今週末の【半・分解展のアトリエ】では、当時の本物を教材に、美術史/文化史を巡ります 紳士服の講義は、まだ空席がございます 肋骨服などの軍服は「ヴィクトリア・エドワーディアン」のコマで詳しく解説します 参加チケットはHPよりお求めください↓ sites.google.com/view/dd--ateli…
肋骨服は日本においての通称であり、明治時代の軍服として採用された経緯があります 人気の火付け役となったのは、言わずもがなゴールデンカムイの鶴見中尉 私の展示にも、多くの金カムファンが来場してくれました 10月いっぱいまで100話~162話が無料公開されています↓ shonenjumpplus.com/episode/139320…
この服なんですか?と質問すると、大きく2つに分かれます 「肋骨服です!」と答えるオタクの皆さまと 「ナポレオン・ジャケット」と答えるファッショニスタ どちらも正解であり、どちらの名称にも由来があります 肋骨服の異名は、まさしく「あばら骨」に似た装飾デザインから名付けられました ↓
こちらも使用人のお仕着せである燕尾服です 基本設計は同じですので、お尻のデザインを変更すれば、貴族の燕尾服にもなります こちら全く需要がないようで、型紙はぜんぜん売れません ただ個人的には思い入れの強い1着です 美しい造形をご堪能いただけます ↓ rrr129annex.blogspot.com/2020/03/countr…
コーチマンズのコートは、型紙を販売しています ピーコートでもトレンチコートでもない独自のデザインは、100年以上経った現在でも褪せることなく美しいです 型紙販売は今週末の金曜日21日までとなります ぜひご自身の手でおつくりください コーチマンズの詳細↓ rrr129annex.blogspot.com/2022/01/co.html
馬車の運転士であるコーチマンは、装飾を省いた端正なオーバーコートを支給されました お尻の釦は、地味なデザインですが健在です 彼らのコートは、防寒性のために裏にボア生地が張られており、その重量は4.5キロにもなります 私の所蔵品のなかでも随一の重量級選手です
お尻の釦もまた、前世紀ロココ貴族を象徴とするディテールでした 19世紀になると、貴族ではなく労働者である使用人に受け継がれたのです 大抵の場合、金属釦が縫い付けられ、釦にはイニシャルや王冠マークなどのモチーフが刻印されました 釦を傷つけないように、美しく立ち続けなければいけません
給仕全般を担当するコーチマンは、時間帯によって制服を着替えなければいけません 端正な見た目の「燕尾服」は夜の宴会に着用されました ここで注目すべきは「お尻」です お仕着せのお尻には、必ず「無数の釦」が縫い付けられました 主人と同じデザインの燕尾服でもお尻を見れば階級が分かるのです
こちらも同じくフットマンのお仕着せです 見た目が派手あることと同時に「前世紀の恰好」をさせることも暗黙のルールでした 彼らは、前世紀ロココ貴族の象徴である半ズボン(キュロット)に白タイツを履かされ、場合によっては頭に白粉まで付けさせられました
主人から使用人に与えられる制服を「お仕着せ」といいます 19世紀ヴィクトリア朝において、使用人は主人よりも ” 見栄えの良い ” お仕着せの着用を命じられました 代表的なお仕着せは何といっても「フットマン」のコートです 顔重視で採用されたため、彼らは別名「鑑賞用の寄生虫」と呼ばれました
型紙の販売は、今週の金曜日 21日までです この機会に、150年前の洋服をご自身の手でおつくりください なかなか面白いですよ 【半・分解展の型紙】↓ d-d-pattern.myshopify.com
1867年の着こなしはこんな感じです 写真2枚目が当時の実物です このような袖の構造は、当時ポピュラーであり海外美術館でも多くの作例を確認することができます 私は「ヴィジット」を着るひとが増えたら嬉しいなあと思っています
現代において着用すると、着る人によって印象が大きく変わるので面白いです ヴィクトリア朝の外套としては、珍しく着心地も良いので現代ファッションでも問題なく着用できます 半・分解展の型紙のなかでも1、2位を争う売れ筋アイテムです 型紙はHPで販売しております↓ d-d-pattern.myshopify.com
こんな感じで、隠された袖がニュッと出てきます 実際に着用してみると、ヘソの上で手を重ねた状態でぴったりと収まります このように、しおらしい姿でそっと男性の後ろに立つことが美しいとされていました
1870年フランス 不思議な構造の羽織り【クリノリン ヴィジット】 ヴィクトリア朝の美徳とされた「か弱く、慎ましい女性像」が構造に反映された羽織りです その構造は、袖にあります ちょうどヘソの上で、手を重ねたポーズになるように内部に「仕掛け」が隠されています どうなるかと言うと↓
半・分解展の型紙のなかでも、ひときわ存在感のあるコート それが1902年イギリス軍の「ブリティッシュ アーミー オーバーコート」です こちらは当時の製図書から私が再現したものです いつか実物を手に入れたいと思っていたのですが、運よく出会うことができました ↓
10月27、28、29日に渋谷でおこなう特別講義 前売りチケットの販売は、16日(日)で終了となります ご興味ある方は、お忘れなく 18世紀半ばから20世紀初頭までの歴史と文化を「衣服」で辿る体感型の講義です こちらは女性用の横乗り乗馬スーツ チケット購入はこちらです↓ sites.google.com/view/dd--ateli…
230年前に誕生した小さなハンドバック【レティキュール】の型紙を、無料配布します ぜひ皆さんもつくってみてください 配布期間は21日までとなります 「女性のポケットの歴史」と密接に関わるレティキュール その誕生秘話を追ってみましょう 型紙はこちらです↓ rrr129annex.blogspot.com/2022/10/reticu…
ちなみに、1850年ごろまでは「男の内ポケット」はタブーです 現代のジャケットでは当たり前の内ポケットですが、胸の造形が崩れるという理由で当時はNGだったのです その代わりに、紳士服のポケットは伝統的に尻尾に隠されていました
1830、40年ごろは、女性同様に男性もウエストを絞り上げました ロマン主義の影響のもと、衣服も大胆にデフォルメされていったのです 男性もコルセットを装着し、身体補正をかけていきます メリハリをつけた理想のボディの上に羽織る燕尾服には、熟練職人の知られざる細工がされたのです
180年前につくられた手縫いの「燕尾服」を紹介します 男性スーツは、現代のようなジャケットタイプではなく、尻尾が生えているのが基本スタイルでした なので、テイル(尻尾)コートと呼ばれます 1840年代ごろは、女性と男性の美意識が共鳴する稀有な時代でもあります その共通点を探りましょう
【半・分解展の型紙】販売を再開します 10月21日まで販売いたします 今回に限り、2点以上のお買い上げで15%OFFのセールを開催しております この機会に、ぜひ半・分解展の型紙に挑戦してみてください ご注文お待ちしております ご購入はこちらから↓ d-d-pattern.myshopify.com
シュミーズドレスは、耐久性やデザインの観点からポケットをつくることが困難でした そこで誕生したのが「レティキュール」という小さなバックです レティキュールにはさまざまなかたちがあり、見ているだけで楽しめます とっておきの型紙を制作したので、こちらは近々、型紙を無料で配布します
あまりに背中が狭いのに、なんで人が着られるのか? その秘密は「袖の設計」にあります まるで肩甲骨から生えているかのように縫い付けられた袖は、意外なほどにスムーズな着脱を可能にします そして一度着てしまえば、腕は楽に動かせます この袖の構造は、半・分解展のイチ押しポイントです
内部のリネン素材は、背中まで張り巡らされており、最低限の土台として機能しているようでした この小さな土台のうえに「モスリン」と呼ばれる極薄コットンを縫い付け、支えていたのです この作例では「二の腕部分」までリネンが仕込まれており、まるで内部に「半袖の服」を重ね着しているようでした