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本を返しに来た他ゼミの院生が「一人では無理なんです、側にいてください、先生しか頼れないんです」と縋るように訴えてきて、OKするやその場で「もう無理」と譫言のように繰り返しながら通販で届いた推しのグッズを開封し、推しへの愛を熱く語って帰って行ったの、限界オタクっぽくてとてもよかった。
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エレベーターで工事の人たちが「何そんな可愛いの着てんだよ」「仕方ないだろ、他になかったんだよ」と殺伐トークしていると思っていたら、可愛いトレーナーの人が降りた後、残った人たちが「子鹿のバンビだろあれ」「可愛かったな」と語り始め、弄りではなく普通の「可愛い」トークだったと判明した。
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卒論修論に取り組んでいる皆様。人類は愚かなので予定を立てるときに自分のスペックの倍くらい作業が進む前提で考えがちです。ですから「7割の出力で頑張り、週に2日は他のことやる」くらいの計画を立てておき、毎日全力で取り組むとスムーズに終わります。あと、夜は寝ろ。愚かな人類からは以上です。
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本日研究室にわさびと卸金と大量のバニラアイスを持ち「わさびアイスパーティをしましょう!」と現れた隣のゼミ生と、YouTubeで偶然わさびの美味しい卸し方動画を見ていたうちの院生と、居合わせた四年生たちのコラボで幸せわさびアイスパーティが突如勃発した。大学って本当何が起こるかわからない。
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猫に興味がないうちの弟は足元に近づいてくる猫に「すみませんが近づかれると困るので少し退いてくれませんか」と丁寧に交渉する上に、猫に興味がなさすぎて猫の運動神経を理解しておらず「猫の通路に荷物があるのよくない」とせっせと片付けるので滅多に猫に会わない癖にめちゃくちゃ信頼されている。
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研究室の蔵書を減らすべく「知人に引き取ってもらいます」と段ボール箱に詰め込んだ本を発送しに生協に行った先生が、そのままの足で書籍売り場の沼に吸い込まれて行ったので、まぁそうですよね、本を減らすなんて人類には無理ですよね、と思うなどいたしました。
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学内の草むしゃりに2頭の山羊さんをお招きしているそうなのだが、お世話係の学生さんが「冬なので他所で仕事のなくなった山羊さんが新たに来ました」という。3頭になったのかなと思ったら「6頭になりました!」とのこと、山羊さん6頭vs大学の草、大学冬の陣がかつてない熾烈な戦いになりそうで楽しみ。
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夜雨の中、学内猫に「にゃあ!」と茂みの中から声をかけられ「ご飯の人じゃないですよ」とお伝えしたものの、その「にゃあ!」を聞きつけて道の向こうから、奥の茂みから、私の背後から次々学内猫が「ご飯の人だー!」と駆けつけてきて違います!人違いです!となった。
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卒論修論生さんへ
大事なのは学位論文を無事に提出することです。そのためには適度な睡眠の食事が必須です。あと、プリンタ、パソコン、USBメモリに論文の締切がバレないように注意してください。電子機器には重要な締切を感知すると壊れたふりをする習性があります。
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関係者以外立ち入り禁止の日の学内に入ろうとするお散歩中の犬と人、良き棒を拾いはしゃぎ歩く犬、駆けつける本学職員、「ようこそ!犬のところに!ようこそ!」とテンション爆上げの犬、ご理解くださる飼い主、棒を捨ててじゃれつく犬、犬にわしゃわしゃ対応する職員、「またね!またね!」と去る犬。
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賢い担当の猫が何度も私を呼びに来ては、さっき私が出してきた座布団サイズの猫用ホットカーペットに飛び乗って「見て!これ猫のすごく好きなやつ!見つけた!見て!」と興奮気味に報告してくれている。
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講談社の『杜甫全詩訳注(一)』の重版がかかるそうでめちゃくちゃ嬉しい。「春望」などの超有名作品のほか、エンドレス就活戦士杜甫の限界自己PRポエムも多数掲載されています。杜甫だったから何とか耐えられたけど李徴ならきっと虎になっていた、そんな過酷な日々を追体験して心底めげてみませんか。
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謎を煮詰めた煮凝りみたいな中国古典の地理書『山海経』をなぜか映画化してしまった『山海経 霊獣図鑑』、kimi先生と観てきました。しゃべらない怪異は服を着なくていいが、しゃべる怪異はきっちり服を着込まなくてはならないという現代映画の倫理のおかげで主要な怪異がみんな服着ていて最高でした。
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うちの学生ではないのだが、以前「ごんぎつねで報連相の大切さを学んだ」という感想に出会ったことがあり、「それはそうじゃなくて、いや、でも、それは、うん、まぁ、確かにそれはそう」という思いを抱き締めて生きている。
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この季節の犬、街ですれ違うと「わたしはいぬ!わたしはいぬ!うれしい!うれしい!うれしい!わたしはいぬ!」と跳ねていくので、この世界に犬がいて本当によかったなあと思う。
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ドラマに出てくる大学教員はいつも研究中か授業中で、書類が難しくて爆発していたり事務の方にお詫びメール書いて切腹していたり立て続けの会議に萎びていたりしていなくてリアリティがないなと思っていたけど、私も研究室に刑事が来たら慌てて研究してたふりする気がしてきたのでそういうことかな。
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人類「竜田川が緑色になったんだって」
賢い担当の猫「ふな」
人類「世の中は何か常なる竜田川ってやつだね」
賢い担当の猫「ぐぐぐなるぐるるなる」(何かめちゃくちゃ語り出す)
人類「あ、あの和歌は竜田川でなくて飛鳥川か」
賢い担当の猫「ふな」
時々賢い担当の猫が本当に猫なのか不安になる。
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鎌倉殿の13人、きのこという三浦義村最大の裏切り行為が最終話で露見したが「嘘つきは自分の嘘を覚えていないとダメ」という尼将軍の基準に照らせば覚えていたのでセーフ。
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授業を録音していて一息に長く喋ったところで、猫が「にゃーん!」と力強くカットインしてきて、テンパって「いま猫が来まして、あの、ちょっと黙ってもらっていい?」とか実況しながら猫と喋ってしまい、撮り直すか悩んだ挙句、そのページに副音声話者の写真を貼って先に進むことにした。許されたい。
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今朝、猫のお気に入りのバスケットに猫に秘密で厚手のタオルで包んだ電気あんかを入れたのだが、帰宅したら弾丸のように飛び出してきた猫、私の姿を確認するや折り返してバスケットに飛び込んで「どうよ?」とドヤ顔してくるので、私の留守中に電気あんかを発見したことを教えてくれたかったらしい。
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朗らか担当の猫、私に抱っこされて薬を頑張って飲んでくれて偉い。飲んだ後必ず私の腹に顔を埋めて「人類のこと……信じていたのに……裏切られた……」としおしおになるが、だんだん喉を鳴らし始め、すぐに「人類のお腹!うはは!お腹!楽しい!うはは!」と謎テンションになってくれて非常に助かる。
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賢い担当の猫に体当たりしてじゃれついていた朗らか担当の猫に対し、基本的に猫に興味のない弟が「ほかの猫にそんなふうに体当たりするのはよくない、今のはラグビーでもイエローカードが出る」と説教していて、朗らか猫が神妙な顔して聞いているので笑ってしまった。
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大きな犬も小さな犬も「可愛いなぁ」と思いながら見ていると「可愛いなぁと思いながら犬をご覧のあなた!こちら!可愛い犬です!あなたと目が合って!鼻の先から尻尾の先までとっても嬉しい犬です!可愛い犬です!どうぞ!ご堪能ください!」みたいな顔をしてくれるので通りすがりの多幸感が半端ない。
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可愛い担当の猫はクリアファイルをがぶがぶ噛むのが趣味だったので、生前は穴だらけのクリアファイルを量産しては人類を困らせていたのだが、この世を去って3ヶ月以上が過ぎた今、可愛い担当の噛み跡のあるクリアファイルは「レガシー」と呼ばれ、宝物として大事にしまわれている。
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賢い担当の猫が「そのストールをベッドに敷いて猫がその上に乗ったらくるりと包んでほしい」というのでその通りにしたら黙ってストールから出てきて私をじっと見るので3回同じことを繰り返した。3度目にやっと「にゃぐ」と一言鳴いて寝始めたのだが、多分あれは「やればできるじゃない」と言っていた。