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抜擢人事が重要なのは、抜擢された人は、また誰かを抜擢することで「抜擢の連鎖を生む」ということです。大隈重信に抜擢された渋沢栄一が、やがて英国に留学していた山辺丈夫を抜擢する。「人に賭ける文化」が生まれるわけですね。これも「ペイフォワード」の一種と言えます。
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「家」というものの位置付けによってコロナの影響が随分と違いそうですね。以前から自分の家に「居場所」を作っていた人はそれなりにやっていける状況でしょうが、そうでない人にとっては「居場所でない場所にずっと居ろ」ということなので、これは精神的にキツイでしょうね。
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コンマリさんが世界的にウケたという事実は「モノにマイナスの価値が生まれてる」ことを意味します。モノは効用を持つわけですが「場所をとる」「手間がかかる」などの費用も生む。この「効用」と「費用」が逆転すると「マイナスの価値」が生まれる。このマイナスの価値を減らしてるわけです。
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子供の時から、いわゆる「ことわざ」に違和感がずっとあって、なんとなく説教くさいから嫌いなのかな、と思っていたのですが、よく考えてみると「単純化されたパターン認識に依存する知的に惰弱な態度」が裏側に潜んでいるから嫌いなんですね。今日のインタビューで気づいた。
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たよーせーたよーせーと最近はよく言われますが、多様性の増大はエントロピーの増大を招く。「砂糖だけ」より「砂糖と塩」のほうが料理の幅は広がるけど、砂糖と塩を混ぜてしまうとゴミになる。この点を理解せずに多様性だけを増大させれば単なるカオスがうまれるだけ。
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皆さん、選挙に行きましょう。この人たちを国政から外す大きな権力を持っているのは誰あろう、私たちなのですから。 twitter.com/shu_yamaguchi/…
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「学んでから動く」と「動いてから学ぶ」。システムが大きく変わると蓄積された学びのコンテンツが役立たずになるので「学んでから動く」はとても不利になります。こういう時代では、まずは「動く」。動いて経験から学ぶ人ほど強いでしょうね。
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1986年に無印良品の生みの親であるデザイナーの田中一光は「文明社会に対するひとつのレジスタンスとして、無印良品のような商品が生まれてきたわけであるから、それに共鳴する人はたぶん世界中にいると思う」と書いています。結果は見事にその通りになったという。
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情報は多いほど良いと考えている人がいますが「多すぎる情報」は「少なすぎる情報」よりタチが悪い。葛藤を常に抱えて迷っている組織や人の特徴は「多すぎる情報に翻弄されて右往左往してる」という点です。よくある予測はそういった情報の最たるものですね。
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一年後、自分の体を形成することになる分子は、いまこの瞬間、世界のどこにどのような形で存在してるのかを想像してみると楽しい。それはアルゼンチンの草原に生える草かも知れないし北海に漂うプランクトンかも知れないし新潟の里山の梢かも知れない。世界と私は不可分な流れであるという不思議。
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過去の言動との一貫性なんて考えず、その瞬間に面白そうだと思うものをやってみる。サマセット・モームも言ってますよね、守備一貫している人間なんて、そもそも存在しない、人間は破綻していて当たり前だって。 twitter.com/shu_yamaguchi/…
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贈与は「贈与された側」が贈与に気づいた時に初めて立ち現れる。しかし僕たちはなかなか「死者」と「自然」から受けた贈与に気づけません。この二つに気づかず「自分でなし遂げた」と考えてしまう人々のことをオルテガは「慢心した坊ちゃん=大衆」と表現したのですね。
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問題を見つけるのは確かに難しい。でも「世界が改善の余地がない素晴らしい場所だと思いますか?」と訊かれれば多くの人は「否」と答えるでしょう。ではなにが「否」なのか。その「否」に新しいビジネスのヒントがあります。みんな知ってるんです、あとはやるか、やらないかだけ。
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日本の労働生産性の低さを批判する人はたくさんいますが労働生産性は「失業の問題」と表裏一体だということは意識した方が良いと思います。経済学者のタイラー・コーエンは米国の00年代の労働生産性の向上を「賃金に見合う生産性を発揮できない人を大量に解雇したから」と結論づけています。
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新しい職業には名前がない。名前をつければそれは必ず「過去」になります。名前がないということはそれを材料にして思考できない、ということなので、だからこそ新しいことをやろうとしてる人ほど思考より直感が大事だということになりますね。
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大企業がもたらす社会コストとして「所属している人の沈黙」があると思う。大企業には多様な利害関係があるので徒に個人が意見表明すると関係者と摩擦を起こす可能性があり、これを嫌がって公的な意見表明をしない人が多い。これは義務の放棄と言うべきで民主主義にとって極めてネガティブだと思う。
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考えて生きる。電通赤字のニュースで「辞めて良かったね」と言ってくる人がいる。会社はクジ引きでは選ばない。僕が電通を辞めたのは「この会社は近々利益を出せなくなる」上に「この会社では評価されない」と考えたからだ。想定通りのことが起きただけで「ラッキーだったね」的なことを言われてもね。
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不確実な時代だからこそ「基本原則」が大事だと思うのですよね。「アレがいい」「コレがいい」と振り回されない。常に正しい判断をするための「基本原則」を持つ。極端にいえば、教育の目的はこの原則を植え付けることであって、語学などの知識やスキルは枝葉末節と言ってもいい。
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日本の生産性が低いのは「クソ仕事の乗数効果」のせいもあります。メーカーがクソ製品を作ると、代理店がクソ製品を売るためのクソ広告を作る等、全ての仕事が価値を生み出さないクソ仕事の連鎖になる。自分の人生は世の中にクソのような商品を押し込むことなのか。クソ仕事の連鎖から抜けよう。
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これはチェスタトンが言ってることですけど、普通、私たちは「理性を失うこと」を「狂気」と思ってるわけですけど、真逆で、実際は「理性だけになること」が「狂気」なわけですよね。だから高偏差値の人が学生運動やカルト宗教に没頭して理性に導出された教義に則って人をリンチして殺すわけです。
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「自分に何が起きるか?」という不安に苛まれたのが近代だったとすれば、現代は「自分に何も起きないのではないか?」という不安に苛まれています。これはツライですよ、だって「何も起きないゲーム」を24時間、一年365日やってるわけですから。普通は発狂しますよね。
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絶対に壊れない巨大なエンジンを作るために莫大な費用をかけるよりも、多少なら壊れても大丈夫なように多数の小型エンジンを搭載してコストを下げる。これがスペースXの戦略ですが、同じことを「専業か兼業か」という問題に当てはめて考えると人生の戦略そのものが変わります。
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「待つ」というのは消極的な態度に思えますが、ネガティヴ・ケイパビリティの中で最重要だと思います。時を味方に付けられるかどうか?物事には「然るべきタイミング」がありますから「待てない」というのは複雑性の高い状況では大きなリスクになります。タイミングとシークエンスを意識する。
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これだけ「多様性、多様性」と喧しく叫ばれるともはや全体主義と紙一重ですね。
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LGBTは生産性が低いとかほざいて叩かれてるマヌケな人がいるみたいですけど、結局、教養の問題なんだと思います。ソクラテス、レオナルド、カラバッジオ、ワイルド、ウィトゲンシュタイン、チューリング、ソンタグなど、人文科学の巨人の多くがLGBTでした。あんたの生産性と比較してどうなのよ、と。