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市場原理を導入するのなら、病院ごとに内服薬の調達価格を自由化すればいいのだろうけれど、それをやるとたぶん、生きる/死ぬの問題が一番シビアな市中基幹病院から、調達できる内服薬が枯れていく。それを回避するのなら、米国みたいに、大病院に受診するコストが100万円からになったりする。
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今のところ、変化はまだゆっくりだけれど、漸進的だという体感。ドルミカムに処方制限がかかった、という話を今日聞き、これはとても怖く感じている。
こればかりは政治の問題で、対処してほしい。
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結果として今までなら当たり前に処方できた各種内服薬が、新規処方が困難になりつつあり、そうした薬剤はむしろ増えつつある。改善を望むなら、不祥事をやらかした企業に国のお金を注入、薬価を上積みしてそうした企業を潤さないといけないのだろうけれど、世論がそれを許すんだろうか?
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結局の所、そもそもの薬価が安く設定されすぎて、不備を指摘された会社が今さら品質を向上しようにも資金的な体力はなく。海外からの薬剤原末を調達しても、医薬品用途ではなく、サプリメント用途のほうが圧倒的に調達価格が高く。今は薬剤の流通が減少、でも病院の薬剤調達価格は保険で固定され。
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処方できる医薬品に欠品が目立つ問題は、最近むしろ悪化している。
これは不祥事をおこしたジェネリック医薬品メーカー単独の問題ではなく、構造的に限界が来ていた業界全体が、不祥事を契機にクラッシュしているのではないかと思う。
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小林化工と日医工の問題は、たしかに大きかった。でもあの問題がニュースになった当初、個人的には「流通は数ヶ月単位でもとに戻るのだろう」と考えていた。むしろあれ以後、不備を指摘された会社の流通も戻らず、競合他社も薬剤の流通を増やすこともなく、じりじりと処方できない薬が増えていった。
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昔は「医師免許を持っている人は、よほど頭のおかしな人でない限り、なにか発言をするときには、それが医学的に妥当なものなのか、迷惑する患者さんは出ないのかを考える」みたいなことを無邪気に信じていたのだけれど、ここ2年でその信念は間違っているとよく分かった。
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初めて入ったラーメン屋さんで「いつもの」とだけ注文、出されたものが「チャーシュー麺の半ライスセットではなかった」と怒る人は単なる狂人だけれど、組織内の強者はこれに近いことをけっこうやらかす。
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「日本の怪異は能力を持った人以外には見えず、一般人はひたすら恐れる。西洋のモンスターは見える驚異として集落を蹂躙、能力を持った人が脅威に対処する」的な文化の違いが、感染者が減少トレンドに入った状況での、マスクを継続する/すぐ外すの違いに影響しているのかなと思う。
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医師の評判というのはつまるところ、「患者さんを叱らない」「他科のドクターと丁寧に接する」の2つができていれば、かなり高い確率で「あの人はいい先生」の評判を獲得できる。バカみたいだけれど、これが両方できていない人がとても多いのがこの業界。
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けっこう無理やり気味に見える全国一斉緊急事態宣言解除、あれをあえて推し進める理由は、「菅総理に男の花道を」的な、感染症対策としてはけっこうどうでもいいことが原動力に思えるのだけれど、どうなんだろう?
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「きちんと話し合えば仲良くなれる」
「ネット人格と社会人格は一貫している」
「議論することで相手の考えかたは変えられる」
こういう誤解を持ったまま、なれない人がSNSに接すると、かなり高い確率で狂人になる。
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感染者数はたしかにすごいペースで減っているけれど、これで月末、緊急事態宣言を全国的に一気に解除、みたいなことをやると、勝利宣言みたいな間違ったメッセージが飛びそうなのが怖い。
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いわゆる水際対策は、政府はいつも「徹底」を口にする割に、どうしてこっそり緩むんだろう? 緩和することについて、きちんとしたアナウンスを聞いたことがない気がするのだけれど。
www3.nhk.or.jp/news/html/2021…
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朝のニュースで(維新の会だったはず)「コロナウイルス感染症の痛みを分かち合うために議員給与3割削減を」の提案が行われたと報じられていたけれど、ああいうの本当にやめてほしい。「給与3割削減だ、よし頑張るぞ」と思える会社員なんていない。
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昨年からずっとそうだけれど、高齢者施設からの、臨時の往診依頼は本当に減った。
施設スタッフの手洗いやマスクの励行が効いているのはもちろんだけれど、「発熱したら休む」という職場の文化が根付いたのは、かなり大きいんじゃないかと思う。
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最近の感染者数減少トレンドは本当にありがたいことだけれど、原因精査はしっかりやってほしい。気温や気候みたいな人間にはコントロールできない要素と、緊急事態宣言や政府の呼びかけ、各種イベントみたいな人間が判断できるものとに分けて、何がどう貢献したのか。
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PCR検査の人手も試薬も十分でなかった以前の状態と、簡易に行える抗原検査の感度が(ウイルス変異の結果として)十分信頼できる状況になった昨今とは、火縄銃が後装式ライフルに変わったぐらいのインパクトがあり、検査戦略が大幅に変わることは不思議でもなんでもないと思う。
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特に米国の反ワクチン/Qアノンの人たちとか、あれを物語に組み込んでも、どれだけ上手な作家であっても、「そんな奴らいるわけないじゃないか!ご都合主義もいいかげんにしろ」と叩かれるのは目に見えて。
あの人達を、整合性を持って物語に組み込める作家がいたら、ぜひ読んでみたい。
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SF小説で現在のコロナウイルス感染症をそのまま描いたとして。たぶん「人類はそんなに無能じゃない」とか、「作者は人間の可能性を低く見積もりすぎている」とかの批判が噴出したんだと思う。2年前、自分もSF作家を叩く側だったし、今の分断を見て途方に暮れている。
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政府にはできれば、「デルタ型コロナウイルスは今までとは別の疾患」という仕切り直し宣言をやってほしい。
2年前に話題になっていた対策と、今求められている対策とでは切実さがまるで違うし、もはやワクチン接種がゴールであるとは到底言えないし。
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まだ2回しか遭遇していないのだけれど、「自信たっぷりに(見える)マスク無しで出歩く高齢男性」は本当に怖い。ワクチン接種が完了しているのかもしれないけれど、うかつに注意して大声出されても嫌だし。同じ空間に入られても逃げ出すより他に打つ手が無いし。
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野戦病院的なものの設置を行政が拒むのは、案外「野戦病院的な絵」がカメラで切り取られ、放映されることが政治的に好ましくないとか、その程度の理由なんじゃないだろうか。。見た目が「いかにも有事」になるし。実際有事だし、むしろ現場は、そうした絵図が放映されることを望んでいるはずだけれど。
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この気温で、救急隊の人たちは上下フルPPEにN95マスクで仕事、あの人達は基本大声でコミュニケーションするから、あれものすごく疲れるだろうなと思う。それでも笑顔が崩れないのは本当に頭が下がる。
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そもそもが応需に精いっぱいだった国内医療制度が、乾いた雑巾を絞るような「改革」が行われて10年ぐらい、ここに来ていきなり、毎日2万人単位で、「制度が全く想定していなかった新規患者」が生み出されている昨今、冗長ゼロの改革で削られた業界が、対応できるわけもなく。