東畑 開人(@ktowhata)さんの人気ツイート(新しい順)

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「千と千尋の神隠し」の湯婆婆と銭婆。昔はどう考えても銭婆の方がいいやつだと思っていたが、歳をとると祟り神対策のリスクマネジメントをしっかりやり、顧客満足度に気を配り、みんなの雇用を支えている湯屋経営者の湯婆婆は実は立派な人なんじゃないかと思うようになるな。
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ふと思ったのだが、「即戦力」という言葉は、実際のところ今ある仕事をそのままやれそうな人材を意味していて、未来に何か新しいものをもたらしてくれる可能性や、未来には何者かに育っている可能性に賭けるニュアンスが省かれてる。「即戦力」を求めるとき、我々の未来への想像力が停止している。
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これは辛い。任期付雇用は本質的にすさまじい暴力なのに、手続き的に適法であることによって見えにくいものにされている。しかし、任期が切れた当事者には、その暴力性がはっきり体験されているので、それがこういう暴力的な形で噴出する。一方は適法の暴力で、もう一方は違法なのが、さらに暴力的。 twitter.com/syakusanjiki/s…
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ファンタジー小説だと、呪いの解き方は、呪いをかけた人の名前を言い当てることなのだけど、これは学問でも同じ。誰の呪いで、それがどのように思考を制限しているかを明らかにできると、呪いは解ける。つまり、多くの場合、自分が何の呪いにかかってるのかがわからないのが、呪いの恐ろしいところ。 twitter.com/ktowhata/statu…
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アカデミアの先輩たちの話を聞いてると、各世代毎に異なる「呪い」がかかっているのがわかる。呪いは一見、思考の幅を狭めているようにも思うが、呪いがかかっていないと思考が深まらないのも事実。呪いの一つや二つがあって、その呪いと戦うから学問は面白い、という感じ。これが多分、学問の自由。
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心理学にせよなんにせよ世の中にはすでに十分過ぎるほど文献があるので、何を書いても全く新しいことを言えることはないのだが、それでも何かを書くことに意味があるのは、それが自分サイズの言葉を作る行為だからではないか。教科書や先生の言葉ではサイズ感が合わないから、手に馴染む言葉を作る。
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これは大事な記事。僕らはしばしば、恥ずかしさによって、頼れるはずのものに頼れなくなってしまう。 うつ病告白のいしだ壱成 「恥ずかしいことじゃない」周囲の助言きっかけに生活保護受給(スポニチアネックス) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/544df…
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これも最高にいっちゃってる関係だ。
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ドラえもんとのび太、大変病理的な関係である。まずはドラえもんがカウンセリングに行く必要があるな。
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「鉄槌を持っていたら、あらゆるものが釘に見えてくる」 アンドリュー・リー「RCT大全」で引用されていることわざなのだけど、大変深い。効果的な武器を手に入れるとは、壊す対象を見つけやすくなる眼鏡を装着することであること。
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「アオハライド」を読んでいて、同じ人を嫉妬することでつながる友情のエピソードのあとに、作者からのこのコメント。嫉妬ほど人間的なものはないですな。
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河合隼雄が「変わるも変わる、人生が360度変わりました」とクライエントが言ったと書いてたけど(確か)、これは人生が1ミリ変わったことの逆説的な表現です。「人が変わる」は結構みんな知ってはいるが、表現するのはとても工夫がいる。この1ミリを描くために文学がある。 twitter.com/ktowhata/statu…
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「臨床の知」とは多分そういうことだと思うんだよな。
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人は変わらない、というのが現代のなんとなくの共通理解になっていると思うが、それは多分「変わる」というのが、180度とか90度の変化のことばかりが理解されているから。臨床現場にいる人は5度とか1度の変化に敏感に感動する。というのも、1度の変化が時間の積み重ねのなかで人生を大きく変えるから。
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人は孤独になると「おかしなこと」をしてしまう。だけど、周囲は「おかしなこと」をしてるんだからと、より孤独に追い込もうとしてしまう。そして、より「おかしなこと」をせざるを得なくなってしまう。ここが悲痛なところです。
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「火事場のクソ力」のように、身体は追い詰められると凄い力を発揮することもあるが、心は追い詰められると基本フリーズして、自由に動かなくなる。心によい動きをしてもらうためには、なんなら働かないでもいいくらいに、ふんわりした環境が必要だと思うけど、働かす側はなかなかそう思わないですな。
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フロイトが婚約者に宛てた手紙。情熱的で素晴らしいが、漫画とかドラマとかだと、この後ひどく不幸なことが起きる伏線のような文章だ。
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もらうだけでありがたい気持ちになるようなメールを連発できるのを「メール力」という。これは文章力がすごいように見えて、本当は類稀なる事務能力の賜物。科挙で詩作が問われたり、平安時代の官僚が短歌で競ってたりするのと同じで、事務能力の本性は文書作成力であり、その根底にはポエジーがある。
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自傷やオーバードーズなどのいわゆる「メンヘラ」文化は、確かに自己破壊的で、痛ましく、危険でもあるのだが、一方で言葉にならないような苦痛をなんらかの目に見える形にすることで心を包みこんでいるようにも思う。苦痛が表現され、人間関係の中に置かれるために、水路となるのが文化。
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「自分の頭で考えろ」とよく言われるが、これは呪いのようなところがある。自分の頭で考えているか、人の言ってることを鵜呑みにしてるかは判別つきにくいし(というか混ざってるのが常だし)、なにより「自分の頭で考えろ」という人は、しばしば自分と同じように考えると喜び、そうじゃないと怒る。
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フロイトとかユングとか、あるいはもう少し下の世代にしても、古い本には「運命が彼に襲いかかった」みたいに「運命」という言葉がよく出てくる。これは現代の心理の本からは完全に消えた語彙だ。責任の所在をはっきりさせないといけなくなると、運命には場所がなくなる。これが現代のつらさでもある。
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昔、祈るとは共同体の繁栄のためになされる行為だったが、あるときから個人が自分の利益のために祈るようになったという。その象徴が賽銭箱だとのこと。それぞれが私有財産を投げ込んで自分のことを祈る。確かに賽銭箱がないと、神様に話しかけてる感じが出にくいから偉大な発明だ(神社にとっても)
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「ものはなぜ落下するのか。地球の中心が『本来の居場所」だから。なぜ次第に落下速度を早めるのか。旅人が故郷に近づくと足取りを早めるのと同じで、喜びに興奮するから」 バーマン「世界の再魔術化」による、ガリレオ以前のアリストテレス物理学の世界観なのだが、なんかいい。彩りがある。
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「心のせい」にして自分を変えようとするのは自分一人でできることもあるけれど、「心のせいではなく、社会のせいだ」と思うには、同じように思ってくれる仲間とか友達が必要なのは重要なことだ。社会的苦しみは、社会的つながりになくしては対抗できない、ということ。これは「密」の力でもある。
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実際、「自尊心」についての論文は古くからあるが、「自己肯定感」をタイトルとする論文が出始めるのは1995年前後であり、バブル後の新自由主義社会が「自己肯定感」という概念を必要としたのはひとつの事実と思う。そういう意味でも、これは僕らの「この社会のせい」と言い得る。