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医療のリソースはいよいよ少なく、患者さんの数は毎日のように増える昨今、そこに旧来の「医療を受ける権利は誰もが平等」のルールが加わると、「大きな声でごねる患者さんが少ないリソースを総取りする」という地獄が発生する。見聞する範囲で、だいたいそうなってる。
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東京都の近隣県から東京都に患者さんを搬送するケースは時々あるけれど、東京都の患者さんが受け入れ不可で埼玉県に搬送した今日の事例は、極めてまれな事例で、なおかつ恐ろしい。比較にならないぐらいにたくさんのベッド数を持った東京が、いよいよオーバーフローしているわけで。
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担当している施設が、昨年より次亜塩素酸の噴霧を開始、さらにフェイスシールドが義務化、さらに唾液抗原検査キットが義務化され、と迷走を続けていたのだけれど、ここに来て全部中止になった。本当に良かった。
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そもそもが応需に精いっぱいだった国内医療制度が、乾いた雑巾を絞るような「改革」が行われて10年ぐらい、ここに来ていきなり、毎日2万人単位で、「制度が全く想定していなかった新規患者」が生み出されている昨今、冗長ゼロの改革で削られた業界が、対応できるわけもなく。
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でも手洗いや個室隔離、学級閉鎖みたいな、伝統的に過ぎる感染対策は、徹底するとこんなにも効果があるのだ、ということを、コロナウイルス感染症ではなく、「今年は患者さんの発熱が極端に少ない」という体験を通じて実感している。
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モデルナのワクチン、変異種に対応した製品の治験が始まると、朝のニュースで報じられていた。
サラッと流されていたけれど、従来のワクチンから考えると、これはとんでもない対応速度で。
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電子カルテって、やたら手間がかってそうに見える割には絶望的に使いにくい、「真心のこもったクソ」としか表現できない製品ばかりなのってどうしてなんだろう?
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国産のガウンとかマスク、軍事物資に準じた物品として買い上げ/備蓄にまわしてほしい。今年の3月4月に何があったのか、さすがにまだ記憶はあると思うのだけれど。国内の生産力が無くなると、いざというときにどれだけ困るか。
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米国、4月初旬頃に「死者6万人」の予想を出していて、その頃は「いくらなんでも米国が本気出したらそんなに亡くなるわけないだろう」ぐらいに思っていたのに、すでに13万人亡くなったとか、逆方向に裏切られた。
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ここに来て施設スタッフのコロナ陽性事例がけっこう増えてきているのが不気味。「調子が悪いので帰宅させたら陽性だった」施設と、「発熱をおして夜勤を完遂、陽性が発覚」した施設とで、明暗が分かれる。
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政府の専門家分科会が相手にしているのはまさにそうした人々の集まりで、あの場に出席している先生方は、怒りよりもまず恐怖と戦っているんだと思う。
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医師の評判というのはつまるところ、「患者さんを叱らない」「他科のドクターと丁寧に接する」の2つができていれば、かなり高い確率で「あの人はいい先生」の評判を獲得できる。バカみたいだけれど、これが両方できていない人がとても多いのがこの業界。
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緊急事態宣言、今日延長が決まり、総理が理由を説明するそうだけれど、延長の理由よりもむしろ、どうして5月11日で宣言を終了できると思ったのか、そっちの理由を聞かせてほしい。
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日本の医療固有の強みとして、CTが山ほどある、通常採血検査の余力が(恐らく)相当に大きい、通常ベッドの数は多い(医師は少ない)、アビガンの備蓄は山ほどある、といったあたりで、感染防護装備が少ない、PCR余力がない、ICUが少ない、運営できる医師も少ないというあたりが弱みで
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自分は「大丈夫を買いに来る患者さん」と表現していたけれど、あれこれと可能性を尋ねられ、要は「大丈夫という言質はほしいが主治医の言うことを守る気はない」というの明らかになる。
どんな文脈でも「大丈夫」と言ってしまうと、そこだけ切り取ってダッシュで持っていかれる。
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これから初期研修医になる人達に、「基本的に本籍地は変えないほうがいい」というのを強くおすすめしたい。
自分は引っ越すたびに本籍地を一緒に移転、医師免許を紛失したタイミングで「再発行には全ての本籍地について突合が必要です」と言われ、えらい目にあった。。
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やっぱりこう、感染症収束と経済再生の二兎を追う姿勢を政府が見せたあたりから、世論の分断が一気に進んで収集つかなくなったように見える。
もちろんどちらもやらないといけないとはいえ、主治医がくわえタバコで患者さんに禁煙を命じるような、矛盾したメッセージは混乱しか産まない。
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そういう流れなんだとしたら、政府は単純に、専門家会議の先生方が煙たくなったんだな、という理解をするしかない。
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次亜塩素酸空間除菌スプレー、施設で借りて手に噴霧すると、ほとんどなんの匂いもしないから、中身はほとんど「ただの水」なんだと思う。売る側も「目に入ったりすると危ない」ことは十分分かっていて、あえて効かない濃度にしている。きちんとした知識を持った人が、嘘ついて作っている印象。
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もちろん今回はレアケースもいいところで、最悪が色々重なった結果ではあるにせよ、訪問診療で危惧されたものが最悪の形で露呈したことには間違いなくて。
結果として主治医が殺害された以上、制度の見直しはどんな形であっても検討してほしい。
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だいたいCOCOAって、できが良い/悪いを論じるどころか、国がアプリの検証プロセスを全く見ていなかった、なんなら丸投げしたあと知らんぷりしてたという話なんだから、むしろ大臣が頭を下げるべき問題で。
開発者刺すのは筋が違う。
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「アナフィラキシーにエピネフリン」は誰もが習う当たり前の知識だけれど、実際にアナフィラキシーを生じた患者さんにエピネフリンを筋注した経験のあるドクターは、救急外来や循環器内科勤務ならともかく、そこまで多くはないんじゃないかと思う。
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「旅行自体が感染を起こすことはない」は全く間違っていないと思うけれど、旅行に行けばワイワイ騒ぐし飲み屋さんにも行くだろうし、「旅行」という言葉を単なる移動と取る人と、移動の先にあるイベントをまるごと含めて旅行という言葉を使う人と、間違ったメッセージを伝えちゃうんじゃないだろうか。
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今思えば、西浦先生が8割を主張したあの頃、「官僚の壁」で数字が減衰、総理に届くときには6割になりそうだったという逸話は、「総理大臣の耳に痛いことを伝えた官僚は疎まれ、不遇な思いをする」みたいな暗黙のルールがすでにあり、きちんと機能していたからなんだろう。
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ファイザーのmRNAワクチンなんて、あの技術を基盤にしたこれから先の医療需要を見れば、ワクチン自体から得られる収入なんて、「この技術がコンバットプルーフされた」という実績に比べれば、投げ捨てたっていいレベルなんじゃないだろうか。。
出荷数もものすごいし、利益度外視だと思う。