伊豆の美術解剖学者(@kato_anatomy)さんの人気ツイート(古い順)

まーこ先生@harima_mekkai の洗練された動作、見ていて楽しかった。けど、捉えるのが非常にむずかしい。またいつかやりたいと思います。
リクエストのあった、胸腹壁を内面から見た図。現代の解剖図ではレアなビュー。
赤:表情筋(浅層)の収縮方向。青:収縮時に生じるシワの走行(概ね筋走行と交差)。黄:筋の境界が体表に現れやすい部位。
体表から見える筋の境界は、若い頃から運動していた中高年の男性が最も観察しやすいらしい。私も一度だけ皮膚と皮下組織が非常に薄い男性(武術家)の上半身を見たことがある。Braus / Elze "Anatomie des menschen"(第3版、1954)より
外頭蓋底の図は下顎骨が外された状態で描かれることが多いが、美術領域であれば下顎骨を加えた図があっても良いように思う。顎と頬の位置関係を比較できる。
欲しいけど案外無い図。上腕骨を外した状態のローテーターカフ、大円筋、広背筋。解剖実習は教科書の手順に従って進むので、見ることができない視点がたくさんある。Braus & Elze(1954)より。
日本でも板書する先生結構いますよ。藝大の授業ではみんなで一緒に描いてます。
毎年解剖実習の最初のころに、学生さん達に解剖図の見方を教える。図が読み取れないと、目的の構造を探せないためである。形状、サイズ、位置、質感・色、手前・奥・隣の構造、全長の何等分にあるかなどなど。それらはいちいち教科書に書いてない。
顔がそれぞれ異なるように内部構造もまた異なる。内部構造のバリエーションを知っていくと、その構造が持つ本来の様相がおぼろげながら見えてくる。すると、教科書をトレースしたような「正確さ」にこだわらなくなる。添付は広頚筋のバリエーション。ランツ『臨床解剖学』より。
ウィルヘルム・タンクによる体表に現れやすい溝を簡略化した図(1953)。6月の講習会は体表解剖学を予定してます。講座内容書き途中。
アメリカの有名な素描インストラクター、ジョージ・ブリッジマン。解剖学と素描を融合させた人物。1920年代から複数の著作を出版した。丸い形態と角張った形態が交互に現れるなど単純形態に置き換えて捉える方法も見られる。日本語版はまだないが、中国では翻訳版が人気。
複数視点がほぼ同一のスケールで描かれた図で学んでいくと、立体的な感覚が養われる。平面のみを手がけていた作家が、あるとき見たことのない視点で描けるようになったり、粘土などの立体像も作れるようになる。
20世紀以降の教科書では解剖学的な内容が抑えられ、体表上に直線のガイドラインを引いたり単純な形に置き換える見方が増えた。こうした見方が増えたのは、美術解剖学に関わる教員が医師や解剖学者から美術講師に変わったためと考えられる。添付はVanderpoel "The human figure"(1907)より。
横断面を重ねると普段目にしない真上や真下から見た視点を再現できる。これは古くは16世紀初頭にデューラーが研究していた。体の奥行きを知ることはスカルプターだけでなく、平面を手がける作家にも重要である。
美術解剖学の講師でメディカルイラストレーターのアーノルド・モローによる骨の描き方。モローは解剖学的構造を誰でも描けるように描写手順を示した。球や円筒で人体を描くことと美術解剖学の間に位置するような教育方法。
解剖学的構造を学び、自分の体に触れて確かめると、無味乾燥とした情報が実感を伴うようになってくる。体や顔を洗ったり、歯を磨いたり、頬杖をついたり、普段無意識に埋もれている日常動作たちが随分魅力的に感じられる。添付図、骨上の灰色の部分が概ね体表から触知可能な範囲。
毛流。美術解剖学では稀に体毛の記述がある。この他に毛髪の直毛や巻き毛具合、色彩など。添付はポール・リシェによる体毛の方向を示した図と毛根部の拡大図。体表にはいくつかの「つむじ」が見られる。
芸術家が筋を学ぶことで飛躍的に描写量が向上する点の一つは関節である。筋の起始と停止は関節を越えるため、関節周囲の起伏の内容がそれぞれ理解できるようになり、結果的に描写量が向上する。
19世紀に出版されたリトグラフや銅版画の図譜には、カラー版とモノクロ版が用意されていることがある。版画技法や出版計画からくる仕様と考えられるが、視覚的効果の違いも興味深い。色彩があると筋と腱の境界が明瞭で、モノクロになると起伏が明瞭になる。
美術解剖学の知識が頭に入っているか確認するには、モデルや資料なしに描けるか試してみるのも一つの手である。描けなかったり違和感があるところは、モデルさんや資料を確認すると気づきがある。