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――今回は刀鍛冶からみた謎である
さて名槍「蜻蛉切」の写し!
作は幕末に試斬で鳴らした固山宗次。刀同様、試し銘が誇らしく添えられている。
「蜻蛉切」がお好きな人はすぐにお気付きになるだろう。
上半の梵字が本歌と異なり「陽刻」(でっぱり)式なのだ。
本歌は「陰刻」。
#蜻蛉切
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【打ち除け】
画像は三枚鍛に直刃を焼いたもの。
甲伏式(一般的な芯鉄入り)とは異なり、刃文の境目に複雑な働きが生じる。肌目にそって「打ち除け」や「砂流し」が入る。
ここから推測すれば、三日月宗近は柔らかい地鉄に刃鋼を挿入して鍛えたものかもしれない。
#三日月宗近
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【花と団子】
上は「相州風」に、下は「備前風」に乱刃を焼いたもの。
備前の乱刃は<丁子の花>に例えられ、相州はムックリとしたキノコを思わせる形になり、<団子丁子>とも称される。
両者の持ち味がよく表れていると思う。
温度の微妙な差が明暗を分けるポイントだ。
#良光鍛刀録
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【樋】
刀の溝のことを「樋(ひ)」と呼ぶ。
血抜きの溝と解釈されることも多いが、実質的機能としては軽量化の工夫。
くるくるした削り屑からも分かる様に、少しづつ皮を剥く要領で手彫りされている。
3~4日かかる地道な工程なのである。
#良光鍛刀録