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備忘録です。心理学者の河合隼雄さんの説明。人生で一番大切なのは「お話」で、自分の人生をストーリーとして語れる人は心の病にならないし、落ち着いて生きていけるけど、一方、心の病で苦しんでいる人は、つじつまの合う「お話」が見つけられずにいることが多いんです、と。
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これを敷衍して考えれば、広告会社やマスメディアにとっては「生活者に自信を持たせない」ことが影響力を保持するための至上命題になりますよね。常に不安を煽ることで自分の消費に関する判断や選択に自信を持たせないようにする。しかし、それでは成熟した消費文化というのは生まれ得ないですよね・・ twitter.com/shu_yamaguchi/…
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少ない順に並べると1:難しいことを簡単に言う人、2:難しいことを難しく言う人、3:簡単なことを難しく言う人、4:簡単なことを簡単に言う人。一見すると「3」の人はとても頭がよく見えるけど、時間をかけて読解しても得られる洞察は「当たり前だろ」ということが多いので要注意ですね。
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人が質問してる時、本当に質問したくて質問してることってほとんどないんです。大体は「私にもっと注意を払ってください」、「私はとても怒っています」、「私はとても心配です」のどれかを伝えようとしてる。だから質問に対して真正面から答えても対話は前に進みません。
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情報のことを文字と数字だと思ってる人が多い。でも世の中の大半の情報は「文字と数字」以外で記述されている。だからアート鑑賞が知覚を鍛えるのだ。キャプションを読んで作品を「わかったつもり」になってる人は大量の情報を日々無視して生きているのと同じだから、そりゃあ危ないですよ。
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「祈る」という行為がなぜ重要なのかというと、それが「優先順位を確認する契機になる」からです。利害関係の時空間を拡げるんです。逆に「魔がさす」というのは利害関係の時空間が一時的に狭まった瞬間を言うわけですよね。
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少し前に「共感しすぎて動けない」という状態に陥ってしまったことがあるのですが、本書を読んで危険な状態だったんだな、ということがよくわかりました。「共感には罠がある」ということをわかりやすく説いています。支援や奉仕に関わっている人は必読だと思います。
amazon.co.jp/Compassion-%E3…
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聖書で神が人間に出す最初の質問が「あなたはどこにいるのか?」です。これはとても重い問いですよね。神は全知全能ですから質問の答えはわかっています。ではなぜ問うのか?私たち一人一人がこの問いについて考えるためです。私はいまどこにいるのか?なぜここにいるのか?これからどこにいくのか?
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不幸になっていく人の特徴は「余計なことをすること」と以前にTweetしましたが、パスカルが「パンセ」で似たようなことを言ってます。「部屋でじっとしてられない。これが不幸の原因である」って。
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20世紀後半というのは最もテクノロジーによる社会変化の大きかった時代ですが、では質問。1950年の米国国税局の職業リスト記載の271職種のうち幾つが消滅したか?答えはたった一つ。エレベーターガールだけなんですよね。職業ってのは意外と無くならないってことです。
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老子もディオゲネスも「足るを知る人は幸福だ」と説いたけど、皆がそうなってしまうと需要は飽和して経済成長はストップします。つまり経済成長を求め続けるというのは「永遠に幸福になることを永遠に延期する」ということなんですよね。
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なぜ打席の数が大事かというと、成功は基本的に運だからです。運というのは確率ということですから、出力を大きくするには、率よりも数を増やすしかない。堀江さんはこれを多動力と言ってますが、成功してる人ほど色々やってるし、だから失敗もたくさんしてる。
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嘘はいけない、というのはモラルの観点から言われがちですが、より重要なのはいつも嘘を言ってると決定的な局面で嘘を武器に使えない、ということです。人生のどこか決定的な局面で「大きな価値を生む嘘」を使わなくてはいけない時、嘘を武器に使えないというのは大きなハンディになります。
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残念な人ほどヘンな例外を持ち出して反論する、と指摘しましたけど、これって受験エリートにすごく多いんです。なぜなら受験は例外をどれだけ知ってるかが勝負だからです。動詞の活用とか、試験に出るのは例外的なものばかりですよね?モノすごい悪影響の大きい訓練をヒタスラやってるという…
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コロナの影響でこのまま仮想空間シフトが進むと物理的に移動する需要が激減します。物理的移動は必ず炭素排出を伴いますからこれは環境にとっては非常にポジティブですね。自動車会社にとっては壊滅的な影響を及ぼすことになりますけど。
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圧倒的な成果を出す人はなにか必殺技の様なものを持ってると考える人がいますが、そんなものはありません。個々の行動に大した違いはなく、本質は「適切な順番」なんですね。「ビンタ」と「抱きしめ」。「抱きしめてからビンタ」と「ビンタしてから抱きしめ」では結果はまったく違う。文脈が全てです。
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Authenticity=オーセンティシティは「軸がある」ということ。「軸がある」というと「頑固」というイメージをもたれるかも知れないけど、それは真逆で、むしろ軸があるからこそ方法論においては柔軟に対応できるんです。瑣末なことに頑なになる人は軸がないので自信がないんです。
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密閉空間に集まるということが一定のリスクを孕むものになると、オフィスでの仕事が「命懸け」になります。宣言が解除されて早速オフィスに向かう人も多いようですが、そもそも「命懸けでやるべき仕事」なのか。ギャラップ社の調査だと日本で「仕事にヤリガイを感じてる人」はたったの6%ですからね。
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ポジティブというのはネガティブを消してしまうということではなく、ネガティブな事象の捉え方を変えるということです。お酒を飲んで忘れる、という手があることは否定しませんが、それをポジティブとは言いません。捉え方のフレームを変えるのがポジティブです。
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モノは二回創造される。一度目は構想として、二度目は実現として。一度目の創造はリーダーシップが、二度目の創造はマネジメントやスキルが鍵になる。音楽も絵画も同じですが「二度目の創造」のスキルばかり高めても「一度目の創造」がなければ虚しい。
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先日の早稲田入山先生の「創造性は移動距離に比例する」という言葉が忘れられない。僕ももうすぐ50歳ですが、これからは意図的に「旅」を学びの契機にしていきたい。パリの書斎にこもるサルトルとジャングルを透徹するレヴィ・ストロース。
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にわかには信じがたい数値ですが本当だとしても違和感はありません。僕は幼少期から非常にクリティカルな人間でそのために学校の先生から徹底的に意地悪された思い出があります。親が謝りに来なければ内申書かない!と騒いでた先生、どうしてんのかな。newsweekjapan.jp/stories/world/…
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リベラルアーツとビジネスの関係について話す際に「組織運営にはカルト教団の仕組みが参考になる」という話をすると「非倫理的だ」という批判が出ることがあります。でもミッションもパッションもクレドもヒエラルキーも元々は原始キリスト教団という「往時のカルト教団」で生まれた概念です。
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スキル礼讃の世の中でスキルの危険性を訴える。そういえば村上龍さんが坂本龍一さんを評して、一番気の毒だと思うのは3歳からピアノをやってることだ、と言っていますね。スキルとしては素晴らしいけどそれはシステムの奴隷になるってことで、そこから抜けるのは大変だろう、と。鋭いなあ。
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単に副業がいいとか悪いとかいうことではなく、その人の能力を社会がちゃんと使い切れるかどうかが大事。ある会社だけでその人の能力を使い切れなければ、副業して社会に貢献してもらった方がいい。