伊豆の美術解剖学者(@kato_anatomy)さんの人気ツイート(古い順)

以前、学生さんから石膏像の描き方がわからないと質問があったので、iPadでデモンストレーション。手入れしたいと思いつつ時期が開いてしまったので今回はこの辺で。
リシェによる新生児から成人までの人体プロポーション。1、4、9、16歳でキリの良い頭身指数が現れる。成人のプロポーションは標準体型に近い7.5頭身を採用している。
ヒトの鎖骨上窩と三角筋胸筋三角は鎖骨をまたいでなだらかにつながっていることが多い(1枚目)。このことは四足動物の構造を想起させる。四足動物では鎖骨が未発達または欠損し、鎖骨画(2枚目矢頭)という靱帯ないし中間腱様の構造になり、僧帽筋と三角筋に該当する筋が鎖骨画を介して連結している。
以前アップした練習を少し修正。解剖図とデジタルペインティングのレイヤー分けは非常に相性がよい。アナログであれば一枚づつ描かなければならなかった。リシェやバメスの時代には描けなかった図が表現できるだろう。
ポール・リシェによる横に開いた骨盤と閉じた骨盤における鼠径部のひだの形状。体表に現れる皮膚の折りじわやひだは、解剖学の教科書にほとんど掲載されないため、今見ても新鮮。
手を固定した上腕の内旋・外旋。解剖学のテキストでは前腕の回旋(回内・回外)が有名だが、日常動作では上腕も同時に回旋している。上腕の回旋の程度は、肘の内側上顆(青)と外側上顆(赤)を指標にすると体表から確認できる。ちなみに、図の動作は慣れると台や壁から手を離しても出来るようになる。
イルカの体幹骨格の規則正しさに感銘を受ける@大哺乳類展2。こういう自然のデザインを目の当たりにすると、人間の骨格はいびつだなぁと思う。
解剖学の動作は単純動作であり、複合動作である日常動作とかなり乖離している。学び始めた頃はなぜ内転外転といった姿勢が選択されているかよくわからなかった。記述は複合動作のような同時多発的な諸要素の羅列を苦手とする。
体型分類。添付は医学書系解剖学書に掲載された図版だが、美術系の書籍にも欲しい。美術解剖学は人体や生物の外形と内部構造と美術表現を結びつける教育や研究であって、絵の描き方ではない。ランツ『臨床解剖学』より。
あまりアナウンスしていなかったが、先週末からボーンデジタルさんで美術解剖学の講習会が始まった。今回は体表解剖学で、骨と筋の講習会を受講された方向けだったが約半数の方が新規だった。予定では体表メインに紹介しようと思ったが、その場のアドリブに任せて骨や筋なども紹介した。
洋書の見事な図を眺め、これの和訳があればと思いながら勉強していた。いっこうに出ないので、リシェ、バメス、エレンベルガーの和訳企画を出版社に持ち込んだ。当初は時期が重ならないだろうと思ったが、ズレにズレて全部重なっている。タフな仕事だがきっと日本の美術解剖学の水準が上がる。
美術解剖学を学ぶと美術作品をより楽しめるようになる。例えば、筋の付着部を学んでいくと、部分の起伏への理解が深まる。さらに認識が深まれば、関節の起伏やくぼみなが顔や手の形状と同じように面白く感じるようになる。
ミケランジェロに基づく素描は、筋を描き込んでも破綻しないのでおそらく解剖を学んだ人物が描いている。姿勢も片側では肩甲骨を後退させ、もう片側では肩甲骨を前進させて起伏に変化を付け、顔は肩が前進した方向を向いている。
重心。宇宙と地球の中心を結ぶ垂線。普段は意識せずとも捉えているが、人体像を表現するときには意識する必要が出てくる。特に彫刻などではチェックポイントになる。1枚目:片足重心、2枚目:前方への荷重、3枚目:後方への荷重、4枚目:側方への荷重。
骨格を推測する際に個人的に用いている要点。体表のランドマークを拾って、それらの間を繋げていくと割合に再現できる。
顔の加齢は止めることができないが、どんな顔つきになるかはその人の習慣である程度コントロールできる。表情筋によって生じる顔のシワは、表情が繰り返されることで恒久的な皮線となる。笑顔が多ければ笑い皺がつき、険しければ眉間に深いシワが寄る。自分にとって素敵な環境と人生を。
骨格のクイックスケッチに使ってる個人的な基準。ゴットフリード・バメスやジークフリード・モリールなどの方法をミックスしている。
膝関節の運動と骨の位置。リシェの図(1920)に彩色。A:力を抜いて立つ。B:膝に力を入れる(大腿四頭筋の収縮によって膝蓋骨の位置が上がる)。C:90度屈曲させる。D:最大屈曲させる。左:外側面、中央:前面、右、内側面。