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暗記科目ではない「考える」ないし「調べる」歴史という方向でやっているヨーロッパだと、どうしても扱う時代と場所の範囲は狭くなるわけで、あちらの文学者や哲学者、つまり専門歴史家ではない知識人の示す日本史理解の珍妙さに直結している。なんでも覚えさせる形式だとこういう問題はまず起らない。
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渋谷のハロウィンにしてもサッカー国際試合での清掃ボランティアへの賞賛にしても、ゴミが散らかることに対する禁忌視がうかがえる点で、優れて文化人類学的対象かと。一般に「塵一つない」はディストピア属性なのだが。ついでにいえば、そこから「素手でトイレ掃除」が一直線であることも確実である。
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歴史的に見れば、現金から電子マネーへの推移は、都市生活の匿名性の放棄、誰がなにを買ったのか簡単にわかってしまう近代以前への退行でもあり、現金払い=遅れていると印象づけたがる者はわかって言っているのか? / “ファミマ利用客の9割…” htn.to/LtHxbk
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ツイッターでは特に「ロジカル」と思ってもらいたがっているユーザーをよく見る。そして、彼らが現実にそのように振舞いうるのは、間違った知識や事実認識から誤った結論を論理的に引き出すときであったりする。もちろん、ロジックは命題と命題の接合に関わりこそすれ、命題自体の正しさを保証しない。
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「フェミニストは男に相手にされないババアが僻んでなるものだ」と「フェミニストは成功者とばかり交際して『弱者男性』を相手にしてくれない」を場合に応じて使い分けなければならない界隈もなかなか大変である。もっとも、本人たちがかかる分裂をどのくらい自覚しているのかについては定かではない。
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スポーツ選手の発言で苦笑を誘うのは、不健康な生活習慣の人々の対極にいる、と信じているところである。一線で勝負する立場であればあるほど、医療費に負担をかける健康リスクという点で、酒や煙草の比ではあるまいに。スポーツ=近代的規律訓練の代表と目されることで、この実態が覆い隠されている。
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「フランス共産党消滅」ニュースを受けあれこれ言っている者がいるので確認すると、情報源は(法輪功系?)反共メディアの『大紀元』しかないようで、本国の報道を探してみれば案の定だいぶ様子が異なっていた。その程度の裏も取らずに飛びつくのは、さすがにネットリテラシー的に深刻とせざるを得ず。
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そういえば、事実上アニメなどで未成年者の飲酒や喫煙を登場させられなくなっている現状について、表現の自由戦士のみなさんはなにかおっしゃっているのであろうか? セクハラ描写の規制なんぞよりはるかに影響の大きい面もあろうに(『ハルヒ』孤島回の原作改変など)。やはりエロにしか興味がない?
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「法科大学院を鳴り物入りでつくったが、結果的に法科大学院を出ても弁護士になれない場合もある」「上手くいかなかった時の結果責任を誰がとるのか」発言者に注目。表現の自由戦士はこういう側面は褒めてくれない。 / “[PDF]第25回国…” htn.to/q1cwu1
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開き直り的に獣医学部新設許可の方針が出たところで、法科大学院の経緯を連想する人が増えている。規制緩和で新規参入を増やしたうえで大学も学生も適者生存で淘汰されればよい、そいつらの人生は自己責任、という話だったはずが、そもそも競争参加者が激減する方向で理性の狡知(?)は働くのである。
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歴史修正主義者というより単なるイキリオタクであろう人物が珍説を唱えていたら博士号所持の本職を呼び寄せてしまったの図。相手が説得され行動を改めるとも思えないにしても、こういう粘着のできるプロは貴重かと。 / “戦前のスパイ取締や共…” htn.to/E6BHgZ
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対馬旅行では、タクシー運転手が流暢な(と素人耳には聞こえる)韓国語で前の客に接客していたので、乗ってから尋ねてみると、できないと観光関連業者は仕事にならず、語学学校に通ったり母語話者に教わったりしてバイリンガル化が著しい、と言う。ゼノフォビアがはびこる反面、国境地帯はこんな様子。
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世界遺産指定などによって外国人を含む観光客が増加したような場所に行くと、たくさんいるガイドが中高年ボランティアだったりする。「がん」である以前にそもそも雇用する予算がない学芸員に代えて、時間があり余っている年金生活者をタダで使おうという魂胆にしても、こういうのはいつまでもつのか。
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むかし使っていたドイツ語文法書に、教会大シスマ解決のため行われたコンスタンツ公会議の席上、中性名詞Schismaを女性で使ってしまった皇帝が、それを指摘され逆ギレし、そう文法を改変させるべく命じたものの笑われて終わった、という内容のコラムが載っていた。これも為政者の変わらぬ姿か。
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年長者への恨みで年金改革法案に喜んでいる団塊ジュニアが20年後に最も割を食うという以前に、未来と言わずいまから、受給者の団塊世代が困窮すると、数年来の扶養義務強化もあって子供が補填するハメになり、親を養わされる同世代がさらに困窮するコントじみた結末になるのは目に見えているのでは。
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暴行事件で某私大の「品位」が疑われるのを心配する向きがあると聞き、新入生に配布されるともいう創設者の自伝(amazon.co.jp/dp/4003310225/…)はろくに読まれていないのか、と思った。浦賀で万引きした品物を持って咸臨丸に乗り込んだ「武勇伝」の語られる、実に楽しい本である。