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大抵の人は自分が思うほど「自由な解釈」なんか好きじゃないと思う。大抵の人は権威が好き(巨匠って一つの権威でしょう?)。「正解」が好き(というか「間違ってるかもしれないこと」を言うのが嫌い)。「自由な解釈」という「正解」を賛美するのが好きで、実際に「自由な解釈」をするのは嫌いだろう
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日本映画界のトホホな状況を見ると「俺達には〝行き過ぎたme too運動は…〟とか言う贅沢はねぇや。行き過ぎどころか圧倒的に足りねぇ」という気分になるよ、ホント。米国はある程度行き渡ってるからこそ、批判もできるんだな。俺達にはまだ贅沢品だよ。「君達の気持ちは分かるが、しかし〜」なんてのは
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たまに野郎が雑誌のフェミニズム特殊に寄稿してるの読むと「俺、俺、俺、俺の気持ちが〜」みたいなのが多くて、流石に引く時がある。つまり、既に社会的に認められてる野郎にとってはソレは「単なる気持ちの問題」なのさ。そして彼は混乱する自分の心を正直に話せば、受け入れてもらえると思ってるんだ
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「殺される覚悟がある奴だけが”戦争反対!”って言えよ」という奴がツイッターにも山ほどいるんだから、そりゃ、橋下さんの言説がウケるワケですな、とは思うよ。実際。みんな、もっとテキトーに「争いごとは嫌でござる」と言っていいんやで。
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「ロックは金がかかるからもう労働階級にはできない」というノエルの愚痴。数年前話題になった「労働者階級の子供は芸能人にもサッカー選手にもなれない時代」と一緒なんだろうな。そして労働者階級を演じられる俳優も消える。そしてケン・ローチのような監督が英国から消える
news.yahoo.co.jp/byline/bradymi…
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「英国では公立校は学費無料だが、私立校の学費は平均で年間200~300万円。レッドメインやカンバーバッチが行った学校はその中でも特に一握りの特権階級の子供たちしか通えない学校であり、今や俳優業まで政治家のように超エリートしか就けない職業になったのかと言われているのだ。」
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>今や俳優業まで政治家のように超エリートしか就けない職業
多分そのうち「性格のよさ」というものも「特権階級の子供たち」の専用物になると思うよ。
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『ジョーカー』に「格差社会から目を逸らす金持ち達が、弱者を描いたチャップリン映画を見て喜ぶ」という場面があって、初めて見た時「もしかして、今は映画館自体が金を持ってる奴にしか行けない場所になってるのか…?」と思ったもんだが、今考えるとそんなに的外れな感想でもなかったのかもしれない
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「”あの作品はエロくない!”と否定するのではなく、”エロいよ。それの何が悪い?”と言うべき」という話。ちょくちょく目にするのに、まったく流行らない。なぜなのかしら。やっぱりみんな、心のどこかで「エロ」が後ろめたいのだろうか。自分の好きな作品はもう少し高級なものがあってほしい、みたいな
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村上春樹がオウム事件の時「”何故人はあんな荒唐無稽な物語を信じたのか…”と言うが、人は荒唐無稽な物語だからこそ、信じたのだ。そして荒唐無稽な物語だから”稚拙な力(純愛や正義をテレずに堂々と讃える)”を持ちえたのだと思う」と指摘していたことの重要さ。これは「だから届いた」でもあると思う
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『あとしまつ』騒動。「たかが映画」以上に「意図が伝わらなかった=意図を伝われば、客は面白いと感じる”はず”だ」という発想の方がマズイと思う。意図にそこまでの力はないし、観客はそんなもの無視して自由に見ていいはず。今の映画は作り手側の「分かってくれ!汲んでくれ!」感が強すぎてコスい。
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「面白がることが出来る」とは何ぞや?「シャレだよ、シャレ」ならぬ「シャレだろ?シャレ」である。受け手側のな。そして、それはオッサンがやると叩かれるが、天然の美少女が(彼女は本心から褒めてるんです!と)やれば許されるものらしい。俺も美少女になりたいよ
『大瀧詠一Writing & Talking』
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こういう話をすると必ず「何を良いと思うかは人それぞれ」と言う奴が出てくる。でも「人それぞれ」は話の出発点であって、ゴールじゃない(そして議論の途中で「人それぞれ」と言うと話が全部終わる)。違いがあるとはいえ同じ人間なんだ。「ここまでは同意できる」と確認するために話し合うのも大事よ
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大学で文学部だったんだけど、授業中に先生が大真面目に「僕は推理小説はクダらんと思う。推理小説は作者が情報を小出しにする。つまり情報を隠してることがイカンと思うのだ。小説は真実を書くべき」と主張して、唖然としたことがあった。今は「その根性は買う」「そういう人がいてもいい」と思ってる
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橋本治は「ちゃんと呆れること」の大事さを書いてた。上司が思い付きでものを言った時に、まともに反論すると、そのことで思い付きが一つの「意見」になってしまう。それを避けるために「は?」と呆れる必要が…と。「〇〇オタクが世界を善くする」系の言説は基本「反論する前に呆れるべきもの」と思う
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前も書いたけど、この呟きに対して「”破局もの”って保守的だよ。いかに破局が進んでも、社会には守るべきものがある!と説教する映画だからね。その時に提示される”守るべきもの”のリストが気に食わん。特に出産育児が全肯定されるのが嫌だ」と言ってる人(鍵)がいてさ。凄くいいな、と思ったんだよ。 twitter.com/madanaizo/stat…
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大きな書店や図書館は「歩きながらでないと出会えない、発見出来ない本がある」ということを人に教える場所だと思う。「歩きながら」というか「本に出合うにも速さがいるんだよ。そして”これくらいのスピード”じゃないと出会えない本もあるんだよ」ということを教える場所。
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こんだけ『タコピー』に関する「考察」が溢れてるのに、一方で「批評は嫌い」みたいなのがある。これは一体どういうことなのか。彼彼女の中でこの二つはどう区別されてんだろうか。まさか「考察は”好き”の別表現で、”好き”は売り上げに繋がるからセーフ(作家の事情を汲めるが良いファン)」とかじゃ…
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天才が言う「本屋で「偶然」こんな本を見つけて読んだんだけど、凄く良かったよ!」みたいな話は信用したらイカンぞ。いや、彼は嘘は言ってないのだ。ただ彼にはどんな偶然も必然に変えるだけの教養(あらゆる本に対応できる教養)があったからこそ、そう思えたのだよ。偶然と出会うためには教養がいる
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天才が言う「映画は自然に見ればいいんだよ!」もコレと同じだからな。彼らは教養があるから「自然に」を実現できるんだ。つまり「こういう見方は〇〇だな。××的で偏ってるな」と常に自分をチェックできるから、最終的に「自然に」を実現できるんだ。あれは実は達人の技なんじゃよ。
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「偶然と出会う~」は坪内祐三が小林秀雄を評して言った言葉。小林秀雄はよく「自然に作品を見るのが正しい!」と言うが、彼の「自然」にはコレだぞ。学生時代に一日五冊(学校に行くまでに読む本A、学校にいる間に読む本B、帰る時に読む本C)読んでた奴のソレだ。俺達凡人が真似しても仕方ないぞ、と
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TSUTAYA。最近「潰れるかも」みたいな話題が多いけど、TSUTAYAには幾多の「俺の街の個性的にダメなレンタルビデオ屋」を潰した責任があるからな。TSUTAYAという存在の中には、TSUTAYAによって潰れた幾多のレンタルビデオ屋の「怨念」が含まれてるのだ。ちゃんとその責任に応えるためにもサバイブしろよ
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TSUTAYAよ。お前の存在の中には、お前が潰していった幾多の個人経営レンタルビデオ屋の”怨念”が含まれてるはず。だがお前が消えてしまえば、人々はそれらの存在に想いを馳せることすらなくなるだろう。彼らが消えてもレンタルビデオ屋=お前は残る。だがお前が消えればレンタルビデオ屋自体が消滅する
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もはやお前しか『複製人間の恋』のVHSの色焦たパッケージや、大げさ解説文を覚えている者はいない。もしお前すらそれを忘れたら、人類は『複製人間の恋』のVHSを完全に抹殺し終えることになり、作品は永久に無に帰されてしまうだろう。全ては”レンタルビデオ屋”に対するお前の忠実さに掛かっているのだ