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依存症で入院した人に、退院後の生活を円グラフで「仕事30%」「家庭40%」のように書いてもらうと、多くの人が判で押したように「趣味」「運動」を書き込む。
「なにか趣味がありますか?」
「……ありません」
「運動は何を考えてます?」
「いや、具体的にはまだ……」
これが非常に多い。 続
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遊んだり、ケンカしたり、仲直りしたり、抱き合ってはしゃいだり……、我が家の子どもたちのそんな姿を見つめながら、この関係が壊れない4人であり続けてほしいと願う。それと同時に、こういう関係を歪めたり砕いたりしてしまう精神疾患に対して、怒りや憎しみや恐怖を抱く。
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もしかすると、羽田空港ですれ違ったかもしれない。少なくとも、同じ時間帯で、俺と彼は羽田空港にいたのではないか。
この季節になると、毎年必ず思い出す。
互いに見ず知らずの彼と俺は、同じような年齢で、初めての一人旅で、初めての飛行機に、1985年8月12日に乗った。
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「嫌と言われたらやめる」は、まず親や大人が手本を示すことに失敗していることがある。
たとえばコチョコチョ。子どもが嫌な素振りを見せたり、「やめて〜」と言ったりしても、かまわずに続けてしまう人がいる。
された子ども、見た子どもは、これをどう思うだろうか。
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ディズニーランドの土産物店で、父親らしき男性が万華鏡を覗き、「星が見える」と小1くらいの男の子に手渡した。
「見えるだろ?」
男の子はうまくできず、
「う~ん……」
男性は急にキレて、
「見えるだろがっ!」
万華鏡をおろし「うん」。男の子のヘラっと笑った顔を見るのが辛かった。 twitter.com/fukazume_taro/…
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これねぇ……。
夫がなにか大病中や大病後だったり、どこか傷めていたり、あるいは他のなにか外からでは分からない事情があるかもしれないから、実際に見たツイ主さんが感想を語るのはともかくとして、ここに描かれる一場面だけでわーっと批判的に盛り上がってしまうのは怖いなと思う。 twitter.com/suikyokitan/st…
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実際、空っぽの水筒について考えると、俺自身がすごくつらくなってしまう。きっと多くの人が同じはずだ。
それくらい、ストーリーの持つ影響力は大きい。
医療の現場で、教科書の内容より先輩の成功失敗談のほうが記憶に残りやすいのは、それらがストーリーであり、いくらか感情に訴えるからだろう。
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存在感のない、というか、やる気のない社員で、数少ない同期入社の中でたぶん一人だけ名前を覚えてもらえなかった俺だけど、坂本社長には恩義を感じている。
坂本社長、ありがとうございました。|いちは(精神科医) #note note.com/booklover_md/n…
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引用RTが殺伐としてきたな……。
感謝すること、謝罪することを人として当たり前のことだと主張するわりに、人を傷つける言葉を投げかけることには無頓着なのが、あまりにバランス欠けていると思う。
人を傷つける言葉には気をつけることも当たり前だと感じられるようになればいいのにね。 twitter.com/suminotiger/st…
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妻と互いを褒め合った。
相互理解が進み仲が深まるかと期待したが……、
あれ?
まったくそんなことない。
褒められるのは嬉しいんだけど、二人とも「え? そこ?」みたいなことが多い。
それで方法を変え、互いに「褒めてほしいこと」を伝えあった。
これはとても良かった。続
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患者さん「タバコをやめる方法ないですか?」
医師「禁煙外来はどうです?」
直接的に情報提供してもいいが、あえてワンクッションはさむ。
医師「そうですね、何かご自身で考えていることがありますか?」
患者さん「禁煙外来とか」
医師「いいですね、私も禁煙外来を勧めようと思ってました」
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彼のぶんまで、なんて言うとおこがましいけれど、それでも俺は、彼の存在を知ってからの20年以上、夏になると彼を思い出す。
冥福を祈るというようなものとは違うが、自分の命が偶然の積み重ねで生き延びてきたものであり、俺の生きる現在は彼が生きたかった未来であることに、思いを馳せる。
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精神科の入院患者さんには、調子が回復してくると、失ったぶんを取り戻そうと焦るあまり、あれしたい、これしたいと希望する人が多い。
「焦らないほうがいいですよ」と声をかけるのもいいが、「いままでは、そうやってうまくいきましたか? それとも……」と振り返ってもらうのもいい方法。
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国葬反対で集まった人たちこそ、「殺された人を射的のネタにするのは面白い」なんて言う学生を徹底的に批判してやめさせるべきだった。
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コロナワクチンを有料にして、「通知を受け取って2ヶ月は無料」にすれば、接種率はかなり高まると思う。
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へき地で勤務していたとき、製薬会社の人から「やっぱり患者さん多いですか?」と聞かれることが多くイラッとした。
「へき地は血縁婚が多いから精神疾患が多い」という偏見。
実際は、若くで発症した人は都会に出れず、都会で発症した人は故郷に戻ってくることが多いからだった。
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どんなにきちんとした人や組織でもヒヤリとするミスや事故は起こるから、恐れずためらわず逐一報告して、どういうときにミスや事故が起こりやすいかを蓄積させよう。そうすることで深刻な結果にいたるミスや事故を減らそう。
というのこそ、いまインフルエンサーが発信すべきことだ。
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>射殺された人を射的のネタにするのは面白いかなって。
絶句……。
news.yahoo.co.jp/articles/7c8ce…
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親族が精神科受診を止めたせいで予約キャンセル、そしてそのまま自殺されるケースがあった。
これを殺人というと酷だが、命を奪う一因であったことは確かだ。
悔しい。
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「ごく一部のせいで全体の負担を増やすのはよくない」みたいな発信をされると、ヒヤリを起こした人は気後れして報告しなくなる。
そして、いつか深刻な事故が起きるまで、その「起こりやすい要因」が埋もれてしまう。
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援助者を「この人には援助したくない」という気持ちにさせる人こそ、最も助けを必要としていることが多い。
という話を思い出す。
そういう人たちへの援助は、援助者の心をすり減らす。だから、援助者の援助者が必要なのだ、と。 twitter.com/RetirementSemi…
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「医師になって人を助けたい」
そんな志しに燃える医学部一年生がひしめくにぎやかな教室。そこへ腕まくりの白衣を着た初老の男性が入ってくると、教室の中がすっと水を打ったように静まった。
一年生は、まだ教授陣の名前も顔も分からない。
教壇の上に立った教授が口を開いた。
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家族での外食中。
長男を抱く妻が食べ進められないので、俺がさっと食べて交代することになった。
ふと思う。
このシーンだけ見て判断する人からは、赤ちゃんの世話を妻だけに任せ、脇目もふらずに食べるダメ夫に見えるだろうな、と。
たぶん、こういうことは他にもたくさんあるはず。