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夏目漱石とか、初対面の人にも「お世辞も言わないし、愛嬌もない。なのに話していて感じがいいのが妙だ」と不思議がられたと言うからな。最後は「腹が立った時は、漱石のとこへ行けばなんとかる」と思われてたらしい。お世辞も言わないし、愛嬌もないのに好かれるとか理想じゃないか。俺もこうなりたい
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落語家には「客に上手いと思わせるうちは二流」という言葉があるらしいが、漱石クラスになると「愛想があると思われてるうちは二流」とかあるんだろう。相手に気を遣ってると思われるうちは二流、とか。そして、彼彼女は相手に気を遣わせることなく、相手を癒すワケだ。そしてソイツを苦にも思わない…
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『花束みたいな恋をした』それまで今村夏子を読んでいた麦君が、ブラックな企業に勤め出した途端、自己啓発本を読む場面がある。ここはウゲーとなる場面らしいが、もっと素直に捉えてもイイと思う。麦君がサバイブするために必要な言葉は今村の上品な本ではなく、野蛮な自己啓発本の中にしかなかったと
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シンゴジの「漫画的・アニメ的」と言われる演出は『日本のいちばん長い日』なんだろうが… 監督の岡本喜八は『日本』のコンテを書く時に、白土三平を意識したそうだからね。なんのことはない、元ネタの『日本』の先に漫画があったワケだ。こうなると、何が漫画的で、映画的か、素人にはわかりゃしない twitter.com/madanaizo/stat…
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要するに「地頭の良さだけで描ける世界なんて限界がある。実際に触れてみないと分からんものは沢山ある」ということだと思うんだよ。それは「俺は地頭がいいから、どんな問題も自己流に語れるぞ」って態度とは真逆にあるもんで。武さんが(お笑い界では)教養があるように見えるのもコレが理由でないか
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前も書いことあるけど、北野武が映画の授業で学生達に「映画の撮り方」等は教えず、代わりに超高級レストランやバーへ連れて行って、「どういう人がどんな会話や動きをするか。覚えておきない」とやった話が好きなんだよ。お笑い芸人と教養の関係が話題だけど、教養ってのはこういうもんかもな、と思う
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言いたくないけど、芸能人の言う「頭の良さ」って「俺は地頭がいいから~」でしょ。でも武さんの話は「引用」が多いじゃないか。「〇って本に書いてたが」みたいなのさ。この差は結構デカいと思うんだけどな。
(ちなみに教養とは文化が自己にあてがう価値や規範の問題です)
twitter.com/madanaizo/stat…
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その後、何人ものお笑い芸人が武と同じように映画を撮ったけど、そのうちの何人が映画を「畏れた」だろうか。ましてや今「教養が~」という芸能人は、文化を畏れたことがあるのだろうか。その辺の「畏れ」の有無が、彼彼女と北野武の差だった…と言ったら、言い過ぎですかね。news-postseven.com/archives/20201…
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先日上野で寄席を見た時に、落語家の一人が「寄席が良いところはですね。何を見ても後に残らないことですよ。これだけ高度な技術を駆使して、お客さんに何も残さないことに価値があるよ。無です。無」と言ってて。その時は「アハハ」と笑ってけど、もしかしたら凄く高級なことを言ってたのかな、と思う
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それはそれとして、昔(ゴミみたいな)卒論の口頭試問の時、自虐ネタ連発してヘラヘラしてたら、先生に「なんだろう…きみ、とりあえず頭を下げておけばこの場をきり抜けられると思ってない?単位がもらえると思ってない?」と怒られたのがトラウマになってるので、人前では自虐ネタやらんことにしてる
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正直、普通に「え、ダメなの。こんなに自分をいじめてるのに」と思ちゃった。俺はそれまでかなり真面目に「自分で自分をいじめてる姿を晒せば、最後は全部赦されるんだ」と考えてたから。その思い込みをぶっ壊してくれた。いい経験だったよ。今でも夢に見てはうなされるけど。
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「俺はブサイクだからモテないんだ」ということにしておけば、自分の性格の悪さとか頭の悪さとかセンスの悪さとかか…その他諸々の自分の負の部分と向き合うことから免除されるんだから、あんまり虐めてやるな、と思う。当人が「俺はブサイクだからモテない」と思うことで救われてる部分だってあるんだ