CTスキャンで蘇った100年前の婦人靴 半・分解展 東京で、実験的に展示していましたが@btqdrmtc さん協力のもと製品化されました 大阪展でも展示いたしますので、ご興味ある方は履いてみてください 6サイズ展開しています
1810年イギリス 金糸と模造宝石で彩られた【ウエストコート】 こちらは「半・分解展 大阪」の会場内で、分解実演いたします ダメージが多いため、綺麗に解いて内部構造がわかる「衣服標本」にします この刺繍の裏側がどうなっているのか、会場で一緒に見てみましょう
このウエストコートの上に着たのが【Mノッチ】というコートです Blogにまとめていますので、ご興味あればご覧ください こちらもヤバイつくりで思わず笑ってしまいます ↓ rrr129annex.blogspot.com/2020/03/m-notc…
極めつけは背面です まるで「コルセットのように絞り込む仕様」になっています ロマン主義のころには男性がコルセットを締めることもありました 【胸の造形、腰の革、背面の絞り】 上着のしたでは、こんなお祭り騒ぎが起きていたのです
この造形を支えるために重要となるのが「腰回り」の設計です なんと【腰に革を縫い込んで】胸の造形を固定しているのです(矢印部分) 摩擦と耐久性を求めた結果が、革という選択肢になったのでしょう メトロポリタン美術館が所蔵するウエストコートも同様のつくりになっています
ウエストコートを真横から見てください 前方に「突出」しているのが良くわかります これは19世紀初頭の上着に共通してみられる「傾きの構造」です この特殊な構造は【釦を留めるだけで胸が膨らむ】のが最大の特徴です 膨らんだ胸の隙間に、クラヴァット(ネクタイの祖先)が収まり造形が完成します
19世紀初頭 男たちの「造形美」を支えた名脇役【ウエストコート】を紹介します フランス革命後の男たちは、彫刻ような造形美を求めました 特に上着は、鳩胸のように膨らまし「誇張した胸板」を構築します 極端な胸の造形を、内側から支えたウエストコートの「知られざる構造」をお見せします
初の大阪展です🙂 私、長谷川が個人所蔵する1750年から1940年までの洋服を展示します 私は造形の専門家です なので展示方法がユニークです 洋服を分解して「内部構造」を可視化し、実際に試着できるサンプルを用意しました 半・分解展で、200年前の「着心地」を味わってみませんか🙂? twitter.com/fashionsnap/st…
1750年~1850年 ウエストコートから視る【造形の変遷】を紹介します ウエストコート(ベスト)は、ロココ朝においてメンズウェアの頂点に君臨する衣服でした そんな衣服がフランス革命を経て、どのような運命を辿るのか?造形と共にみていきます 黄色が革命前、茶色が革命後のウエストコートです
10月24日から11月1日まで、大阪にて「半・分解展」を開催します 本日から【前売りチケットの販売】が始まりました 衣服を介して、知られざる歴史・文化・芸術をお楽しみください sites.google.com/view/demi-deco…
男性使用人で唯一、バトラー(執事)のみが主と同等の燕尾服を着用することが許されました 主との相違点は袖口にあり「バトラーの袖口には、釦を2つ付ける」と1890年イギリスの製図書にあります すべてが該当するわけではないでしょうが、映画などを見る際に注目してみると面白いかもしれませんね
実は、お尻には仕掛けが隠されています それは内側に設けられた「隠しポケット」です 表側にポケットを付けない代わりに、お尻や胸の内側にポケットがつくられました 貴族は手袋をしまい、労働者は酒ビンを隠したそうです 使用人がなにを入れていたのか想像が膨らみます
お尻の金属釦に機能はなく、完全なる飾りです 男性使用人は、古くから「贅沢品」とされてきました 貴族のステータスを示すアクセサリーに過ぎないのです 衿まわり、ウエスト部分につくパイピングも釦同様に、主が決めた柄を用いました 場合よっては、仕立て屋がアドバイスすることもあったそうです
主が着るコートとはまず「生地」が違います スタイルはどちらも燕尾服ですが、使用人のコートは重く固いウールを使います 1890年イギリスの仕立て書には「使用人の生地は屋内用でも重い方が好ましい」と書かれています 理由は耐久性と見栄えが良いからです (2枚目が同年代の貴族が着た燕尾服)
1900年フランス 男性使用人の正装【コーチマンズ スーツ】を紹介します お尻に注目してください 10個もの金属釦が縫い付けられています 彼らの仕事は、館内での給仕や雑務 そして「美しく立ち続けること」でした 主の紋章が刻まれた金属釦に、傷をつけることは許されません
ロココの男性は袖口からレースが溢れだしています 中に着たシャツのレースが出ているんだと思っていましたが、コートの袖口に「直接縫い付け」られていました 海外美術館のアーカイブを確認してみると、コートに縫い付けられているものが多数見つかります 「本物」をじっくり見るのは面白いです
19世紀オランダ 女性たちが肩に掛けた「ヴィクトリアン ラップ」 製作した皆さんからは、季節の変わり目に重宝すると感想をいただいております 芸術の秋 【洋裁チャレンジ】はいかがでしょうか 数百年前に廃れた衣服を、分解研究し解読した「型紙」を販売しております ↓ rrr129annex.blogspot.com/2021/06/vr.html
半・分解展では私が製作した1点物の展示品を買いとることが可能です 東京展では3点のサイドサドルに買い手が付きました 今回はウィーンで購入したローデンクロスという生地でサイドサドルを製作しています 10月24日からの大阪展でぜひ履いてみてください
半・分解展では、この「サイドサドル」の展示が大人気でした 学芸員、縫製士、コスプレイヤー、どんな方が手にとっても初見でサイドサドルスカートを正しく履けた人はいませんでした それくらい着用が難解ですが、その体験はとても面白いものです 視覚のみならず「触覚」で歴史を味わえます
横乗り乗馬を身に付ける以前に、この3段変形するサイドサドルスカートを美しく履きこなす必要があります 装着時・歩行時・乗馬時と、裏側の仕掛けを手際よく繋ぎ合わせなければいけません 移動手段ではない、社交として嗜みとしての乗馬が上流社会では求められるのです 一朝一夕では身に付きません
すでに特権階級をも凌ぐ資産を築いた新興ブルジョワジー(産業資本家)は、上流社会へと流入していきます 爵位すら金で買ったブルジョワたちは気付きました 自分たちは「文化」を持っていないことに 完全なトップダウン形式の文化・芸術のなかに、女性の横乗り乗馬も含まれていました
20世紀初頭まで上流階級の女性たちは、馬に跨り続けます 移動手段としての馬車から自動車への移行はあっても、上流階級の矜持が「横乗り乗馬」をさせます こんなに複雑怪奇なスカート(写真2,3)を履いて危険を冒そうとも、彼女たちにはそれしか残されていませんでした 資本主義に文化で抗ったのです
1903年イギリス 女性の「横乗り乗馬」専用スカート【サイドサドル】を縫いました 今回は120年前に起きた「乗馬VS自動車」の構図を、衣服を介して紹介します 先日のTweetでは馬車を運転する使用人のコートが、車の普及により廃れていく様をお見せしました しかし、馬に跨り続けた女性もいるのです
【半・分解展】では、貴族・使用人・軍人・労働者それぞれの文化を「衣服」を介して体験できます 実際に触れて袖を通すことで、より鮮明に当時の人々の生き様が感じとれるでしょう 半・分解展 大阪展(10.24~11.1)にぜひお越しください ↓ sites.google.com/view/demi-deco…
馬車は1910年ごろまでは生き延びます 鉄道も充分に発達した時代に、馬車文化を盛り上げた「女性コーチマンズ」がいました 自由な働き方をする女性たちの姿は、当時のマスコミの恰好の的となり多くの写真が残されています むしろ目立たなかった男性コーチマンより写真が見つかります