田中 弘 本庄 綾子 白鳥 啓介 全力院 玉蹴之助 神田 淳史 山田 由香里 「まただ…登場人物一覧ページの時点で、もう犯人わかっちまった」 「どうしてわかるの?」 「この推理作家、せっかく謎は面白いのに、同じ名前の子が現実でイジメられないようにって、犯人には必ず存在しない名前つけるんだよ」
【ピカチュウ、見つかったから】 ※140字以内で完結する小説でした。 #pixivFANBOX に、140字小説の個人的ノウハウ記事を投稿しました! 100円で全ての投稿を閲覧できるため、もしよければ、ご支援いただけると嬉しいです☺ hojo-kai.fanbox.cc/posts/3817438
「思えば、お前とは随分と旅したなぁ…ピカチュウ」 「ピカ♪」 「お前と山ではぐれた時は、もう2度と会えないかと思ったよ」 「ピカ!」 「もういいよ、ピカチュウ」 「ピカ?」 「ずっと…演じてくれてたんだろう?」 「……」 「もう、いいんだ。ありがとう、メタモン」 「…………モン」
宿題もせず遊ぶ息子に怒り、ゲームは鍵付きの箱に入れた。宿題を済ますまで鍵は開けない。それ以来、息子は必死に勉強した。そして見事にピッキングで鍵を開けられるようになった。思えば、それが奴の最初の〝盗み〟だった。 今や大泥棒となった奴を、俺は止めねばならない。 刑事として、父として。
マッチングアプリで知り合った男性と待ち合わせしてると、怪しいオジさんが話しかけてきた。 「お待たせしました」 「は?誰ですか?」 「タロウです」 「え?写真と違い過ぎません?」 「あれは10年前の写真ですので」 「いやそれ規約違反じゃ?」 「失礼な。載せてから10年が経過しただけですよ」
「昔、元カレから貰った贈り物って、なんか捨てらんないんだよね」 「わかる!私も捨てられないもん」 「例えば何貰ったの?」 「包丁」 「えぇ…変わってるね」 「うん。『もし俺が浮気したら、これで刺していいよ』ってくれたの」 「捨てなよそんなの…」 「でも…捨てたら証拠隠滅罪になっちゃう」
父の訃報が届いた。 俺が歌手を目指して家を飛び出したその日から、俺は勘当されてると言うのに、今更どの面下げて葬式に出ろって言うんだ。 出棺される父を見送る。話によると、出棺の際に流す曲は、予め指定できるらしい。それは、父の遺言の1つだったそうだ。流れたのは、俺のデビュー曲だった。
幼馴染と俺の中身が入れ替わって5日になる。いつになったらお互いの体に戻れるんだろう。 「お母さん。俺…あ、私 今日 晩ご飯いらないから」 「懐かしいわね」 「?」 「覚えてないわよね。アンタ小さい頃、1人称をよく間違える時期があったの」 もしかして… 今、俺達は入れ替わってるんじゃなくて…
「ねぇママ。魔族の定義って何?」 「あぁ、賢い私の坊や。私達に害を成すのが魔族よ」 「でも、熊さんも襲ってくるけど、魔族じゃないよね?」 「坊や、熊は喋らないでしょう?」 「じゃあ、言葉を喋って、僕達を襲うのが魔族なんだね!」 「そうよ。彼らは、自分達をヒトと呼んでるみたいだけど」
コンビニ強盗は銃を突き付けた。 「金を出せ」 「お客様、大変です!」 「あ?」 「銃にセーフティー(安全装置)がかかったままです」 強盗は鼻で笑う。 「そうやって隙を作ろうってか?クラシカル(古典的)だな…その手には乗らねぇよ」 強盗は勝ち誇り、続けた。 「モデルガンにそんなモン無ぇからな」
「本当にいいんですか?この物件は、幽霊が出ると評判ですが…」 「いいんです」 俺は荷物の開封を終え、部屋の中を見て回った。柱にはペンで120cmと書かれてる。身長を測った跡だ。ふと、人の気配がして振り向いたけど、誰もいなかった。 母さん? ただいま 俺、今はもう178cmもあるんだよ
〝独りが好きな人〟オフ会に参加してきた。 店を貸し切り、全員独りで座り、黙々と酒と食事を楽しむ会だ。勿論、話しかけるのはご法度。沈黙に始まり、沈黙に終わる。 そんなオフ会も、今や参加しているのは俺だけだ。俺は〝蟲毒〟の作り方を思い出しながら酒を飲んだ。毒のように、美味い酒だった。
今日は愛しの彼女と水族館デート 「夜は何食べたい?」って聞くと彼女は「お魚♪」と答えた。 今日は大好きな彼女と動物園デート 「夜は何食べたい?」って聞くと彼女は「お肉♪」と答えた。 今日は彼女とお家デート 「夜は何食べたい?」って聞くと彼女は「君♪」と答えた。
「予告通り、今日、お前の命を取り立てる」 死神が鎌を振り上げるのを見て、俺は目を瞑る。 「あぁ。おかげで、人生で最も充実した1年間だったよ」 「どうだ?まだ『死にたい』か?」 「…いや、生きたい」 俺達の間に、沈黙が流れた。 「今までのお前は、今、死んだ」 目を開くと、死神の姿は無かった
デートで終電が無くなった私は、彼氏の家に初めてお泊まりする事になった。 そしたら、まさかの実家。 まぁいいか。 と思ってあがると、居間に服を着たマネキンが2体座ってた。顔にはクレヨンで笑顔が描かれている。額にはそれぞれ、父・母とあった。立ち尽くす私の後ろで、チェーンを閉める音がした。
「N〇K受信料の集金です」 「ウチ TV無いんで」 「嘘。一緒に住んでたんだからわかるよ」 「君が出てってから、捨てちゃったんだよ」 「どうして?」 「…このTVで一緒に映画とか見てたなぁ…って思い出すの、辛くて」 「…また一緒に、映画見よ?」 後日 一緒にTVを買いに行った。 受信料は払わされた
ある日、俺は瞬間移動能力に目覚めた。 俺は人生の勝ち組を約束されたようなものだ。 さっそくこの能力をフルに活用して舞台に立つ。しかし観客からは「脱出系マジックとか見飽きたよ」との冷たい声しか上がらなかった。 能力の使い道は他にあったかもしれない。でもマジシャンは、俺の夢だったんだ。
シゲルは、ゲームのボス戦で負けそうになると、すぐリセットする困った奴だった。 そんなシゲルが受験に落ちたらしい。家に行くと、シゲルは意外と元気そうだった。でも、机の上の新品のカッターが気になった俺は、それを盗んだ。 大人になって、同窓会で彼にこう言われた 「あの時は、ありがとう」
私には尊敬する作家さんがいる。彼の作品はどれも★2.0を切っており、レビューは酷評の嵐だ。なのに、彼は世間の評判を気にせず、息をするように作品を出し続けている。その尊敬すべき鋼の精神はどうやって培われたのか、本人にメールで聞いてみると、返信があった。『伝えないで欲しかった……』
「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はバーコードを読み取る。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 店員はレジ袋に商品を入れる。 「お箸はおつけしますか?」 「はい」 3度も聞いてくるなんて、相当お疲れらしい。労いの言葉をかけると、店員は嬉しそうに微笑んだ。お箸は入ってなかった。
「ひっ…!」 私は恐怖した。 捨てたはずのフランス人形が、今日も玄関前に戻ってきていたからだ。 私は監視カメラを設置して真相を確かめる事にした。 もう1度捨てると、やっぱり人形は戻ってきた。 映像を確認すると、人形を戻していたのは夫だった。 私は恐怖した。 夫は、もっと前に捨てたのに。
34歳になった日の朝、男は唐突に予感する。 「あ…俺、近々死ぬかも」 男は亡くなる前に、疎遠になってた友人も含め、1人1人に会ってまわる事にした。それは、昔話に花を咲かせる事で『案外、悪くない人生だったな』と、己が人生を見つめ直す旅でもあった。その後、死は訪れた。97歳の大往生だった。
お爺さんはある日 罠にかかっている鶴を助けた。別の夜 お爺さんの家に白い着物姿の若い娘がやって来た。娘は裾をまくって足を見せると、そこには酷い傷跡があった。娘は氷のような目で問う。 「あの罠を仕掛けたのは誰か、ご存知ですか?」 爺さんは滝汗をかき、答えた。 「ワ、ワシじゃないぞ…?」
「お友達 帰ったの?」 「うん。兄貴の事、カッコイイって言ってたよ」 「おっ…ふ…」 自信がついたのか、それ以来 兄は変わった。オシャレに気を使い 体も鍛え 勉強も頑張った。大企業に内定をもらい、彼女も出来たらしい。私は言葉の重さを痛感していた。たった1つの嘘が、1人の人生をも変えるんだ
奇妙な新連載がスタートした。 第1話目のはずなのに、第100話と表記されてるのだ。最初は印刷ミスかと思ったが、翌週は99話と記載されてた。なるほど、そうか。この物語は、過去に遡っていく話なのか。真の1話目には何が仕組まれているのかと、俺は毎週楽しみに読んだ。76話目で打ち切りになった。