101
暇を楽しむには教養がいる、と指摘したのはバートランド・ラッセルでした。人生百年時代、シニアの生き甲斐をどうするかは深刻な問題です。個人的には、仕事を取り上げられた人たちの多くが酒かドラッグに溺れる可能性があると思っています。
102
「オトナの言うことをよく聞く良い子」を育てるつもりで「命令されたことしかできない無気力なイヌ」を育てている人のなんと多いことか。
103
ファーストペンギンがいないとよく言われますが、ポイントを外してるなと。本当の問題は「セカンドペンギンがいない」ということなんです。セカンドが出て初めて、最初に飛び込んだペンギンに「ファースト」の称号が与えられる。セカンドが出ないと単に「飛び込んだバカ」になっちゃうんですよ。
104
「真面目さ」には二つのレイヤーがあります。社会や組織から与えられる規範を疑わずに従って生きていくというのは「真面目さレイヤー1」。自己の内面に湧き上がる喜怒哀楽に従って生きていくのが「真面目さレイヤー2」です。これは一般にワガママと言われますが実はレベルの高い「真面目さ」なんです。
105
デキない人=非合理的、ということでもないんですよね。デキナイ人もそれなりに合理的なんです。ただデキナイ人の合理性って「レイヤーが低く」「スコープが狭く」「時間軸が短い」んですよ。センスの差もこの三つに出ますね。センスの良い人は視座が高く、視野が広く、視点が遠くにある。
107
歴史上の悲劇はいつも「大きなことを言う人」によってなされています。一方で社会の変革は「目の前の問題に取り組んだ人」によって成し遂げられている。自分の取り組みの「小ささ」に悩む人がいますけど、常に変化は「小さなことからボトムアップで起きる」ものだと思います。
108
残念な人の特徴は「困ってない」ということ。周りから見て明らかにヤバイのに本人は困ってない。困ってない人は助けられません。活躍してる人は何時も困ってますね。
109
価値の抽象度を上げ下げして考える癖をつけること。「自動車を売ってる」と考えるのと「移動を売ってる」と考えるのでは競争に関する認識の範囲と感度がまったく変わってくる。「フィルムを売る」のと「記録を売る」。「DVDを売る」のと「映画鑑賞の時間を売る」。前者と考えた組織は消滅しましたね。
110
SNSが普及して「家の中」がパブリックに露出されるようになるとインテリアが承認欲求を満たすための投資対象になります。すると今まで自動車やブランドバッグにかけていたお金がインテリアやリノベに向かうことになる。最近のリノベブームにはこういう背景のメカニズムも働いていると思います。
111
「すぐにできる」系のことは他人にも「すぐにできる」わけです。ですから「すぐにできる」ことばかりやっていれば、代替可能な「どこにでもいる人」にしかなりません。競争戦略のキモは「時間」です。模倣に「時間」がかかるユニークさを作るには「すぐにできない」ことに時間をかける必要があります。
112
これは自戒ですけど、仕事に逃げちゃダメですね。ラクなんですよね、仕事に逃げてれば不安は忘れるし、時間は過ぎるし。でもそうやってるといつの間にか「あれ?」という場所に行き着いてしまう。仕事に逃げない、ちゃんと考えて生きるという。
113
「働き方」と「豊かさ」の関係。有名な思考実験ですが、一週間働く漁師の漁獲高は、A=毎日8時間、B=毎日目標数だけ、C=穫れる日に沢山働いて後は休むで、C>A>Bの順になる。「ノルマ決めてガンバる」のが最悪、「定時間働く」が次善。企業組織の働き方はそもそも生産性が低いという。
114
ツマラナイ仕事に関わってワークライフバランスで帳尻を合わせるより、夢中になれる仕事を追求してワークライフブレンドで生きてく方が楽しいし結果的には経済的にも成功するでしょうね。コロナ後にはますます両者での二極化が進むと思います。
115
自分に嘘ついて生きると嘘ついてる自分を好きな人が寄ってくる。当然、この人たちとは友達になれない。嫌われる覚悟でリアルな自分を出すと嘘の自分が好きな人は離れていくけどそのうちリアルな自分に共感する人が現れて仲間になってくれる。
116
自分の人生を振り返るに、本業ではない活動の中にこそ、実はその人の未来の枝葉となる種が眠っていると思います。すぐに役に立つことはないけれども、なぜか心を惹かれてしまう、そういう活動にどれだけ身を投じられるかで人生の後半の実りの大きさが決まるように思います。
117
ロジック偏重の人はなぜ若い時に活躍するのにキャリアの後半で停滞しがちなのか?答えは単純で「人はロジカルじゃないから」です。そして加えれば「ビジネスは全て人を介するから」。これとは逆に「人の不合理さのパターンを知る」のがリベラルアートの核心です。両方できたら良いんですね。
118
結局のところ「居場所の見つけ方」が全てだということですが、やっと見つけた居場所も「相手」「社会」「自分」の三つが変化していくことでフィットする居場所ではなくなる時が必ず来る、その見極めができないと悲劇が待ってるということに注意が必要ですね。
119
先日、ある企業で「リモートワークで上司に相談できないことが若手のストレスになってる」という話があったのですが、今の日本は明らかにオーバーコミュニケーションになってるので、むしろ相談せずに自分で決めて自分で責任取らせるようにしたほうがいいんですよ。明らかに過保護です。
120
小学生に「将来何になりたいか」を答えさせるのはとてもスジが悪い。彼らが社会に出るころには「いまは存在しない職業」が大量に生まれているはずなのに、なぜ「いま存在している職業」に可能性を限定させるようなことを考えさせるのだろうか。
121
多様性とはただ単に「異なる人がいる」ということではなく「異なる人」との接触を通じて「私自身が変わりうる可能性がある」ことを含めた概念ですし、むしろそこに本質がある。自分とは考えが異なるのでお互いにうまく棲み分けましょう、という考え方は根本的に多様性と真逆の考え方だと思います。
122
なんでもそうですけど反作用を考えると時代に対して戦略的に動けます。ChatGPT=言葉を無限に生成する機械が出てきた、ということはと言葉がインフレを起こすということです。逆に言えば「言葉にならないこと」の価値が上がる。これもまたサイエンスとアートのリバランスを求める圧力になりますね。
123
人生の質を左右する五要因。住む場所、やる仕事、身の回りのモノ、余暇にやるコト、一緒にいる人。それぞれ本当に好きなモノ・コトを選べば自然と人生の質は上がります。一方で、年収を上げる、一流企業で働く、高級車に乗る、ブランドエリアに住む、などは全く効果ありません…むしろ逆効果でしょうね
124
「タテマエ」と「ホンネ」をうまく使い分けられるのが「オトナ」だいったことを言う人がよくいますが全く逆ですね。「ホンネ」で話しながら建設的な対話ができる成熟したオトナが少ないから「タテマエ」と「ホンネ」の使い分けが必要なんであって、そんなことを言う人ほど「オコチャマ」なんですよ。
125
気づいてしまった。ビジョンには「Being=なりたい姿」と「Doing=やりたいこと」と「Achieving=実現したいこと」の三階層があるけど、一番目の「Being」のビジョンは劣等感や優越感への渇望に根差してることが多いので、実現してもぜんぜん楽しくない、幸せになれない可能性が高い。気をつけたい。