東畑 開人(@ktowhata)さんの人気ツイート(新しい順)

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ある人類学者が現地人に宗教についてインタビューをしていて、最後に「逆に何か聞きたいことあるか?」と聞くと、「その腕にはめている神みたいなものは何か?」と問われたエピソードが大変いい。人類学者が重要な決定を下す時に、必ず腕時計を見ていたから、という理由。今ならば、スマホが神だ。
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臨床心理学増刊号「心の治療を再考する」出ます。僕は編集も担当したのですが、渾身の一作です。心の治療について、人類学や宗教学など人文知はさまざまな分析をしてきたわけですが、それらの蓄積を一望し、かつ臨床家の応答も寄せられた特集になります。目次は以下のリンク kongoshuppan.co.jp/smp/book/b6083…
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「認知行動療法の哲学」ついに届いた。哲学がかつて治療であり、健康法でもあったころ、人々は理性に癒やされていた。実際に行われていたストア哲学によるセルフケアと現代の認知行動療法を重ねて見る本です。ぜひご笑覧ください! amazon.co.jp/%E8%AA%8D%E7%9…
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表紙はマルクス・アウレリウスの自省録のように、哲学者が自己について記録して、点検しているところ。これと認知行動療法のホームワークとを重ねると、「理性に癒される」という人類の古層にある治療文化が見えてくる。
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アメリカのある先住民では、「うつ」がそれ単体では病気でないという話も面白かった。落ち込みや悲しみを部族と分かち合ってる限りはそれは正常なプロセスで、人に話せなくなり、悲しみを一人で所有しているのは病いと捉えられる。心は人々の間を回遊してるのが自然で、個人に閉じ込められると病気。 twitter.com/ktowhata/statu…
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ちなみに心が回復したことを示す写真を撮ってきてくれと頼むと、笑顔の写真とか、仲間と楽しんでる写真が出てきそうなものだが、ネパールだとヤギの写真を持ってくるのだそう。ヤギを飼えることが健康であるという文化。これは結局労働と心の健康の結びつける思想であり、考えさせられる。
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グリンカー「誰も正常ではない」、心の病の名指し方がいかに人々の意識に影響を与えるかの人類学で面白い。ネパールの僻地では「メンタルヘルス」と看板を出すと患者がこないが、「慢性頭痛」と看板を出すと不安や抑うつに苦しむ人がたくさんやってくるという。文化に合わせた心の翻訳の話。
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藤子不二雄Aさん。締め切りを破ったことで出版界から干されたという氏のエピソードに絡めて、僕は締め切りが怖いから2週間前には原稿を出すのだ、と連載に書いたら、お手紙を下さった。2週間は早すぎ、締め切り二日前くらいがちょうどいい、という激励の手紙でした。ご冥福をお祈り申し上げます。
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そうか、スクールカウンセラーが学校に居るのがどれほどの時間か、世間でほとんど知られていないのか。この連ツイにあるように週に4時間のところも多いし、もっと少ない学校もたくさんある。毎日居ること、そうやって学校の一部になっていることが、どれだけ子どもの心を支える力になることか。 twitter.com/cdp_kokkai/sta…
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新刊「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」が3月16日に出ます!現代におけるカウンセリングとかセラピーについて真正面から考えた本であり、そして読者にとって「読むセラピー」になればと願って書いた本です。 amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%8…
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勉強より研究が好きなタイプと、研究より勉強が好きなタイプとふた通りいる気がする。研究者タイプと学者タイプ。そして、勉強と研究の両方をやらないといけないのが大学院生で、だから結構楽しい時期なのだろうな。大学への関わり方で、一番いいポジションは院生なのではないか、とよく思う。
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今年の卒論で面白かったのは、老人ホームでの杖を使う前と後での心理的変化についての調査。杖を使う前は「余計体が弱くなる」「変な目で見られる」と不安だったが、使ってみると「席を譲ってくれた」「リハビリを応援された」など意外によかったという結果。杖は本人だけではなく、周囲を変える。
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「認知行動療法の哲学」という本の面白さは、「哲学者の認知行動療法」にあると思う。ソクラテスやエピクテトス、デカルト、スピノザ、カントなどなど、哲学者たちがセルフケアとして「哲学すること」に取り組んでいた姿が、ユーモラスでもあり、切実でもあって、人間的な感じがする。
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三月に出る本のゲラが来る。編集者の提案通り、接続詞を取ってみると、文章が小川のように流れるので、衝撃を受ける。「だから」「しかし」は、書いてるときにはどうしても必要に思えるのだが、実際には散乱した瓦礫のように流れをせき止めている。文章は本来、ポンポン置いとけば流れるという学び。
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伝説の名著が復刊!
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ふと思ったのだけど、スクールカウンセラーが人生で最初の心理士との出会いであることってとても多くて、そこでいい体験をできると、その後の人生でカウンセリングや心理的援助を利用するための希望の基礎になるわけだから、スクールカウンセラーというのは社会的に物凄く大きな価値のある仕事だ。
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哲学は健康に良い。ただし、埃をかぶった図書館の書庫ではなく、体育館で哲学をしている限りは。というのが古代哲学の姿勢だったそう。つまり、かつての哲学にはエクセサイズがあって、それを通じて苦しい日々を生きることに役に立つものとしてあったという話。近代には見失われたガチの臨床哲学です。 twitter.com/ktowhata/statu…
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ようやく懸案だった翻訳の仕上げにとりかかる。「認知行動療法の哲学」という本で、古代のストア哲学から続く理性の系譜として認知行動療法を読み解き、さらに古代の哲学者たちがなしていた「魂の治療」がいかなるものであったかが鮮やかに描かれている。心を扱うことの歴史の厚みが素晴らしい。
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それにしても、本というのは書き終わった段階では、自分が何を書いたのかよくわからなくって、読んでくれる人がいて、いろいろと感想や質問をもらい、それに応答する中で、少しずつそれがなんだったのかわかってくるものなのだと改めて思った次第。1年くらいはそういう時間が続く。
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心には科学的に語れる側面と、文学的にしか語れない側面の両方がある。四六時中、文学的に生きている人はごくごく稀だろうが、「ときどき」は文学的な瞬間もあって、案外そういうものが生きることを支えているように思うのだけど。
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「自分らしく生きる」という言葉には、どこかポジティブな感じがある。しかし、この言葉の前提には「あの人みたいには自分は生きられない」という幻滅と諦念がある。あの人と自分は違う。この痛みや悲しさを消化した果てにこそ「自分らしさ」の本質がある。ネガティヴの中のポジティブなのだろうな。
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素晴らしいエピソード。 「心が一つ存在するために、心は必ず二ついる」 これが今度の本の終わり頃にたどり着くテーゼ。 twitter.com/LampLampLamp6/…
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「心はどこへ消えた?」の最後の校正、あと少し。こういう感じの本です。「心とは何か」に真正面から取り組んだ本になったはず。
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「河合隼雄 物語とたましい」すごい良い。エッセイのアンソロジーなのだが、言葉遊びによって突然、日常の深淵が垣間見えるような文章。どうやったら、こんなの書けるんだろうと思うが、そこはかとなく漂う世の中の豊かさが背景にあって、この安心感のある文体を可能にしてる気がする。
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この本、元信者は自戒を込めて、「自分の頭で考えること」を放棄しないようにと書いている。しかし、他の登場人物も含めて、自分の頭で考え続けた結果、信仰に目覚めていくわけだから、広い人間関係に開かれて、自分の頭だけで考えないのが大事なようにも思える。 twitter.com/ktowhata/statu…