西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(いいね順)

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ナーサリーマジック。「ネイチャードール」と呼ばれる領域であります。野遊びの際に子供たちがつくる自然素材のお人形。枝、草、木の実などをうまく組み合わせるのがこつですが、もちろんその呪術性はトップクラス。貴重なり、と。図は1920年のミフリン社刊『子供のお仕事』から。
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雑。「幽霊馬車」phantom coach は「音はすれども姿は見えず」が基本のようです。真夜中にガラガラと馬車の音が聞こえてきて玄関先にとまるので出てみるとなにもない。だれもいない。ちょうどその頃、異国の地で家族が亡くなっていたりするのです。馬車が一般的でない時代になっても報告例はあります。
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Death Watch 伝承で興味深い点は、死神が伝統的砂時計ではなく懐中時計を所持していることでしょう。持ち物が近代化しておるのです。すなわちきょうびの死神はスマホを持っていても不思議ではないのであります。個人的にはiPhone が12から14にスキップすることを期待しておりますです。
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雑。「納屋でネズミが紡いでいると/猫が立ち寄り声かける」のライム。  解釈はいろいろあるのでしょうが、生産的な作業に勤しんでいると猫がやってくるのは疑いのないところ。破壊的誘惑者の面白いところであります。魔物を防ぐのは毅然とした態度なり、と。
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蜘蛛に関する伝承 ・蜘蛛を害すと家が滅ぶ ・頭上に降りてきたら予期せぬ入金が近い ・衣服につくと瑞兆。あわてて払い落すと貧乏になる ・蜘蛛の巣から読み取れる名前はラッキー 意外なほど肯定的な話が多いのです。最後のやつは「シャーロットの贈り物」で有名でしょう。絵はホクサイ。
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英国伝統の「蝶が必ずとまる呪文」 Le, la, let Ma bonnie pet とまるまで唱え続けよ。 自分にとまると言ってないところがみそであります。
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雑。ロンドンの靴磨き少年。靴磨き協会に所属していて、制服を着用。基本日給は6ペンスで、一回の靴磨き料が1ペニー。一日のあがりのうち、三分の一が手取り、三分の一を少年名義で預金、三分の一を協会が取るという仕組みで貧困層の少年の社会参加と自立に大いに寄与したそうです。
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ダイヤは鋭い天才の輝き、 サファイアは真理、ルビーは情熱 クリソライトは嫉妬、エメラルドは若さゆえの希望 バラ色のカーネリアンは慎み、トパーズは悦び 真珠の純潔、オパールの移り気 トルコ石の静謐、ベリルは光の美 闇に輝くカーバンクルは信仰 紫に輝くアメジストは高慢 ジェットは弔いの悲しみ
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季節。夏至の頃、村はずれにある妖精丘 fairy mound に出かけてトワイライトのなかを地面に耳をつけていると、フェアリー・コンサートが聞こえてくるという伝承があります。まず笛、続いてフィドル、コーラスにパーカッションという編成だそうです。絵はいつものダンピー祝祭本から。
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雑。子供向け童話読本にはときどき怖い絵が紛れ込むから面白いのであります。図はボルドウィン読本(1905)にあったもの。原作はアンデルセンで、子供たちがクマを大型犬扱いして事なきを得るお話。「もふもふのワンちゃんだ!」。いや違うやろ、と。
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暦。本日は2021年の「パンケーキの火曜日」。各地で午前11時に「パンケーキの鐘」が鳴り、パブリックスクールなどでは衆目を浴びるコックの腕の見せ所。返し技が決まるたびに拍手喝采。もちろん二回転、三回転とエスカレートしていくのであります。縁起物を食すのは有為の呪術行動なり、と。
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#ドラゴンの日 ドラゴンの一家の日常を描くチューダー・ジェンクス「ドラゴン物語」(セントニコラス誌1889年)。お父さんドラゴンは一日の仕事(騎士捕獲)を終えて炉端でくつろぎ、お母さんドラゴンは子供たちに童話ならぬ竜話を語りきかせる団欒の図であります。
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雑。たまに男性魔法使いが化けている猫がおるわけです。尻尾を踏むと術が解けるとされていますが、もちろん簡単には踏ませてくれませんし、踏んだ人には相応の呪いがかかってあとの展開がややこしい。物語の冒頭部によく登場します。絵は J.D. Ford 。
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雑。英国伝統のクリスマス像といえばファーザー・クリスマスであります。ヒイラギとヤドリギを頭に載せ、ユールログを背負い、ワセイルを抱えてやってくる不審な中高年。しかも10人もの子沢山。フロスト・キングと同一視される例もあり、冬の擬人化として愛されておるのでしょうーー
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雑。17世紀初頭の英国宮廷ではつけぼくろは涙の表象として弔意を表すものだったそうですが、おしゃれとして流行するうちに星や月の形となり、太陽はパエトンの馬車として額を横切る始末。ここにお化粧が加わった結果「化粧にあらず、塗装なり」との警句も登場ーーシンボリズム的には面白いのですがーー
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雑。forspeaking といいまして、対象を度を越えて称賛することで不運をもたらすという呪いの一種であります。ちょっと聞くくらいではわかりにくいのが特徴。「ほめごろし」に似てなくもないかと。対処法がいまひとつ不明なのもやな感じです。
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雑。ヴィクトリア朝末期、自転車一大ブームの面白い副産物が風俗営業「ブルーマー・レストラン」。ブルーマー姿のウェイトレスがいるだけのお店ですが、それを目当ての紳士たちで繁盛したとのこと。1896年のスタンダード紙から。
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猫。はじめてバレンタインカードをもらって古典的にときめく乙女猫の図。14日朝のブレックファスト時に各家庭でよく見られた光景なのでしょう。なお中身は一枚の紙きれで、「ばーか、本気にすんじゃねーよ」といった趣旨の文言が書いてある場合もままあります。これもVデー定番の悪戯なのであります。
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雑。オルゴールのおまじない。  深夜、誰もいない客間でオルゴールを鳴らす。曲がきれいに鳴りやんだら願いがかなう。だれかに見られたら無効とのこと。  曲が途中で止まったらあかんわけです。止まりかけのオルゴールの寂寥感はなかなかのもの。たとえタヌキ囃子を流しても雰囲気は出ます。多分。
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雑。『地理の愉しみ』(1868)に収録されなかったランカスターの原画も面白うございます。ディック・ウィンテントンと猫がスコットランドで踊るという、なんらかの政治風刺なのかもしれませんがよくわからない。ロンドン・エジンバラ間の鉄道開通を祝っておるのかもしれません。
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暦。クリスマスはいろいろな「三大」「三つ組」がつきものですが、植物でいえばヤドリギ、ヒイラギ、そしてこのアイヴィー。その常緑の生命力の強さで縁起がよいのであります。恋愛関係の花言葉では「死んでも離れない」とのこと。からみつくツタ類はゆるやかに動くトリフィドでありましょうか。
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暦。10月9日はフランスの守護聖人聖ドニの祝祭日。殉教の際に落とされた首を拾い上げて2マイル歩いたという伝説の持ち主。首を女性に届けたとか、首にキスしたといった話が英語文献に見られます。信仰の勝利を素直に祝う気分がないようで、面白うございます。
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雑。ホーンの暦本によれば6月11日から7月2日までをミッドサマーあるいはナイトレスデイズと称するとのこと。この時期は妖精の力が最大となり、チェンジリング等のさまざまな怪しい事案が発生するのであります。図はグレアム・ロバートソン『黄金、乳香、没薬』(1907)から「夏至前夜の仮面劇」。
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雑。教訓ストーリーには結構なホラー感が伴う場合も。エグルストン作「ジョブリリーズ」では池のほとりでずる休みしている怠け者の少年が水の精霊につかまって仲間にされてしまいます。手をつぶされて水かき状にされる描写が恐ろしい。夢落ちなのが救いであります。絵はフィッシャー・ライト。
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ポケットに関する伝承 ・ナツメグを入れておくとリューマチが治る ・クリを入れておくとラッキー ・小さな蜘蛛がいるとお金が入る ・ポケットのなかで銀貨を裏返すと魔法が解ける なおチャーム類の収容場所はチョッキの左ポケットだったのですが、懐中時計の登場によって状況が一辺ーー