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大阪では9年ほど前、坂本龍馬を気取る市長が「船中八策」なるものをブチ上げ悦に入っていたことがあった(webronza.asahi.com/politics/theme…)。それがここに来て、同じ「維新」を名乗る党に属する府知事が、よりによって「見廻組」もどきの組織を発足させてしまったところに歴史のイロニーを感じざるを得ない。
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LGBTは「生物学的に自然に備わっている『種の保存』にあらがって」いる、のような言説に典型的なのは、「生物学」の名を出しつつ「生物は種を保存すべく存在している」という目的論的世界観を前提としているところではないかと思う。元来の近代科学は目的因思考から脱することで成立したはずなのだが。
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フランスのテレビ局が制作した東京五輪のPVなるものを見ると「また」浮世絵なので、保田與重郎の下記文章を思い出して失笑してしまった。なるほど、確かに西洋人が求める「アジア」はこれであり、国を挙げてその望むままの姿を演じようとするイヴェントを決死決行中なのであるから、実に批評性が高い。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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ツイッターでは「田舎出身イキリ」、「低階層出身イキリ」の受けがよく、同じことばかりやっていて身を亡ぼす事例があるらしい。しかし、彼らが偉いのは、もし好条件のもとで育っていたら学歴にも能力にも職のステータスにもさらに恵まれたと信じているところで、その自己肯定感に学ぶところは大きい。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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おっしゃる通り、「法クラ」だの「医クラ」だのがああなっているのは、よく言われるエリート意識のせいというより、SNSの「クラスタ」なる、性質の悪いギャラリーつきのグルーピングへの帰属心を内面化し、そこで受けるため誰でもアクセスできる公共圏で親密圏の振舞いをしてしまうからなんでしょう。 twitter.com/hokusyu82/stat…
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スポーツ選手が「感動を与えたい」などと言ってしまうことについては、選手として自己形成する過程で質問に対してはその類の答えしかしないよう刷り込まれてきた結果なのだろう。しかし、定型句を反復する以外の言語使用ができる者が本邦にどれほどいるのかと考えると、別に彼らに限った問題ではない。
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「感動を与えたい」が無難な定型句になる背景には、個人競技で「勝ちたい」と言うと利己的と糾弾されやすくなることがあるのかもしれない。チームスポーツの選手が「チームを勝たせたい」と語りうるのと対照的である。結局、集団に配慮する姿勢を見せておかないとすぐ叩く世論への対応策なのであろう。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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政治的オピニオンリーダーとなり、オンラインサロンを主宰し、国家イベントで演出を請け負う...、という「芸人」の前景化は明らかに現代日本の特徴で、なにか名前を付けておいた方がよいだろう。ギリシャ語からの造語法の常道だと、「喜劇俳優」がκωμῳδόςだから「コモイドクラシー(芸人支配)」か。
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欧米の極右(白人至上主義者、ネオナチなど)が、普段はムスリムや中東への人種差別に励んでいるのに、今回のタリバンの首都掌握をアメリカ政府や「国際ユダヤの陰謀」の敗北として祝う投稿をしている、という報道。 / “The Far Right Is Celebrating the Taliban Takeover…” htn.to/2N9KCT1KvD
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「上級国民」も「親ガチャ」も元来は自己責任論を相対化するものだったはずですが、「上」に行こうとする努力を放棄したり「下」でしかあり得ない者たち同士で連帯したりする方向にはならないようで。結局は自己憐憫を込めた現状追認にしかなっていないあたり、資本主義と通俗道徳の力は半端ではない。 twitter.com/iovistakahasiu…
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「親ガチャ」にせよ「上級国民」にせよ、それを言い立てている人間の不満はどう考えても政治的にしか解決し得ないのに、「恵まれている」とされる側への嫉妬を共有するだけで終わってしまい、まったく政策論議にはならないところが、資本主義だけは絶対だと思い込まされてきたここ30年の帰結といえる。
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いまさら恐縮ながら、野党攻撃を行っていたツイッターアカウントの正体が明らかになってきたところで、版元は2年前に出した『内閣調査室秘録』(amazon.co.jp/dp/4166612263?…)を宣伝しなくてよいのであろうか。初期メンバーの回顧録と昭和中期の日記の抄録で、誰にどこでいくら渡したかなども書いてある。
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確かに2000年前後ならば、「ネットで検索すればあらゆる情報が手に入る」ようになるはずだから個々人の知識の重要性は低くなる、という期待感があったにしても、まともに検索を機能させるにはこれまで学校で教えてきた類の旧来型知識がないとそもそも無理であるのがわかってしまったこの20年であった。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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学校の勉強が苦手だった人は、対象が数学や古文、漢文だと「この科目は世の中に必要ない」と唱えるようになる一方、英語や歴史に関しては、自分が失敗したのは教え方が悪かったからだと考えるのか、「学校で教えない」奇説に飛びつく傾向があるらしい。文庫本になった件の「日本通史」もその類だろう。
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しばしば諸悪の根源扱いされる「中高一貫男子校出身の東大卒業生」ながら、あそこまで過剰に女叩きをする衝動がどこから湧いてくるのかについては、いまだに謎である。男同士の友人関係のなかに閉じこもっていると居心地がよい、というところまではよくわかるし、そういう傾向を自覚してもいるのだが。
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ホモソーシャルとミソジニーは一体とされており、それ自体は妥当な理論と仮定しても、おそらく現象としては前者の要素(男同士でつるんでいると楽しい)が強く出るタイプと後者の要素(女に加害したい)が強く出るタイプに分かれるのではないか。もちろん、前者は前者で有害視されるのはやむを得ない。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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ロシア寄りの立場をとるドイツの右翼をタイトルにしているものの、後半では逆にプーチン周辺のロシア側指導者が戦間期ドイツの右派思想をかなり真剣に受容してきたことにも触れられている。目下の情勢理解を助ける。 / 他5件のコメント b.hatena.ne.jp/entry/s/www.ne… (14 users) htn.to/3GyE9RQNtF
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プーチンの思想には西欧では関心が持たれていて、例えばフランスではミシェル・エルチャニノフが、相応のインテリである大統領の読書歴を分析した『ウラディーミル・プーチンの頭のなか』(amazon.co.jp/dp/2330039727?…)を書いている。独訳、英訳、西訳が出ており、隣国の本邦でも誰か紹介すべきだろう。
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エルチャニノフによれば、プーチンの「保守的転回」に大きな役割を果たしたのは「1918年から1933年までのドイツにおける保守革命」で、具体的にはシュペングラー、シュミット、ユンガー、ニーキシュの名が挙がっている(独訳74~77頁)。彼らの著作自体、2000年代以降のロシアで争って読まれたという。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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いまごろプーチンはYouTubeのデカ文字動画を見ているのでは、といった揶揄はむろんはずれていて、彼はよくも悪しくもドイツ語とロシア語の「教養」の人である。そして、古典の読書から得られた知見を直接的に国際政治に反映してくる点で、本邦などの政治家とは別の意味で始末に負えぬ相手なのである。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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「無断引用」は許されないという意識で生きている人のTLを覗いてみると、普通にRTやら引用ツイートやらをしており、ツイッターで用意されている「引用」システムを使いこなしているようであった。おそらく、その都度DMやメールで相手に許可をとっているに違いあるまい。実に頭が下がる態度である...。
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普通に考えれば侵略をしている側が、経済制裁を受けると逆にそれこそ「侵略行為」だと反発するのは異常に見えようが、実はこれは30年代のカール・シュミットの理屈で、彼の同国への浸透ぶりをうかがわせる発言では。 / “対ロ制裁は「侵略行為」 メドベージェフ前大統領 |…” htn.to/UTHfY2PkMM
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シュミットは『立場と概念』(未邦訳)所収の「国際法の中立性とフェルキッシュな全体性」(1938年)で、国際連盟規約第16条の経済制裁をカトリック用語で「間接権力(potestas indirecta)」と呼び、法や道義の名のもとで差別的にある国家を選んで「世界内戦」を仕掛ける行為と批判しているのである。 twitter.com/hhasegawa/stat…
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三角関数は教えなくてよい、古文や漢文も必要なかろう、英語は「役に立つ」からやってもよいが面倒な文法は勘弁...、と病的な勉強嫌いなのが本邦の平均的メンタリティであるとすれば、いったいどの科目なら学ぶ気になるのか。それが講師に怒鳴られながら習得する「マナー」というオチなのであろうか。
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「カルトと政治」に関しては、特定のなんたら教団が政権に影響力を行使している、という段階ではすでにない感もある(むろんそうした解明は必要だが)。そもそも政治主張では似たり寄ったりの右派カルトが多く入り込んでおり、(例えば)反LGBTは某教の教義の反映である、のように識別するのは難しい。