そしてこのことはウクライナがロシアに侵略されたという事実の解釈に一切変更をもたらすものではない。こういう場面での、どちらも同じだという一見賢そうな解釈は、悪しき価値相対主義以外の何者でもない。
さらにいえば、この戦争はポスト・コロナ戦争とも位置づけられる。コロナ禍でZoom環境にラディカルに適応したことで、それが情報戦の重要な一局面を形成している。 cbsnews.com/news/zelensky-…
もともとゲラシモフ・ドクトリンは、ゲリラが敵を引きつけて自国内で戦うパルチザン戦の論理を対外侵略用に組み替えたものとも解釈できる。もし侵略に抵抗するパルチザンの側が泳げる「支持の海」があるならば、侵略する側は同ドクトリンをうまく援用できるはずはなく、普通の「侵略」になってしまう。
ロシアが得意げに「ゲラシモフ・ドクトリン」を喧伝したことで効果が相対化されるどころか逆用されているという構図か。
パルチザン戦とZoom戦争のハイブリッド。露軍が舗装された道を普通に進軍してきているのに対し、ウクライナこそがハイブリッド戦を仕掛けているという構図。
内にあってはパルチザン戦(→ウクライナ軍の行動が見えない)、外部にあってはゼレンスキー大統領が陣頭指揮をとる情報戦(→塹壕にいる大統領を世界がZoomで見る)。
ウクライナが国際世論を引きつけるために情報戦を仕掛けていることはいうまでもない。それは当然すぎるほど当然だろう。なかにはフェイクまがいのものもあるだろう。そういう情報戦ももはや戦争の一部であって(特に外部の介入の仕方が決定的に重要な紛争において)外部はすでに巻き込まれている。
ウクライナ「侵略」の経過。 twitter.com/ModJapan_jp/st…
ウクライナ戦争は、市民がデバイスを持ち、SNSを介して発信することで、戦場の模様を市民が克明に記録、独裁者も取り上げることのできない情報がクラウド上にあがる。仮にゼレンスキー大統領が狙われた場合、最後の瞬間まで発信し続けるだろう。強烈なインパクトの映像になる。切断させてはいけない。
ちなみに今回の日本政府の対応はきちんとウクライナへのロシアによる「侵略」と呼んでいて、「ウクライナ紛争」とかでごまかしていません。
国連の存在理由が事務総長のツイートの通りだとすると、戦争が目の前で起きていたら国連はそれは「戦争」と呼ぶべきだ。 twitter.com/antonioguterre…
ただし、国連事務総長の2月23日以降のウクライナ情勢に言及したツイートを見ると、踏み込んでもcrisis in Ukraineかhostilities in Ukraine。24日にはattacking Ukraineをやめるべきだとはいっているが、「傾向」「配慮」は否定できないだろう。
数時間後、事務総長も「war in Ukraine」とツイート。咄嗟の危機管理だろう。 twitter.com/antonioguterre…
国連はそういう事実はないと反論。 twitter.com/UN_Spokesperso…
代わりに「紛争」や「軍事攻勢」という表現を使えと。このツイートにはこの指示を出した内部メールが添付されている。 twitter.com/NaomiOhReally/…
これは何だ⁉︎国連はスタッフに対して、ウクライナの状況を「戦争」や「侵略」と形容することを禁じたらしい。 twitter.com/naomiohreally/…
テレビ時代を象徴する戦争がベトナム戦争、ケーブルテレビ時代を象徴する戦争が湾岸戦争、インターネット時代を象徴する戦争がイラク戦争、そしていま携帯デバイス/SNS時代に入ってはじめての本格的な戦争がウクライナで始まっている。それぞれ情報空間が非常に重要な意味を持った。
中国ウォッチャーが中国を離れ、露ウォッチャーが露に行きにくい時代に。コロナ後も戻らない人の流れ。理解しなければならない相手と接する機会減。19年に日本の研究者が中国において拘束されて以来、中国に行かなくなったという研究者は多い。交流が断たれる時代に。 nikkei.com/article/DGXZQO…
いまやロシアに課せられた5532という制裁の数は、イランの3616、シリアの2608、北朝鮮の2077を超えてトップに。 bloomberg.com/news/articles/…
米情報当局が頭を抱える「『追い込まれたプーチン』問題(Cornered-Putin-Problem)」。追い込まれたプーチンが戦線を拡大する危険性:①完全な無差別攻撃、②サイバー攻撃、核によるさらなる威嚇(使用)、③ジョージア、モルドバなどウクライナ以外の国に介入。 nytimes.com/2022/03/03/us/…
振り返ってみると89年の冷戦の終結はあまりにも平和的で、冷戦のような巨大な戦いの終結はやはり暴力を伴うものになるという状況を突きつけられているのではと。
親しくさせていただいているK先生のご見解。「帝国は平和的に崩壊することは稀である」という言葉を引き、いま起きていることは冷戦終結の最終段階で、「ソ連」は世界に巨大なダメージを与えながら崩壊してゆくということではと。
英語圏のメディアはRussia-Ukraine Warという呼称が定着してきた。
ウクライナ危機はトランプの再選戦略の前に立ちはだかるような気がしてきた。つまり、政治や外交はエンタメではないという当たり前の事実を気づかせる効果をもつということ(と思いたい)。
日本でこうして呑気に机に向かっている身で、ウクライナの人たちにパルチザン戦に持ち込めなんてことはいえない。という思いで、オーウェルやヘミングウェイはスペインに向かったんだろう。