくり返してから寝る ・座っている椅子が壊れるとアンラッキー 椅子は大事です。
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年末年始の伝承 ・新年になると同時に玄関から一歩出てすぐ中に入るとラッキー ・お正月におろす新しい服に真鍮のボタンをつけると金運に恵まれる。銀ボタンは魔除け。貝殻ボタンは海の幸、胡桃ボタンは山の幸を呼ぶ ・お正月にはなにもしないのが吉 ボタンのシンボリズムは興味深い領域であります。
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玄関でステップ&バックするのは、もともと「新年最初に玄関から入ってくるものが一年の動向を決める」という伝承があるためで、下手なやつに来られるくらいなら自分でやってしまえという発想です。
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スコットランドの新年伝承 ・ニューイヤーはお菓子と食物とウィスキーを持った黒髪の若者の姿でやってくる  大晦日に広場に集まって「蛍の光」を歌うのがスコットランド流でしたが、これがロンドンにも広まり、アメリカにも。来年は大々的に行えることを祈念しつつ。
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他にも黒髪が歓迎される話がかの国には多いのです。一説には、冬場に食い詰めた北欧系が襲ってくる時代が長かったため、寒い時期の金髪には本能的に警戒感があるとか。