袖口の意匠も圧巻です 複雑に交差したオーストリアンノットを良くみると二種類のロシアンブレイドからつくられています 太いブレイドの両端を細いブレイドが追従するように縫い留められます もちろん全てが手作業です また、袖口には「ベルベット」があしらわれます
肩には、細いロシアンブレイド編み込みんだ肩章(エポレット)が取り付けられます エポレットの起源は17世紀末フランス 肩に結んだ「リボン」から派生したと言われています 太陽王ルイ14世の画をみると、無数のリボンが肩から垂れ下がっています 階級によりエポレットのデザインは変化します
たくましい胸板に縫い付けられた「ロシアンブレイド」は、胸を越えて袖にまで縫い込まれています 身軽さを重視した軽騎兵が、重い鉄の鎧を脱ぎ捨てる代わりに、内蔵損傷を守るためにロシアンブレイドが発明されました 19世紀に入るとナポレオンがこのデザインを他の制服にも取り入れ幅広く普及します
1880年イギリス 英国士官の肋骨服【パトロール・ジャケット】を紹介します ほぼ未使用に近い状態で手に入れることができました 相手を威圧する重厚なデザイン 手縫いで留められた複雑なブレード装飾 絞り上げられたウエスト そのすべてが、ヴィクトリア朝イギリス軍の美しさを表現しています 続
ヴィクトリア時代のブリティッシュアーミー 私は「本物」から学び、探究を続けます
個人的には、パンクスタイルのお兄さんがバッチリ着こなしていたのにも驚きです まったく違和感のない、新しいスタイルが完成しています😂 ヴィクトリア時代の女性がみたら、一体どんな感想を言うのか ちょっと気になります
「着物にも合わせやすかった」 と多くの方から言われたのがクリノリンヴィジットでした アームホールやネックに、たっぷりと「ゆとり」が入っているので着物にも自然に沿うのだと思います 自分では気付けない、新鮮な発見でした
1870年フランス 淑女の羽織り【クリノリン ヴィジット】のページを更新しました ヴィクトリア時代には珍しく、ゆたっりとした楽な着心地の上着です コルセットのような締め付けもないので、現代にも着易い1着といえるでしょう 型紙の販売は7月11日(日)までとなります↓ rrr129annex.blogspot.com/2021/04/crinol…
イギリスがつくった紳士服の歴史(フランス革命編) YouTubeにアップしました フランス革命前後での紳士服の移り変わりについて解説しています イギリスが生み出したギリシャ彫刻のような【造形美】とその背景を知れば、現代にまで続く紳士服の潮流が掴めるかと思います ↓ youtu.be/WkZLzshPch8
ヴィクトリアン ラップを「着物」に合わせたスタイルも、とても素敵です 約150年前に西洋の女性が羽織ったラップを、日本の着物に合わせるコーディネートは新鮮です 7月4日(日)まで型紙を無料公開しておりますので、この機会に洋裁チャレンジはいかがでしょうか? rrr129annex.blogspot.com/2021/06/vr.html
19世紀末アメリカ ヴィクトリア時代の淑女の防寒着【ヴィジット】を紹介します 今回のヴィジットはデザインに驚愕しました なんと「小麦柄」の刺繍が大胆に施されているのです 農家のブルジョアマダムが、上流階級の仲間入りを果たすために仕立てさせたのかと想像してまう、悪趣味なデザインです
1880年オランダ ヴィクトリア時代の身体を包む装飾品 【ヴィクトリアン ラップ】の型紙を無料公開します ラップ(包む)の名の通り、身体を包み込むだけのシンプルな構造ですが、ヴィクトリア時代の気高いご婦人を満足させる工夫が凝らしてあります 型紙はblogよりDLを↓ rrr129annex.blogspot.com/2021/06/vr.html
この色は【ハンティング ピンク】と呼ばれます なぜピンク色なのでしょうか? それは、フランス革命後にイギリスがつくりあげた「控えめな紳士像」に理由があります 経年変化により色褪せた赤色を「ピンク」と呼んだのです 革命前のロココ的ド派手な紳士像とは真逆の美意識を表しています
【狩猟服の歴史と構造】を簡潔に紹介します 今回は「真っ赤な狩猟服」にフィーチャーしてみましょう この服、皆さんには 何色 にみえますか? 真っ赤な狩猟服と言いましたが、素直に赤色と言わないのがイギリスの美意識です 色の向こう側に隠された、美しい紳士像を探ります
お尻に隠されたポケットにも要注目です 「プレイトポケット」「けちん坊のポケット」「隠しポケット」など、さまざまな名称があります 貴族は、ここにドレスコードの手袋を入れました ところが、労働者はお酒を隠したそうです このポケットは文化史を知るうえで重要です 今後また詳しく解説します
1810年イギリス 狩猟を愉しむ貴族が着用した【リージェンシーテイルコート】を紹介します フランス革命後の紳士服は、新古典主義の影響を受けて【造形美】を表現していきます 男らしい造形美を構築するための「ウール素材」と「テーラーメイド技法」は、イギリスの十八番だったのです
「腰まわり」から「胸まわり」へ フランス革命で変化した【 男の造形美 】です 革命前の男の魅力は、腹~脚にありました 革命後の男の魅力は、肩~胸にうつります
フランス革命前後で紳士服は、全くちがう美意識を宿した衣服に生まれ変わります 「美の象徴」となった男たちを紹介します 革命前は、華やかな宮廷貴族が紳士服を牽引しました ところが革命後は、泥臭い田舎の貴族が「カッコイイ」とされます いったいなぜ、田舎の貴族が注目されたのでしょうか
フランス革命におけるファッションの変化を、ごく簡単に紹介しました 半・分解展では時代・階級・国ごとの内部構造や着心地の変遷を展示しています また同時に、現代の衣服への移り変わりと未来への進化を考えられる展示です 私は、現代ファッションに宿る精神性が気になります
「ドレスコード」を設けることで、一見同じ服装でもネクタイの柄の向きや小物の選定により、古参か新興か判別可能にしたのです 地味な服だからこそ活きたシステムです そして地味だからこそ、外見ではなく精神性を重視した紳士像「ジェントルマン」をつくっていきました 終
フランス革命は資本主義の始まりでもあります 力を付けた新興ブルジョワジーは、鳴り物入りで社交界に足を踏み入れます ロココ的な豪華絢爛なシルクの服は必要ありません 地味なウールをまとえば良かったのです ブルジョワを排除すべく古参貴族たちは、紳士服に「秘密のルール」を取り入れます
地味な見た目により、問題が起きます 「誰が権力者か分からなくなった」のです 革命前は、偉い人が派手な服を着ていたので一目瞭然でした ところが革命後は「みんな同じ格好」になっていきます 舞踏会でいったい誰に挨拶をすれば良いのでしょうか この潮流は現代においても加速し続けています
造形美への転換で最もわかりやすいのは「見た目が地味」になったことです 革命前の服は、シルク生地に金糸や銀糸を贅沢に使われています 革命後の服は、ウール生地で装飾は一切排除されていきます 男性美を牽引する国がフランス(ロココ的装飾)からイギリス(リージェンシー的造形)になりました
【フランス革命における紳士服の変化】を簡潔にまとめてみました 私は衣服の「内部構造と着心地」を研究しています フランス革命と第一次世界大戦ではその前後で、真逆の美意識を宿した衣服が生まれています ことフランス革命においては【装飾美から造形美】への転換がみられます 続
1900年アメリカ 「小麦柄のヴィジット」を手に入れました こんなものがあるんですね 驚きました