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いつか本を出したい、と思っている人へのアドバイス。「交響曲を作ろうと思わず、アルバムを作るつもりで書く」というのがコツです。とにかくその瞬間瞬間で書きたいことを少しずつ書いて、後で読み返して面白いものを選りすぐって、それをキュレーションしてまとめる、というアプローチです。
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みんな地図を欲しがりますけど、地形がどんどん変わる変化の速い世界では地図は役に立ちません。いま必要なのはコンパスです。真北を常に指すコンパスさえあれば地形の変化に右往左往することはありません。そのコンパスこそ美意識でありセンスなんです。
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離婚率は無条件に低い方が良いと考える単純な人がいるけど、これはフーコー的に言えば監獄の思考ですね。明治六年の太政官布告で女性からの離婚請求が可能になった翌年に離婚の数は飛躍的に増えてる。それまでいかに女性の立場が蔑ろにされ、ひどい夫と離婚したくてもできなかったかということです。
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最近、つくづく「上機嫌というのは最重要のコンピテンシーだな」と思っています。機嫌の悪い人、怒りっぽい人、不寛容な人ってみんな難しい状況になってる。しかもその状況を本人が招いているということに無自覚だから始末が悪い。
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みんなが「すぐ役に立つもの」に飛びつく時代だから「すぐには役に立たない」ことを楽しんでやってきた人が活躍する。するとそれを見て「すぐ役に立つ」と思って同じことを真似するけど、「すぐには役に立たない」ので挫折する。時間軸を長く取れないヒトがこのサイクルを繰り返すと何も残りません。
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一度、フロー情報を完全に遮断してみるといい。テレビは見ない、新聞は読まない、フェイスブックは見ない、ベストセラー新刊は読まない。百年以上前に書かれた文学や哲学、作られた音楽やアートだけをしみじみと味わう。自分がいかに時間泥棒に時間を盗まれていたか、よくわかると思います。
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ツイッターを始めてわかったのは、世の中には、舞台に上がって発言している人に対して、観客席からヤジを飛ばして喜んでる人もいるんだ、ということです。でもね、そこは観客席ではなく舞台なんですよ。舞台で「ヤジを飛ばして喜ぶ」という役をやっているわけです。どっちを選ぶかは自分次第ですね。
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これは自戒を込めて書きますけど、年末になると「来年はあれしよう、これしよう」といろいろ考えますが、やりたいことと同じ数の「止めること」も決めないといけません。資源には限りがありますから「選択」と「捨象」は一体でやらないと結局は今年と同じ一年を送ることになります。
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自動改札をイノベーションという人は多いけど「人力でやっていた作業を機械にする」という発想は個人的には古いと思います。ドイツの電車にはそもそも改札ありません。いまの「電子ハンコ」なんかもそうですが、原点から「そもそも、これって必要なの?」とラディカルに考える習慣をつけたい。
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ビジョンが大事、というけどビジョンのない人っていないんですよね。大事なのは解像度で、ビジョンがぼんやりあるけど動けない、という人はビジョンの解像度が低いんです。「幸せになりたい」というのと「自然に囲まれた海辺の街で好きな物書きの仕事をしてマイペースで暮らしたい」とでは大違いです。
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45歳定年制が議論されてますけど僕はもっと若くして30歳定年制にしたらいいと思っています。必ず30歳でみんな一回会社を辞める。で300万円ほどの資金を渡して一年間、放浪とか農業とか工芸とか、仕事以外のことを自由にやらせてその後の人生を考えてもらう、というのが良いと思うんですけどね。
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「知」と「美」。特権階級が独占しようとたのはこの2つです。なぜならこの二つは強力な武器になるからです。だから図書館も美術館も元は王宮だった場所にあるでしょ。でも不思議なことに、これが解放されたのに手に入れようともしないで毎日ボンヤリ生きてる人が多い。
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あなたには「逃げる責任」があります。理不尽で苦しい状況に置かれたら「逃げてもいい」のではなく「逃げなければならない」んです。そうすることで社会は発展する。みんながもっと逃げればこの国は確実に良くなるはずです。将来のこどもたちのためにも「逃げる勇気」を持って欲しい。
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何か新しいことを始めるとき「一貫性の罠」に気をつけたい。「一貫性の罠」とは、過去の自分の言動と一貫性を持たせようとする心の圧力です。この罠にハマると「過去の人生」が「未来の人生」を決めることになってしまいます。
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デザインについて、日本が周回遅れになってるなあと思うのは、デザインが既に品質と同じ「良くて当たり前の世界」に入ってるのに、デザインを良くすると売れると未だに思ってるからです。デザインが良いというのは既に規定演技で、その先のストーリーや意味付けが自由演技として大事なんですけどねえ…
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なんでもそうですけど反作用を考えると時代に対して戦略的に動けます。ChatGPT=言葉を無限に生成する機械が出てきた、ということはと言葉がインフレを起こすということです。逆に言えば「言葉にならないこと」の価値が上がる。これもまたサイエンスとアートのリバランスを求める圧力になりますね。
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ホント面白い。講演で「反論があればどうぞ」というとみんな下を向いちゃうのに、同じことをツイッターで言うと実名を明らかにしない人から膨大なヤジがくる。名前出して顔見せてやってごらんよ、というとできないんですよね。この一線が超えられないと日本の次はないな、とつくづく思いますね。
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「頭ではわかるけど心は動かない」と「頭でわからないけど心は動く」。これから大きな影響力を発揮するのは後者ですね。
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微妙な違和感を無視して押し切るとやっぱりいい結果って出ないものですね。直面すれば「なんで!」と感情的になってしまうトラブルのほとんどはよくよく振り返ってみれば決断の時に「微妙な違和感」があったことを思い出す。いつも「風が吹きぬける感覚があるか」を大事にしたい。
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島田紳助さんは「お笑い市場の環境分析→ウケる戦略立案→コント作成→練習→実演→振り返り」というプロセスで一番重要なのは「環境分析」と「戦略立案」なのに、売れない人はここをやらずに「練習」ばかりしてる、と教えています。企業も人も同じだと思います。
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デキない人=非合理的、ということでもないんですよね。デキナイ人もそれなりに合理的なんです。ただデキナイ人の合理性って「レイヤーが低く」「スコープが狭く」「時間軸が短い」んですよ。センスの差もこの三つに出ますね。センスの良い人は視座が高く、視野が広く、視点が遠くにある。
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仏教では「足るを知る」ことを幸福へと至る成熟の条件と考えます。一方で企業や経済は飽くなき成長を求められます。会社の中で「売上はもう十分です」と言ったら確実に出世できませんよね。この点からして企業や経済というのは決して成熟へと至ることのない、破綻を運命づけられたシステムと言えます。
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そういえば電通の新入社員の頃、当時の副社長に「どうやったら出世できますか?」と聞いたら「健康でいることだね。40代に入ると健康問題で次々に脱落していくから」と言われたのを思い出します。健康に感謝。 twitter.com/shu_yamaguchi/…
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自分に嘘ついて生きると嘘ついてる自分を好きな人が寄ってくる。当然、この人たちとは友達になれない。嫌われる覚悟でリアルな自分を出すと嘘の自分が好きな人は離れていくけどそのうちリアルな自分に共感する人が現れて仲間になってくれる。
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よく「自分には権限がない」と言って動かない人がいますけど、根本的に考え方が間違ってて「権限がないから動けない」のではなく「動かないから権限が生まれない」んですよね。