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このように考えるとタイムマシンが発明されたからといっても「史料が実は間違っていた」と指摘するのは結構難しそうですし「更なる発見」を史料に追加するのも容易ではなさそうです.プラトンほどの著名人でさえもこのような難題があるのですから,これがマイナーな人物や事件,災害であれば尚更です.
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「妻の留守中に外人の奴隷女と不倫するのが最高」というのです.現代の価値観で裁くべき事ではないですが,やはりこの一節を現代人である我々が反戦の歌として有り難く引用するのは賛成できないのではないでしょうか?これはあくまでも例えばの話ですが,古代の史料からの引用は慎重にということです.
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#同一人物とは思えない画像を貼れ
智天使(ケルビム)
中世⬅ ➡近代
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昆虫食を嫌悪する心に進化的な基盤があるというトンデモ話で,進化心理学がトンデモ学問扱いされると切ないので少し呟きます.進化心理学の成果として有名なのは「エディプス・コンプレックス」の定量的な否定に成功したことです.フロイトによれば男児は父と母親を巡って性的な葛藤があるとされます.
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最終的に「現状では分からない」ということを調査した論文をご提示していただき大変に勉強になったのですが皆さんも教科書で習ったことをうろ覚えでツイートするときは気を付けましょうね.SNSは日常会話のようにはいきません.確実な史料と最新の解釈にもとづかないと大恥を晒すことになりますよ😂
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この難題はタイムマシンに関係なく現時点で難題です.例えばタレス,プラトン,アルキメデスらが「エジプトへ行った」と史料にある場合,そのエジプトは同じエジプトなのか?「これらの史料にある『エジプト』を同じエジプトであると史料の作者は考えている」という解釈に合意するしかなさそうです.
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黙読という習慣についての歴史が分りやすくまとめられています.ソクラテスの「ダイモーンの声」を「近代的な内面の良心の声」とする解釈があるのは知りませんでした.読書好きの方はきっと[参考文献]を手元に置いておきたくなるはずです.
jstage.jst.go.jp/article/johoka…
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ここからは少し込み入った話になりますが,アキレウスはアガメムノンの「償い」を受け入れません.彼はアガメムノンに「反省」を求めているように見えます.「反省」を知らない人々の中で,アキレウスはその感情に肉薄していた.だが誰もそれを行為にすることができない.それが悲劇を生む.
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なおアキレウスを怒らせ,戦線離脱を誘発したアガメムノンは,諸将からその責任を追求され,叱られると次のように返答します.
「長老よ,御身が私の愚かさをけなしつけたのも尤もである.迷いであった,それを身とても否みはせぬ」
この素直な「自己否定」に反省,自己と魂の動揺はみられませんね.
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そして謝罪を欲している人に,きちんと謝罪が届くように説得してあげることができれば,なお素晴らしいと思います.それこそ『イリアス』における悲劇を防ぐ手立てかもしれません.謝罪を拒否することで生じる「破局」は被害者だけでなく,加害者そして周囲の人にも無関係ではないのですから.
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少し補足しておくと,近世になりガリレオのような「数理科学」に卓越し「哲学者」と名乗りたがる「科学者」が現れた時代があります.それはデカルトやパスカルといった哲学者が先端科学を牽引した時代です.ただ2600年の哲学の歴史からすれば,それは極めて例外的な期間といえます.
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これは「反戦」を歌い上げた詩に聞えますが,古代の戦争の研究者であるサイドボトムは「古代に絶対的な反戦を訴えた思想家はいない」と言います.『平和』の一節もそういった背景を知って読まないといけないわけです.さらにこの一節には衝撃の続きがありまして,平和になって何をしたいのか?