ことあるごとに医療者や病院を追い詰めるような発信をするメディアの中の人と話したことがあるのだが、困ったことに「自分は医療者を尊敬しているし病院の力になりたい」という強い正義感があり、「そのためには内部の"悪者"をやっつけて浄化しないといけない」と思っているらしいことが分かった。
学校では「たくさん友達を作ってみんなで一緒に何かをやると楽しい」という事実を教わる機会は多かったけど、「一人で楽しめる趣味をたくさん作っておくと大人になってからめちゃくちゃ得だ」という事実は案外学ばない。 これから「老後」は長くなる一方であるし、後者も大切なことだと思う。
こんなことはあまり言いたくないのですが、SNSで流れてきた医療情報を見て「自分はこれまで騙されていた」とか「真実に目覚めた」などと思った時は、たいていデマの可能性が高いので判断を保留にした方がいいと思います。 新しい知識との出会いに水を差すようで心苦しいのですが。
多目的トイレは、人工肛門や人工膀胱を持つ方が排泄物を処理したり、装具や腹部を洗浄したりする「オストメイト対応トイレ」となっているところも多く、そこにはオストメイトマークが表示されています。街中でよく見かけますが、知らない方は多い。 この機会にぜひとも知っていただきたいと思います。
『屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、熱中症のリスクを考慮し、マスクをはずすようにしましょう』 あと、必要のない時にマスクを外している人に対して、「なぜマスクをつけないのか」という非難の目を向けないことも大切だと思います。 twitter.com/mhlwitter/stat…
とても厳しく苦しい現場で働いていた研修医の時期をふと思い出すと、不思議と今でも尊敬できる先輩といえば、能力が高い人よりむしろ「どんなに忙しくてもテンションが安定している人」だった。 厳しい現場ほど、「機嫌の良し悪しがなく浮き沈みがない人」がチームの心理的な柱になってくれる。
たくさんの医療者が、誤情報を必死で訂正し、日々活動している。無償で。 何も趣味でやっているわけじゃない。「あきらめてしまえばどれほど楽か」と心のどこかで思っている。 でも自分が声を上げないことで万が一にも誰かの健康が害されるかもしれない、という恐れには耐えられない。
何かを真剣に学んだことのある人は誰しも「分かったような気になるフェーズ」の存在を知っているし、その後に「無知を自覚し "分からなさ"を思い知るフェーズ」が来ることも知っている。 ゆえに、ある分野を極めた専門家は、自分の知らない領域の専門家を見下したり馬鹿にしたりはしないものである。
Twitterで論争が起こっている時、傍観者からは「どちらにも一理あるように見えてしまう」のは本当に恐ろしいこと。どちらも賛成意見が同じくらいあるように見え「やっぱり賛否両論あるのだな」と思う人が増えていく。 だが学問をちゃんと理解している人が見れば、片方に「一理もない」ことはよくある。
本好きの息子、星新一にハマった後、作者がもう亡くなっていることを知って落ち込み、少年探偵団シリーズにハマった後、江戸川乱歩もすでに亡くなっていることを知って落ち込んでいた。新作はもう出ないのかと。 一見当たり前に思える「推しの新作を待てること」がいかに貴重かと改めて思い知った。
今後、「病気の体験談」を善意で投稿される方がますます増えると思います。 もちろん参考になることもあると思いますが、どんな病気でも症状の出方や進行の速さなどは患者さんによって様々、ケースバイケースであることにご注意ください。 一人の体験談が "あなた" に当てはまるとは限りません。
ご存知の通り、世の中には「〇〇すればがんが消える」「〇〇を食べてがん予防」といった医学的根拠のない情報は膨大にあるわけですが、今後は「がん」が「コロナ」に変わりますので、皆さまにおかれましては "そういう情勢" として備えていただければと思います。 出典が明示された根拠ある情報を。
普段はものすっっごく丁寧で穏やかで礼儀正しい人が、手術直後にせん妄になって別人のように暴言を吐いて大暴れし、のちほど嘘のように元に戻る様子を見て、我々は慣れているので全く驚きはしないが、ご家族の方などは驚いてショックを受けるかもしれないな…と改めて思う。
以前にも書いたことがあるけど、「わかってもらいたい」という思いが強すぎると、当然「わかってもらえなかった時のダメージ」は大きくなる。 だから「そもそも他人には分かってもらえなくて当然」を基本とし、「偶然にも分かり合えそうな部分だけ共有しよう」というスタンスがたぶん楽だと思う。
繰り返しお伝えしているのですが、各種学会の公式サイトには、一般向けに分かりやすくて信頼できる情報集が載っています。 これらがあまり知られていないのは、ググっても上位に表示されないことが多いからです。 ググる前にまずは学会サイトへ、という検索行動は一つのオススメできる手法です。
Yahoo!ニュースで新しい記事を公開。 指定難病の一つ、潰瘍性大腸炎について書きました。 再燃と寛解を繰り返すこの病気。 病状をうまく維持できればできるほど、皮肉にも周囲には「治療中であること」が分かりにくいという悩みもある。 十分な知識と理解が大切だと感じます。 news.yahoo.co.jp/byline/yamamot…
本当に当たり前すぎる話なのだが、他人の趣味や嗜好を馬鹿にせず、「好きな理由」に興味を持ってくれる、そういう人たちに囲まれている環境というのは最も幸せだと思う。 「好きなことを好きだとストレスゼロで言える場所」が最も心地良い。
傷つきやすい人ほど、むしろ自らが傷つく方向に突き進んでしまいがちで、分かってもらえない相手に理解を求めたり、自分が苦手とする相手にこそ好かれたいと願ったりする。 でも心の傷を回避するには、こうした自分の「癖」に気づき、安全地帯へ定期的に軌道修正することが大切だと思う。
以前はがんの患者さんに「ネット情報は危険なものが多いのでググらない方がいいです」と伝えていたが、今は「ネットで調べる時は国立がんセンター『がん情報サービス』をお使い下さい」と伝えている。 自分や家族の病気について調べずにはいられないと思うし、「調べ方」を伝えるのがベターかと思う。
Twitterでは、「素人は黙っとれ」という言葉をよく見るのですが、このセリフの良し悪しはおいておいて、まず「黙っていられない」が素人の定義だと思います。 もちろん自戒を込めて言ってます。 素人には「どこで黙った方がいいか」が分からないからです。
かぜの原因となるウイルスは200種類以上あるとされています。 しかし「何のウイルスが原因の風邪か」を知る意味はありません。いずれにしても自然に治る病気で、特別な治療法があるわけでもないからです。 何となく「煮え切らない」と感じる方もいるかもしれませんが…。 twitter.com/ped_allergy/st…
病気になった方に対して、「〇〇したのが原因じゃないか」とか「〇〇しておけば病気にならなかったんじゃないか」と言って安易に自己責任を求める人がいますが、医学知識として、「どれほど努力と用心を重ねても防げない病気はたくさんある」ということは何度も伝えたいと思っています。
いま現在、病院を利用している人、医療によって命をつないでいる人の多くは "感染症以外" の病気です。 がんの人も心筋梗塞の人も脳梗塞の人もたくさんいる。 決して医療を崩壊させてはならない。 みんなの協力が欠かせない。 感染防止対策と、医療のリソースへの理解と。
専門的知識を持たない知人から「この治療は危険だから受けるな」「病院に行かず〇〇で治せ」という誤った助言を受け、それを信じた結果健康を害しても、その「知人」が助けてくれるわけではない。こうして辛い思いをした末に病院に来る方を多く見てきた。信頼できない情報ソースには本当に注意が必要。
今朝の #あさイチ のテーマが医療情報で私が少し出演したのですが、視聴者から「市が感染者情報について住んでいる区すら公表してくれない」というお便りがありました。 「病気に関する個人情報は公表されるべきでないし、そもそも公表されてもされなくてもやるべき感染対策は同じ」とお答えしました。