140年前の理想形 ヴィクトリア朝末期に誕生した婦人服「アルスター」を紹介します 寄生虫サプリメントにヒ素ドリンクなど、にわかには信じがたい狂気のダイエット法が19世紀にあったそうです 女性たちが目指したウエストは45cm 私は、この服に出会ったとき、あながち嘘でもないなあと思いました
120年前につくられたパンプスと、靴の上にかぶせる装飾品「ブーツトップ」を紹介します 19世紀末からファッションアイテムとして頭角を現したのがブーツトップでした 軍服のゲートルから派生したもので、脚を守る防具ではなく「装飾具」として独自に進化を遂げています その歴史と構造を探ります↓
釦ブーツが欲しい!と思っている方は、ぜひboutique.dramaticaさんを覗いてみてください @btqdrmtc 半・分解展にもよく来てくださるマニアックなデザイナーさんがつくっています (写真はboutique.dramaticaの釦ブーツ)
この手の靴に必須の秘密道具が「釦フック」です 小さな釦を手で留めるの至難の業 この釦フックを使えば、釦の開閉が多少はマシになります 以前19世紀の小説か映画で、紳士が女性の服を脱がす描写がありました しかし、釦ブーツ、ボディス、コルセットなど無数の釦を外すのに苦戦し悶絶していました
現在でも愛好家の多いクラシックシューズの王道【釦ブーツ】 今回は1890年にアメリカでつくられた、女性用釦ブーツを紹介します その歴史は古く1810年ごろまで遡ります 「紐の靴よりもほどけにくい靴がほしい」という声から発明されたそうで、1910年ごろまで永く愛されました 細部に迫ります↓
左:213年前 右:113年前 どちらも西洋で流行した婦人服です 女性たちは、こんな格好で街を闊歩していました ちなみに両者共に秋冬の装い 皆さんは、どちらがお好みでしょう?
私が愛してやまない軍服コレクターがイギリスのpemburysです 世界一のコレクションだと勝手に思っています pemburysのHPを覗いてみてください そこは【肋骨服の楽園】です ちなみに100~300万円ほどで購入できるアイテムもあります pemburys.com
英国陸軍の美しい兄弟 また半・分解展で拝んでください
半・分解展に新しい仲間が加わりました エドワーディアン朝の英国陸軍【肋骨服】です 半・分解展には、英・仏・米とさまざま国の肋骨服が並びます ボディに縫い付けられた無数のブレードはすべて「銀糸」で織られています
左:135年前 右:165年前 皆さんは、どちらの造形がお好きですか?
ヴィクトリア中期に見られる「わざと柄をズラす」テクニックですが【和服にも同じような技がある】と何名かの方がコメントしてくれました ありがとうございます 和服は曲線裁断をしないので、てっきり柄を合わせるものだと思っていました 和服で柄をズラすのには、どんな意図があるのでしょう🧐?? twitter.com/rrr00129/statu…
ちょっと、そこまでお散歩しましょう? 1880年ヴィクトリア朝後期 貴婦人たちの「お散歩ファッション」を紹介します 外出時の羽織りとして重宝されたのが【ヴィジット】という特殊な衣服です 「背中から袖が生える」という複雑な構造は、手をヘソの前で重ねる品の良いポーズを強制しました
皆さんからのコメント、大変興味深く拝見しました 「ヴィヴィアン・ウエストウッド」っぽいデザインだという声や「若草物語」を連想するといった声が多くありました 個人的に一番ツボったのは、数名の方が【このドレス、某忍者かと思った】と呟いていたことです 今日のランチは冷えた八宝菜にします
チェック柄のドレスは数多く存在します 1840年代にヴィクトリア女王がスコットランドを訪れ、タータンチェックを着用し、流行の柄となりました 美しい作例を紹介します 写真1,2は1830年 3,4は1873年 すべてMet museum所蔵です
私の専門である構造についても少し触れます 背中のこの縫い目 こちらは「ファン・ボディス」と呼ばれるかたちをつくる縫い目です よく見ると「柄合わせ」がズレてますよね 実は、この時代はズレるのが正しいんです むしろ、わざとズラすんです 目の錯覚を利用してウエスト細く魅せる技なのですね
それがこちらのドレスです 1861年製です 驚くべきことに、全身ハッシュタッグ#のデザインです 現代社会でみると奇怪に映りますが、当時はどうだったのでしょうか もし現代で、このドレスを着ていたらイイ感じに拡散されそうですね Met museum所蔵
目の覚めるようなタータンチェックが美しい 1850年の【クリノリン・ドレス】を紹介します お尻に付く「巨大なリボン」は、まるで漫画の世界から飛び出てきたかのようです リボンのふちには、なんと【ハッシュタッグ#】が縫い付けられていました SNS映えも計算済みの、古くて新しいドレスです
4月15日、16日に渋谷にて「小学生限定」のワークショップを開催します ドレスなどの洋服はもちろんのこと、天然繊維についても学びます 見て、触って、嗅いで、西洋服飾史・文化史を一緒に楽しく巡りましょう 教材となる衣装は、すべて100年、200年以上前の「本物」を使用します 詳細はまた後ほど
12月はヴィクトリア朝の婦人服を数多く修繕しました 目の覚めるようなチェック柄のドレスは1860年アメリカのもの とにかくスカートが巨大なので、修繕もひと苦労でした このドレスはバックスタイルに面白い特徴があるので、綺麗に直し終わったら、早く皆さんとシェアしたいです🙂
この写真3枚は、すべてMETミュージアムの所蔵品です どれもかわいいですよね 編み物ができる方は、マイザーパースをつくってみてはいかがでしょう 現代では、なかなか見ないユニークな財布です
お金はここから入れるんです 中央にはリングが2つ それを片側に移動することで、口が開きます(写真2) そしてお金を入れて、リングを端まで寄せれば完了です お金が、落ちずらい(取りずらい)構造になっており、けちん坊の財布と呼ばれたとも言われています
皆さんはどんな財布をお持ちですか? 150年ほど前の西洋では、老若男女問わず【マイザーパース】という財布を使っていました 現代の財布とはだいぶ見た目が違いますね いったい何処からお金が出るのでしょうか? 別名「けちん坊の財布」と呼ばれたマイザーパースの由縁を探ります
1780年ロココ朝 死の緑色「シェーレ・グリーン」のカラコを紹介します 多くの女性の命を奪ったパリスグリーン その前身となるシェーレグリーンは、19世紀初頭まで幅広い用途に使われました 黄緑色の優しい色合いですが、強い毒性性を持ち、ヒ素中毒へといざないます
小さな釦を留めるために、女性たちは専用の器具を使いました それが「釦フック」です ホールの中にフックを通して、釦を引っ掛けて使用します 上流階級にもなると、釦フックにもこだわりました シルバーに意匠を凝らしたデザインや、宝石を埋め込んだものなどが存在します
ブーツトップはドレスコードのひとつとなり、紳士淑女の足元を彩ります 特に女性のブーツトップには、小ぶりな釦が多数付き装飾性を高めると同時に、造形美を成立させています 極端な足のカーブに沿わせるためには、無数の釦が必要なのです まだファスナーのない時代に考えらえた工夫でした