いかん出遅れた、すまん芳賀君! エントツガイは彼が最も得意とするフナクイムシ科です。異様に長い棲管(殻ではない)が時折売られていますがそれらはフィリピンなど外国産で、まさか国内にもいたとは驚愕。同じ科の他種は木材に穿孔しますが、この種はマングローブの泥底に埋もれているとのこと。 twitter.com/nhk_news/statu…
なお名前に「タマノ」とあるのでタイプ産地も玉野市と誤解されがちですが、実際は香川県高松市小槌島・坂出市室木島と岡山県倉敷市堅場島の3箇所なので注意が必要です。瀬戸内海では今も場所によっては多産しますが、個体群の動態が精査されたわけではなく、環境悪化の影響もないとは断定できません。
さらにKeen & Smith (1961)はこの類の再検討論文を公表し、その緒言では、タマノミドリガイの生貝発見は当時「20世紀貝類学最大の発見」と称された単板綱ネオピリナに匹敵するとまで讃えられています。画像は川口先生がKeen博士へ提供し、後に何度も転載された写真です。… biodiversitylibrary.org/page/15772457
原記載は岡山大理学部生物学科の紀要というマイナー極まる媒体にひっそり掲載されましたが、何とこれをCox & Rees (1960)がNatureに長々と紹介し、以後世界各地から近縁種の報告がNatureに8回も載る事態となりました。真に価値ある報告はどこに書こうと読まれる好例です。... doi.org/10.1038/185749…
しかし殻は一見二枚貝そのもので、川口先生が生貝を発見するまではイガイ科などに近縁とされてきました。肉抜きすると軟体部の中央あたりに「貝柱」(閉殻筋、他の巻貝の殻軸筋が変形したもの)があり、これまた二枚貝そっくりです。ただし殻頂附近に靭帯はあるものの鉸歯はありません。…
岡山県の貝類で忘れてはならないのは、殻は二枚貝状なのに実は巻貝のタマノミドリガイ。1959年、岡山大玉野臨海実験所の川口四郎教授(当時)が初めて生貝を報告して世界中を驚かせました。触角も眼も歯舌もあり、殻頂の胎殻は巻いているのでれっきとした巻貝です。潮下帯のイワヅタ類に着生します。…
先月イタボガキに邂逅したラ・ムー大安寺店に昨夕寄ったら、香川県産ベイカ4個体が見切品3割引で300円でした。この種は国内の分布が瀬戸内海・有明海等内湾に限られ、環境省海洋生物RLに載った唯一のイカでもあるので前から気になっていたものの、標本もなく知識も乏しいのでこの機に購入しました。…
福田家代々の墓は国東半島の海辺にあります。一昨年、父が白寿で往生したので納骨室を開くと内部の暗闇に無数のオカチョウジがいて、祖先の骨を殻の材料としているようでした。周囲の落葉間にはナタネガイ属や準絶滅危惧のウメムラシタラもいました。私もいずれ、ここで陸貝たちの殻になるのでしょう。
ニューギニアヤリガタリクウズムシに捕食されるチャコウラナメクジ(多分)。元ツイ2個目にもある通り、このウズムシは太平洋の島々へ移入されて在来の陸貝を凄まじい速度と規模で食い尽くし、絶滅へ追い込んでいます。小笠原や大東諸島でも被害甚大で、固有陸貝の保全上、目下最大の問題の一つです。 twitter.com/crevicedwellin…
昔、ドイツのゼンケンベルク博物館にオカミミガイ科のタイプ標本が見たいと頼んだら、「その科を含む基眼類のタイプは先の大戦の戦火で全て灰燼に帰した」と。パラオのペリリュー島には森の中に朽ちた日本軍の戦車があって、その周囲はろくに陸貝がいなかった。戦争は人も貝も分類学をも焼き尽くす。 twitter.com/kamefuji/statu…
NHK大河ドラマでは同様の例が過去にも複数あり、例えば2010年の「龍馬伝」の序盤では、若き日の坂本龍馬が土佐の実家にいた時分、雨上がりに突然、東北固有のムツヒダリマキマイマイが匍匐する映像が大写しで挿入されて絶句しました。ドラマの考証対象に貝類が含まれていないのが残念でなりません。
鎌倉時代にこれらの種が登場するのは、南蛮渡来の鉄砲が平然と現れるのと同じくらい斬新な演出です。もちろん作品全体がフィクションなのですから殊更目くじらを立てるつもりはないのですが、せっかく物語に気分良く没入していたのにたかが貝殻数個で集中を削がれ、興醒めしてしまうのが悔しいです。…
昨晩のNHK大河 #鎌倉殿の13人 7話の開始後13分39秒頃、頼朝と北條氏らが房総半島の勢力図を囲んで軍議する場面が現れましたが、その地図上に面妖な貝殻数個が置いてあり愕然としました。フィリピン周辺産のムラサキマルシジミをはじめ、熱帯産で千葉県からは一切記録のない種が複数映っていました。…
【緊急声明】 軟体動物多様性学会自然環境保全委員会は、石垣島前勢岳でのゴルフ場付高層リゾートホテル建設に反対します。アンパルの湿原と石西礁湖など、予定地周辺の重要な自然環境と生物多様性への配慮がきわめて不十分なまま、環境影響評価が行われているからです。 (同委員会委員長 安渓遊地)
環境省とヤフオク両者の声がはっきり世に出たのは貴重です。節度なき乱獲へ拍車がかかる一方だったところへ、やっと歯止めがかけられた形で、SNS上の批判も大きく貢献したようですね。 なお、記事中のカワシンジュガイ写真は3枚とも岡山県蒜山産です。小坪さん、使って戴きありがとうございました。 twitter.com/SciKotz/status…
貝類の長い和名を改めて調べる必要に迫られ、目につく限り拾い上げてみました。唯一20字の大台に達したレーズン〜の首位は不動ですが、19字の種は見当たりません。18字2種、17字3種、16字9種で、15字から急増し、14字は多過ぎて途中で諦めました。15字以上で漏れがあればご教示戴けると幸いです。 twitter.com/SocStudMollDiv…
コペムシさん発見のこの貝に対して的確な判断ができる人は、いま世界でも早瀬善正前副会長ただ一人なのですが、その早瀬さんがこの個体をコペムシさんから受け取り、分類学的検討を手掛けるという理想的展開となりました。既に内部形態を検討されて驚きの結果が得られたとのことで、慶賀にたえません。 twitter.com/KOPE_MUSHI/sta…
次回の #タモリ倶楽部(26日深夜0:20、関東)は「私は貝を抜きたい!ぬきもちいい貝決定戦〜冬の陣〜」がテーマで、中の人福田が出演します。様々な巻貝の肉抜きを実際に試みたタモリさんたちへ、その意義やコツなどを、以前ツイートした内容(RT)を交えてお話ししました。 tv-asahi.co.jp/tamoriclub/ twitter.com/SocStudMollDiv…
ほど前にしていました。しかし、いつからかこの約束が守られず、稀少種への配慮がなされないまま事業が実施されていることがわかり、県に履行の申し入れをしました。そのさなかの今回の出来事でした。県はレッドリストを作るのは熱心ですが、それが全く活かされないのに腹が立ちます。地元新聞にも...
投書しました。フェイスブックにアップしていますのでこちらもぜひご覧ください。 facebook.com/akagashi/ [ツイート2個目の]風景画像は今回の掘削後です。タケノコカワニナは1枚目後方のカーブあたりまで多産していましたが、河床が丸ごと削り取られてしまい、全く見られなくなりました」。
長崎県佐世保市の川内野善治会員から今朝届いた悲痛な訴えです:「江迎町鹿町川のタケノコカワニナを見に行ったら、河床掘削が行われ絶滅していました。市内で消失した個体群はこれで2つ目です。河川改修にあたっては県河川課と私達の「ふるさと自然の会」が、保全に関して事前協議する約束を15年...
これは私の修士論文(1994. 小笠原研究20号)に含めた絵。この時は修論に入れ込み過ぎた結果、教授会で後始末が議論されるほどの問題を起こしてしまいました(今となっては笑い話)。結局、絵は時間と労力を要するので、他を犠牲にしてまで没入できるかと自問して、必要最低限にしようと決めました。…
イカの解剖図も描きやすい上に簡単に可愛くなるので、お得感があって割と好き。
解剖図の板書は、体力使うけど私も好きです。受講生の眼前でさっと描いてみせ、各自でノートに再現してもらえば、プリント配布やpptで伝えるよりも印象に残るはずです(写メは遠慮してもらいます)。ここ2年はコロナ禍で実施できていませんが、それ以前は毎年こういう絵を描いていました。 twitter.com/japanfossil/st…
この記事(及び「参考文献」の英文2記事)には看過できない誤りがあります。既に(1903年)記載されていた亜種が、このたび種へと階級が変更されたのであって、「新種」ではありません。それに何度も言いますが新種は「認定」でなく「記載」するものです。 twitter.com/NazologyInfo/s…