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ロシア軍による戦争犯罪自体も問題ですが、こういう戦争犯罪を隠蔽、または他者に転嫁するロシア側の報道による一般のロシア人の他国の人間との認知のズレは、それが積み重ねれば積み重なるほど、いつかは来るであろう停戦後の一般人同士の情報交流が再開した時、対立を決定的なものにしそうだなあと。
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「殆どのロシア人はプーチンを支持しておらず弾圧を恐れて口を噤まざるを得ないだけ」という可能性もないとは言いませんが、報道を見る限り、ロシアでは自国の報道を信用してる人が多いようですし、そのロシア側の視点でウクライナ人に話したりしたら、それこそ殺されても文句言えないのではという感が
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例えば、今回の惨劇が起きたキーウ周辺地区の住人に、一般のロシア人が「ウクライナはネオナチのせいでこんな悲劇が起きたことは大変悲しい。我々の軍がもう少し頑張っていればこんなことには」と善意から謝意を示したりしたら、言われた側はどう受け取るだろうかと。
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「一般のロシア人は悪くない」とはよく言われますが、まあ確かに現時点で直接手を下してないという意味で言えば悪くないんでしょうけど、その後、おそらく起こるであろうこういう事態に於いてもそれは通じるのかね?というのはある。「悪気はなかった」なんて言ったら余計に煽るようなもんでしょうし。
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つくづくこの戦いは、ウクライナとロシアを決定的に決別させた戦いなのだなあと。この戦いの後、ウクライナは「侵略者ロシアと戦い、多くの犠牲を払ってこれを打ち払った」ことが国の成り立ちとして刻まれるでしょうし、ロシア側がそれを認めるとも思えないので。
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義仲、草薙剣(よくわからんが大事な刀)の代わりに自分の(大事な)太刀を差し出すの、個人としては善良なんだけど、教養がないと却って印象が悪化する、という典型に過ぎる。義高を人質に差し出したのと根は一緒なのよなあ。#鎌倉殿の13人
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今回の #鎌倉殿の13人、教養の有無というか、特定の社会空間におけるコードを知らずに行動を取ると、それだけで不利になる、ということを義仲の行動で示し、逆にそれを踏まえた上で動けることが政治的にどれだけ有利に働くかを頼朝の動きで示したの、大変対比的な回でしたな。
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この辺、鎌倉が二つに割れそうという後半の流れに於いて、離反側が好き勝手なことを言って統一されてないのも、そういう棟梁になれる政治的正当性を持ってる人間が、この時点だと坂東には頼朝しかいないことの反証になってて、武力の有無とまったく違う論理が示されてて面白いところ。#鎌倉殿の13人
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前回、義仲が個人としては大変善良で好感の持てる人物として描かれたのも、朝廷という社会空間に於けるコードを知らないことが、どれだけマイナスに働くかを示すのに効果的でしたな。草薙剣の代わりに自分の太刀を差し出すズレっぷりは、現代人から見ても(アカン)と確信できますし。#鎌倉殿の13人
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そして、武力集団が規律の無いままに振舞うとどういうことになるかも、京における義仲の軍勢の狼藉という形で示されてて、それを自分が歩き回って直接追い払ったり助けたりしてる義仲の姿が、これも組織として鎌倉を統制しようとしてる頼朝と対比的でしたな。#鎌倉殿の13人
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あくまで「俺を頼ってくるなら面倒見てやるよ」という個人同士の繋がりの延長で集団を捉えた「大将」義仲と、「棟梁はその構成員たる御家人たちを庇護し、それに対して御家人たちは棟梁の命に従う」という組織を作り上げることを優先した「棟梁」頼朝の差がくっきり出てた良い回でした。#鎌倉殿の13人
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重忠「源氏の棟梁が誰か我らには関わりがないこと」
広常「御家人なんざ使い捨ての駒だ」
広元「最も頼りになる者が、最も恐ろしい」
政子「命を懸けて戦った者がいるからこそ今の鎌倉がある」
この物語の先を示す言葉がこの回に詰め込まれてて、その意味でも「足固め」といえますな。#鎌倉殿の13人
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広常が自身に背く気などないことは頼朝も十分承知した上で、しかし「鎌倉」という組織で二度とこのような事態を起こさない為の生贄として最も相応しいから、嘘も承知で誠心誠意その嘘を貫徹し、広常を「謀反人」として討った訳で、「棟梁」源頼朝という人物の描写として満点でしたな。#鎌倉殿の13人
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前回・前々回と絡めて見ると、個人としては善良で立派な武士である「親分」義仲が、その善良さ故に組織を制御できずに破滅していき、個人としてはへっぽこすけべえ殿な頼朝が、「棟梁」として政治的判断に基づいた処断を貫徹し組織を堅固にしていく対比の強烈さが更に際立ちますな。#鎌倉殿の13人
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義経「歴史はそうやって作られていくんだ」
”源義経”がこういうことを言うのがまたメタいなあ。#鎌倉殿の13人
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この鎌倉という組織の怖いところは、御家人たちは基本的に限られた範囲でしか状況を把握できないのに、頼朝の方は彼らを処断する判断を任意に行えるという非対称性ですな。光澄の死はその典型で、命令を達成したら死亡フラグがその場で立つとか、こんなもん無理ゲーも程があるじゃろと。#鎌倉殿の13人
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「俺一人が腹を切れば済むこと」
「その時は介錯を頼む」
「あいつの首を取れ」
みたいな言い回しは今でもあるから、実際の行為としての切腹や首取りはなくとも、概念的なものとしては現代まで継承されてる感があるので、概念的首狩り族という形容はどうじゃろかと思ったり。togetter.com/li/1699165
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あと、頼朝と義経の対立の発端となったのが景時の言であること自体は従来と同じなものの、その中身が
「鎌倉殿と九郎殿、どちらにも天命を感じる…」
↓
「そうだ!勝った方が真の天命を受けた御方ということにしよう!」
という景時超絶厄介勢化なのが度肝抜かれましたな。#鎌倉殿の13人
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壇ノ浦の「勝利」に対する評価が、政治的・戦略的失敗という点においては「𠮟りつけてやる」なのに、平家を滅ぼした点においては「九郎がやってくれた…!」と涙して喜ぶのが、頼朝に私人の面がまだあるというとこで、義経の追討によって、私人としての頼朝がまた摩耗しそうだなあと。#鎌倉殿の13人
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しかし、本当に今回一番度肝抜いてきたのは、景時の讒言の意味付けでしたな。景時と義経の関係にサリエリとモーツァルトの関係性を被せてきた時、これは嫉妬からの讒言という流れかと思いきや、まさかの「真の天命を受けた御方を見出す為の策」という流れで、こんなもんわかるか!と。#鎌倉殿の13人
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これ、今後の義経の転落展開で、
「九郎殿が真に天命を受けた御方であるならば、
この窮地も生き残れるはず…!」
↓
「やはり生きておられた…!(恍惚)
ならば次の仕掛けを!」
とかいう流れになるんじゃなかろうか。#鎌倉殿の13人
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面白いのは、義経に対する鎌倉側の認識が「九郎殿が鎌倉殿に謀反する訳がない」で一貫してるところで、義経個人の本心はどうあれ、表に出た行為こそが問題なのだという政治に巻き込まれたのが義経の悲劇という描き方でしたな。この辺は頼朝本人すら義経を許したいと思ってるので、尚更。#鎌倉殿の13人
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頼朝「次はもうない」
天命が尽きてるのを自覚出来てる辺り、逆説的に本当に天命を受けた者である証ともいえるなあ。#鎌倉殿の13人
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今回の #鎌倉殿の13人、「鎌倉殿が亡くなったら、鎌倉はどうなるか」のシミュレーション回であり、かなりの数の御家人たちが富士野にいるにも関わらず、鎌倉に残った面子だけでこの騒ぎなのだから、本当に頼朝が亡くなったら、地獄の釜の蓋が開いたも同然の状況になるのが容易に想定できるのがまた。