251
隙のない相手だからこそ、「乱したい」と思ってしまう人が罪深いですね。いつも余裕があって、微笑みひとつで手のひらの上で転がされているだけだから、不平等に感じてしまって。「あの人の、素の部分を引きずり出してこの手で滅茶苦茶にしてやりたい」とフツフツと欲望を、煮えたぎらせてしまえば良い
252
肌を重ねた後にかわされる、ぬるいキスが艶めかしく見えますね。求めあった後だから、激しい欲も感情も燃えつきて、ただ残されたのが小さな愛おしさで。汗ばんだ肌を無言で引き寄せて、重ねるだけのキスを交わして。「すきだな」とほんの少しだけ胸を掠めて、無味乾燥なキスが特別になってしまえば良い
253
肌を重ねた後も、じくじくした熱が身体に残ってしまう人が耽美ですね。もう、終わったはずなのに、素肌を張った指や舌の器用さが無意識のうちに蘇って、過去のものにはできなくて思考が潤んでしまって。「今さら、こんなこと」とシャワーを強めて冷水を浴びながら、洗い流させるはずはなかったなら良い
254
恋心を抱いているからこそ、相手と距離を保ってしまう人がいじらしいです。少しでも近づかれたら一気に後ずさって、視線は合わせないで、笑顔は見ないようにして。「冷たいんだね」と呆れた笑いをしてくる相手に、本当は煮えたぎる想いを抱いていることを、知られないためならなんだってしたならば良い
255
「触れたい」と自然に思ってしまう自分を、「汚い」と否定してしまう人が美しいです。相手のことを仰ぎ見ているから、愛しているとの心は認められても、滅茶苦茶にしたいとの欲は認められなくて、そんな感情があること自体に嫌悪感を抱いて。「綺麗な人を、綺麗なまま愛せないなんて」と唇を噛めば良い
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相手にされる悪戯を、どうしても嫌とは思えない人が愛おしいですね。2人きりになると急に子供じみた相手に、なにかと悪戯を仕掛けられるから、怒ってやめさせたいと思うのに、そうやって構ってほしさを素直に見せてくるところが可愛らしくも見えて。「しょうがないな」と溜め息ひとつで許したなら良い
257
言葉ではねだれないからと、相手にちょっかいをかける人が罪深くて可愛らしいですね。構ってもらえないから不満で、無視をされている気がして悪戯をしたくなって。相手の無防備な輪郭を指先でそっとなぞってみて。ビクリと震えた身体がこちらを見て睨んでくるから、「なぁに?」と微笑んでしまえば良い
258
「寒い」を理由に相手にくっつく人が、可愛らしいですね。本当はただ肌に触れたいだけなのに、自分から触れるにはなにかしらの理由が必要で、それを温度にしてしまって。「寒い」と言うなり首元に顔を押しつけて、「寒いんだったら室温あげようか?」と尋ねてくる相手の鈍感さに、熱くなったなら良い
259
眠りに落ちる時でも、相手に触れたいと思ってしまう人がいじらしいです。起きている時からくっついていると安心ができるから、眠る時だって離れたくはなくて、素知らぬフリして距離を縮めて腕に絡みついて。「眠りにくくないの?」と尋ねられたなら、「こっちの方が落ち着くの」と小さく答えたなら良い
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重ねるだけのキスではダメで、絡み合うキスをねだってしまう人が、艶めかしいですね。「キスして」と言ったならば覆い被せられて柔らかな唇が触れるけれど、一瞬で離れてしまうから不満で、「もっと」と言えばまた触れるけれどそれでもダメで。「分かってるでしょ?」と、濡れた声を出してしまえば良い
261
熱や欲をともなわない、目蓋に落とすキスがロマンチックに映えますね。「おやすみ」と微笑んだ顔がいつもよりも幼く見えたから、なぜだか胸がいっぱいになって、フッと顔を近づけて。いつものような激しさは少しもないキスを目元に落として、「どうしたの」とくすぐったさにますます笑われたならば良い
262
肌を重ねる時に、「噛んでもいいよ」と自らの指を口内に差し入れる姿に、夢を見てしまいます。相手が必死に声を抑えようとして、白くなるまで唇を噛み締めているものだから痛々しく見えて。「噛んでもいいよ」と囁いて唇にグイと指を押し当てて。やがて鈍く走る痛みすらも、恍惚にすり替えられたら良い
263
「傷口を舐める」行為は動物的だからこそ、生々しい美しさがありますね。指先を少しばかり痛めて顔を歪めた相手に、素早く近づいて手首を捕らえるなり躊躇いなく口にふくんで。生き物のように這う舌の感触に、相手が痛みなんて忘れて、「大丈夫だから」を精一杯口にする様を、じっと見つめたならば良い
264
「舌を噛むキス」には罪深さがつきまといますね。相手に忘れられたくなかったから、唇を重ねた時にそっと舌に歯を立ててゆるく力をこめて。飛びのいた相手が怖々とした顔をしてもこちらは笑って、「痛い思いをするたびに、このキスのことを思い出してくれればいいな」と歪んだ喜びを感じていたなら良い
265
「耳を触る」行為は、気安いようでいて艶めかしさもともないますよね。相手が自分を構ってくれないから、悪戯のつもりで耳に手を伸ばして、触れた途端にピクリと震えられるけれど変わらず無視されるから火がついて。輪郭を指でくすぐったり耳たぶをいじったりして、次第に赤くなる様を見守ったなら良い
266
2人きりになった途端に、相手に甘える人がいじらしいですね。人前では距離を保って、相手が気安く近づいてこようものなら睨みを効かせているのに、2人となれば規則から解放されて、反動でピッタリ肌をくっつけて。少しでも離れようとされたなら、「ダメ」と苛立ちを見せて、ますます密着したなら良い
267
知らず知らずのうちに、相手の存在に弱くされてしまった人が美しいです。出会うまでは辛いことがあっても、一人で我慢して一人で対処してきたのに、出会ってしまったなら、辛い時に頼って支えられることの甘さを知って抜け出せなくなって。「この人がいなくなったら生きていけない」をふと思ったら良い
268
怖い夢を見てしまった人が、相手に甘える姿に愛おしさを感じます。恐ろしい光景を目の当たりにして飛び起きて、起きた後も不安が尾を引いて。相手のもとに近寄って、「今だけ甘やかして」とねだって。柔らかな体温に包まれながら、「この人といれば大丈夫だ」を感じて、幸福な日常を呼び戻したなら良い
269
相手を知って初めて、自分が「染められたい人間」であることを、知ってしまう人がいじらしいです。自分はサッパリした気質だと思っていたのに、相手といれば不安に苛まれて言葉でも態度でも指輪でもキスでも、自らの身体に深く跡をつけられたいと願って。「こんな欲深かったんだ」と自身に震えたら良い
270
「消えない証を刻まれたい」と、歪んだ愛を抱えてしまう人がいじらしいです。キスマークをつけられても爪痕をつけられても香りを移されても、結局はすぐ消え去ってしまうから狂おしいばかりで。「どうしたら、あの人のモノだという跡を残してもらえるだろう」と、滑らかな身体を恨めしく思ったなら良い
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相手の残り香を、愛おしく思ってしまう人が魅力的に見えますね。相手が消えたベッドは広いばかりで苦しいから、起きる気にはなれなくて。ほんのりと匂いが残る布団を身体に巻きつけて枕をそっと抱きしめて、まだ相手が自分の傍にいて自分を抱擁してくれているとの甘い想像に、一瞬だけでも浸ったら良い
272
刻まれたキスマークを、日常の中で気にしてしまう瞬間が甘美ですね。肌を重ねている時は熱に浮かされて、「つけて」と自らねだったけれども、熱が引いてしまえば身体に鮮明に残る所有印が恥ずかしいばかりで。服を着ていてもその場所がじんわりと、熱を帯びているように錯覚して、落ち着かなければ良い
273
腕枕をされる姿には、甘さと色っぽさの両方が詰め込まれていますね。肌を重ねた後に、途端に恥ずかしさが襲ってきて、逃げようとしたのに引き寄せられて、腕枕をされてしまって。枕とは名ばかりの硬さや不安定さが、むしろ相手の存在を浮き彫りにしてくるから、動くことすらできずに赤くなったら良い
274
大人が大人を、寝かしつける姿に夢を見てしまいます。なんだかんだと言い訳をして、いつも眠る時間を引き延ばしている相手だから、無理やりにベッドに引き込んで、「はい言い訳しない」と言葉を封じて。幼児にするようにポンポンと優しく身体をたたいて寄り添って、子供のような眠り顔を見たなら良い
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年下が、年上を甘やかす姿には、倒錯した色気が生まれますよね。いつだって自分の前では年上ぶって、ちゃんとした大人でいようとする相手を抱き寄せて、「年齢なんて気にしないでください」と囁いて、背中をそっと撫でて。「生意気」と呟きながらも腕の中から逃げはしない姿に、不器用さを見たなら良い