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日本政治学会の複数の理事長(その中には、私と同じ専門の教授もいる)が億単位の科研費を獲得していたことを知り、考え込んでしまう。学問のために必要だったという議論に易々と乗るつもりはない。明らかに権力が作用しているからだ。私自身は科研費を獲得したことはなく、獲得するつもりもない。
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NHKの皇室特集番組。相変わらず女性=素人が男性=専門家におうかがいを立てるという図式になっている。一体いつまでこういう番組を作り続けるのか。
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大手出版社の元幹部から聞いた話。天皇退位の目的は改元にある。天変地異の多発する平成を改める必要がある。大正の時は皇太子を摂政にしたため元号が変わらず、亥年に関東大震災などが起こった。2019年の亥年が来るまでに改元しないとさらに大きな出来事が起きる。摂政拒絶の理由もここにある。
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NHKは、19時と21時のニュースでセットを作り、天皇が悠紀殿で大嘗祭を行う模様を映像で再現させていた。秘儀をのぞき見したいという視聴者の下心に訴える怪しげな映像を流すくらいなら、今回もまた国費を投入しなければならないほど大規模化した大嘗祭の問題点をきちんと指摘するべきではなかったか。
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テレビではライフラインの被害ばかりが報道されるが、いまだに内房線の君津以南、外房線の勝浦以東、久留里線、小湊鐵道、いすみ鉄道が復旧していない。高校生などの交通弱者にとっては切実な問題ではないか。このままでは小湊鐵道といすみ鉄道は存続自体が危うくなってくる。
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NHKスペシャルの226事件の最後に、海軍側が2月19日の時点で蹶起将校の名前を察知していたとする史料に安藤輝三が出ていたことに驚愕する。松本清張は『昭和史発掘』で、膨大な史料をもとに「安藤は十八日か十九日夜の栗原(安秀)宅の会合で決行にあくまで反対であった」と記していたからだ。
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今回ほどtwitterの有難味を噛みしめたことはこれまでになかった。これからまたテレ朝とTBSに出ると思うが、おそらくTVにとってやばいと思う部分は巧みにカットされるだろう。TVほどではないが新聞も字数に制限がある。twitterだけが自らの考えを思いきりぶちまけることができる。
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これだけ森友学園の問題が騒がれているのに相変わらず稲田防衛相が教育勅語を評価する発言をしているのは、2018年の明治150年に合わせて文化の日を「明治の日」に改めようとしていることと関係があるような気がする。なぜならこの勅語は明治天皇の「お言葉」なのだから。
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何度も言うが新聞の書評は権力である。例えば私が政治学の本を書評で褒めれば、書評された人は恩義に感じ、私を批判しづらくなる。それによって学界でますます権力を増大させることができる。だからなるべく専門の本は取り上げないようにしている。しかしこのことに無自覚な書評委員もいるようだ。
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「自分の興味のない章から出た問題なので全く答えられません。興味をもった〇章か×章から問題を出してほしかったです」として、暗にこんな問題を出したお前が悪いという趣旨の答案があった。長年大学教員をやっているが、こんな答案に遭遇したのは初めてだ。
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文藝春秋最新号で保阪さんが驚くべきことを書かれている。保阪さんが上皇に「秩父宮殿下が2・26事件に関与したとか、青年将校にかつがれる危険性があったという見解は間違いと思います」と言うと、上皇は語尾を上げて「そうですかあ」と。「明らかな疑問を呈する言い方だった」。よくぞ書かれた。
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やっとこういう本が出たという感慨を、筆者と同じ男性の政治学者としてもっている。しかし紀伊国屋のデイリー新書のベストセラーを見ると、ほかの岩波新書の新刊は複数入っているのに、この本は入っていない。拙著『〈女帝〉の日本史』もそうだったが、男性が買わないせいではなかろうか。 twitter.com/Iwanami_Shinsh…
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「饗宴の儀」のタイミングがいかにも悪すぎる。大雨で被害がどんどん拡大しているのに、東京では天皇や皇族が連日賓客を招いてごちそうを食べているという印象を与えるからだ。貞明皇后だったら「神のいさめ」と言うだろう。
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NHKのニュースウオッチ9に東京駅丸の内口の整備について話した画像がちらっと出た。大正初期に天皇の利用する駅として開業してから100年あまり。天皇に対する関心が高まるこの時期に整備されることの政治性に触れた部分は全部カット。おまけに肩書きは「近代日本の鉄道と都市に詳しい原武史教授」。
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もし北陸新幹線の不通が長引けば、信越本線の横川ー軽井沢間を廃止したために在来線は使えず、東京から長野に行くのに中央東線と篠ノ井線を使うしかなくなる。いざというときのために並行在来線を使えるようにしておかなければならないという教訓になるだろうか。
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有識者会議の論点整理(案)を入手。退位を「将来の全ての天皇を対象とすべきか、今上陛下に限ったものとすべきか」についての記述がすごい。前者は4頁にわたり、23もの課題を挙げているのに対して、後者はわずか1頁で3つの課題だけ。ここまで露骨に一代限りの線を鮮明にするとは思わなかった。
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今日の憲法に関するNHK特集。実録に言及し、昭和天皇が敗戦直後から憲法改正を促し、新憲法につながる平和主義者だったかのような番組になっていたが、同じ実録には旧憲法と変わらない松本試案を基本的に支持する天皇の発言もある。なぜ戦争終結が遅れたのかという肝心の問題が曖昧になっている。
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昭和天皇が花束を受け取ったのは堺市であり、塚本幼稚園がある大阪市ではない。この点で宮内庁の言い分は正しいが、花束を渡したのが塚本幼稚園の園児だった可能性はある。実録がわざわざ「御予定外」と書く位だから、かなりのハプニングだったのだろう。学園がそれを誇張して書いた気もしなくはない。
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高輪ゲートウェイという駅名にしろ、大阪メトロの駅の改装にしろ、鉄道会社が決定したことに対して一般利用者が反対の声をあげ、その声がどんどん広がってゆくのは(鉄学者&政治学者として)非常によいことだと思っています。
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今日の菅官房長官の答弁によると、去年8月の「天皇陛下のおことば」は退位の意向を示したものではなく、特例法案は「おことば」と直接関係するものではないという。よく言うよ。呆れた。
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おそらく8月8日は、マスコミ各社の矜持が試される日になるだろう。もちろん私はNHKには呼ばれないし、取材に応じるつもりもない。新聞社、通信社、民放がどれだけNHKとは違った分析ができるか、天皇制というタブーを打ち破ることができるかが問われている。
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宮台さん、重傷のようだ。心配だ。犯人は宮台さんの勤務シフトをよく知っている学生ではないか。かつて右派の学生から脅迫され、学内で警備がついた苦い記憶がよみがえった。とにかく一日も早い回復を願っている。
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放送大学では卒業論文を提出することもできるが、私が受け取った論文のなかに、大学院博士課程にも引けをとらない論文が一つあった。杉山茂丸に関する先行研究を、一次史料に依拠しながらほぼ完璧に批判し、巧みな筆力で持論を展開する。多分、こんな大学生は、ほかのどの大学にもいないだろう。
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こういうときにこそ、「なぜ”少女像”はつくられたのか? 政治と美術がともにある姿」という帯が掲げられた古川美佳『韓国の民衆美術』(岩波書店)をじっくりと読むべきだ。
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与野党相乗りで同じ日にアマテラスをまつる伊勢神宮に参拝するというのはいかがなものか。枝野代表は野党の党首らしく、スサノヲをまつる地元大宮の氷川神社に参拝すべきではなかったか。