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読書家で博識な友人に読書習慣化の秘訣を聞いたら、「良さげな本は全て買い、少し読んで微妙なら容赦なく次にいく。これを繰り返して面白いと思える本だけ読む。面白い本さえ発見できれば永遠に読み続けられる。本は安い。ケチるな」と言われてその後実践しているが、これマジで無限に読書ができる。
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キャリア論の授業で刺さった話。
「一分野で上位1%に入るのは才能が必要だが、複数分野で上位30%になるのは凡人も可能だ。そしてその複数を掛け合わせて繋ぐように動くと、競合がいない領域で容易に一番になれる。凡人が才能溢れる者に勝利するためには、キャリアを複数分野の掛け合わせで構築しろ」
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以前後輩が「留学の授業はOtterという自動文字起こしアプリで書き起こし、それをDeepLで邦訳しています。日本語で授業が受けられて最高に効率が良いですよ」と教えてくれたが、渡米当初からこんな物凄いチートツールの組み合わせがあったら私は留学しても一ミリも英語が上達しなかったに違いない。
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MBA課程が始まって2回目位の授業で唐突に「皆さんに残酷な真実を伝えます。様々な研究では、外見が良い人は、それだけで他人から、賢くて仕事ができ誠実で友好的だと判断されます。社会では外見が恐ろしく重要です」と告げられていきなり世の残酷さに絶望した経験は、数年経ってもまだ忘れられない。
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以前の授業で「人前で話す時、緊張を解くために『落ち着け』とよく言われるが、HBSの実験では、落ち着くよりワクワクした状態が遥かに上手く話せる。人前で話す時は自分を奮い立たせろ」と言われて以来、平静さを求めず無理にでもワクワクするようにしてから、前よりずっと人前で話せるようになった。
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以前「ジョブズでも替えがきくのだから代替不能な人材などいない」との呟きを見たが「替えがきく人になるには知見の日頃の共有等の高度な管理が必要で、一般人には能力的にも意欲的にも難しく、なので割と多くの人は替えがきかない」と昔授業で教わった。
ジョブズは凄い人材だから逆に替えがきいた。
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以前マイクロソフトのCEOが学校で講演したが、今でこそ世界最強企業に返り咲いた同社もほんの少し前まで縦割り部署や官僚主義で苦しみ、若手はすぐ辞め、画期的アイデアは捻りつぶされ閉塞感が蔓延していたそうで、日本企業の悩みを彷彿とさせて、我々は同社の再起から特に多くを学べそうだと感じた。
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周りの米国人を含め周囲の起業で成功している人達を観察すると、夫婦いずれかが安定高収入の職業に就き、もう片方が起業で一攫千金を狙う形が多く、起業が失敗しても余裕で豊かな生活ができる状態が下地にあるので躊躇なく大胆にリスクが取れており、夫婦関係が継続する限りは無敵のスキームである。
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スタンフォードの周囲の人達は学生の微妙なアイデアも随分親身に聞いてくれるのだが、昔授業で「多数の起業家は、特に起業初期に周囲に無下に扱われたり無視された経験を、それが誰だったかも含めて意外と長年克明に覚えている」と聞き、そういうことかと思ったし、話を聞く側に回る際は注意したい。
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授業で出たロケットというドイツのインキュベータが凄まじい。「成功例をパクれば簡単に成功できる」との理念の下、米国ベンチャー企業を常に監視し、米国で成功者が出た途端に自らの出資先企業に製品を丸パクリさせ、EU等で本家の進出前に迅速に展開。本家に勝つケースもあり、色々考えさせられる。
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スタンフォードでMBAを取るのに要する費用は4000万円位まで上がっており学生は巨額の借金漬けの者も多いが、反面、卒業後の新卒年収も平均2800万円程に上昇しており、周囲は「学生時に借金しまくって卒業後にガッツリ稼いですぐ返す」というスタンスで、ここでは大学教育は発想が完全に投資である。
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以前学校に来た卒業生の言葉。
「MBAでは『お金よりやりがい』『家族をないがしろにするな』『量産型キャリアは危険』と様々な人から助言されるが、結局これらは守られず、多くの卒業生はコンサル等の量産型キャリアで家庭を顧みず心身共に消耗し小金だけ周りに残り、20年後になって人生を後悔する」
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ビジネススクール内で超人気の人材はエンジニアで、MBA生は自分で何も作れないので、エンジニアがMBAに入ると外国人でも英語が全然でも「俺と起業しよう」等と引っ張りだこの選びたい放題で、その中で一番優秀な者を選んで起業すれば成功率も高く、エンジニアの皆さんには隠れたお勧めの進路である。
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MBAの授業でかなり刺さったのは「起業失敗の一大要因は承認欲求」という話で、人は「認められたい、褒められたい」という無意識の欲求から、何か一見合理的な理由をひねり出し、無暗に早くプレスを打って大手に真似され、会合に登壇して時間を浪費し、企業体力に合わない急拡大をして会社を傾かせる。
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なお、この種のスタートアップの失敗要因を分析した本では、つい最近邦訳が出た下記がめちゃくちゃお勧め。ハーバードビジネススクールの、起業の失敗事例ばかりをひたすら集めて分析した授業の書籍化。やはりMBAの授業の多くはこうした良書で学べる時代になった。
amzn.to/3MmWD1y
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ちなみに『起業の失敗大全』の英語オーディブル版は英語が平易・クリア・ゆっくりで、かつ理論よりも失敗者自身の具体的なストーリーが多めで聞いていて飽きないため、英語中級者以上は英語力維持のためにも英語オーディブルがお勧め。私はこちらで聴いた。
amzn.to/3EGCBfS
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MBAで学んで深く実感したのは、一般人は全然合理的ではないし、賢い人も大して合理的でないし、合理的な人を集めても大概その集団は合理的ではないし、「合理的な人ならこうする」という推論は世で妥当しない例外が多すぎて、制度やビジネスは人が不合理なことを見越して構築しなければいけないこと。
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グーグル創業者等を輩出しシリコンバレーの中心に位置するスタンフォード大学は「テクノロジー最高!何でもITで解決しようぜ」的な場所かと思っていたが、そこのビジネススクールでは「授業中はPCや電子機器は禁止だよ、使ったら怒るよ」と言われ、紙とペンでのメモ取りを強制されるのが面白かった。
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ゴールデンウィークに合わせてKindle本最大70%オフセールが始まったので、セール対象の良ビジネス書をまとめました。一番お勧めは『イノベーションオブライフ』です。
今回は『ティール組織』他、企業の組織作り・組織改革に役立つ本が多数出ています。連休中の読書にぜひ。
note.com/hiroshi9985767…
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起業の授業で紹介された調査が中年の皆様に朗報。MIT等の調査では、世間的な印象と異なり、高速で大成長したベンチャーの創業者の創業時の平均年齢は45歳。人は年齢と共にスキルを深めるし、「昔ああして失敗したから今回はこうしよう」等と職務経験を活かせる。経験を重ねたことが大きな強みになる。
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米国のやよい軒、日本で690円で食べられる何の変哲もない唐揚げ定食が今では2400円ほどになっており、すき焼き定食なんて選んだ日には3500円も財布から消失し、家族でちょっと食事するだけで当たり前のように1万円飛ぶので、米国と日本の物価の差や円安を身近に感じられて絶望感しかない。
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18歳の学力の最大瞬間風速で割と人生が決まる日本の教育も問題だが、米国ではそれなりのキャリアは修士が必要で、受験戦争も日本より酷く、学部に3000万円修士に2000万円超かかり大借金を背負い、ずっと好成績が必要で長期間全然気が抜けず心労等で幾多が脱落し、米国の教育は控えめに言っても地獄。
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「英語には敬語がないしダイレクトだ」的な言説を時折見るが、米国人の同級生達は皆、偉い人との会話やしかるべき場面で幾多の婉曲表現とやたら冗長な多種多様の言い回しを駆使しており、その様は全くダイレクトではなく繊細かつ丁寧で、むしろ敬語という決まりきったルールがある日本語は割と楽だ。
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スタンフォードの非テック生向けAIの授業に出て、ワクワクしつつ初回授業を迎えたら、開口一番「君達はAIに凄く期待して授業を取っただろ?AIはあれもこれも解決する凄いヤツと思っているだろ?AIにできるのは君達の脳内の妄想の1万分の1くらいだ。ビジネス人材はAIを謎に妄信しすぎだ」と言われた。
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スタンフォードMBAの授業では今や「燃え尽きないための良質な休息」「人生100年を逆算した体調調整」「仕事を離れて幸せを考える」等のテーマが教えられており、学生もワークライフバランスの関心が高いのを見るにつけ、今後はトップ層や経営層もバランスの取れた働き方を追求する時代になりそうだ。