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昔は「組織」から派遣されて大学に入学してくる学生がいた。そういう学生は18歳よりも年上で、数年在学しながら自治会のない大学に自治会を作ったり、弱体化した自治会をテコ入れしたりしていた。そういう「仕事」の合間に興味のある授業を聴講して楽しんでいる人もいた。
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昔の大学ですごかったのは「ひとつのテーマを数年かけて話していくような授業」があったこと。履修する学生は毎年変わるのに「去年はここまでやったから今年はここから」と言って進んでいく。それでなぜか毎年出ている学生がいる。
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「大学が多すぎる」というのもわかるけど,じゃあ大学を減らしたら減らした分の18歳をみんな高卒で雇って給料を払ってくれるんですか,という話。
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たいていのことって「勉強を始めるとまず勉強してない人よりバカになる時期がある」ラジよね。
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世の中のいろんなことがいよいよ「戦争をやっている時」に近くなってきたが,戦争の時にも昭和19年の秋くらいまではみんなわりと普通に暮らしていたらしいことはなにかの参考なり教訓なりになると思う。
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砂糖水に吐き気を催す薬品を入れて繰り返し飲ませるとそのうちにただの砂糖水でも吐き気を催すようになる。そのとき砂糖水で起きる「吐き気」はごくリアルなものだ。「心因性」とはそういうようなこと。
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結婚は間違えてするものだし子どもも間違えてできるもの。間違えちゃダメと言ったら結婚も子育てもしなくなる。
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雇うほうは必要な時だけ使っていつでもクビにできるようにバイトで雇うくせにバイトの学生が辞めるとか休むとかいうと「プロ意識が足りない」とか言うのラジよね。
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日本の中高年と中国の若者だったら中国の若者の方がもう間違いなくお行儀よろしいですよ。
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「悪い人にだったら何をしてもいいわけではない」というのもすっかり忘れられてしまったこと。みんなデビルマンを読もうね。
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「君の意見には反対だが君がその意見を言う自由は守る」みたいなことも誰も言わなくなってしまった。
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これも何度か書いたけど山手線で女子高生の「A子の彼氏大学院に行くんだって」「大学院て?」「卒業しても大学に残って勉強するとか」「なにそれ気持ち悪〜い」という会話を聞いたことがある。
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「コロナ期間中に生まれた子どものIQの平均が78」なんて話,心理学者なら即座に「ウソだな」あるいは「測定になにか問題があるな」と思うラジよね。
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これはもう10年くらい前から言っているけどこの「自分も今の社会の一部である」という感覚のなさ,「社会」というのは自分とは別に存在するなにか,という感じ,というのがすごく「現代」なのだと思う。
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いまの日本で「性的なものをむやみに嫌悪する人はむしろ強い性欲を抑圧しているのだ」なんて言ったら大変なことになるラジね。
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この「なにかを一生懸命やった人が損をする」というのが日本がどんどん衰退する理由だと思うラジね。
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「友達みたいな先生」が得てして生徒にいちばんひどいことをするラジよね。
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よくも悪くも大学では大学生をどんどん「子ども扱い」するようになっているのに成人年齢は引き下げられて大学生が全員「大人」になってしまったことには強い違和感があるラジよ。
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「自分も始まるまでは文句言ってたけど始まってみたら感動しちゃってびっくりしてます、人間って面白いですよね〜」でいいので「自分はほんとはもともと賛成だった」とか「感動しない人はおかしいですよね」までは言わなくていいのだと思う。
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1980年代までは大学の非常勤講師って「自分の大学で教えられる人がいない専門分野の先生に三顧の礼を持って出講いただくもの」だったのラジよね。それがいつのまにか人件費削減の手段になってしまった。
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「子どもを産む資格のある人だけが子どもを産むべき」とみんなが考えるようになればあっという間に誰も子どもを産まなくなるラジよね。
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しかしこれまで「学問として」さんざん社会や他人の営みを「相対化」してきた人たちが自分の態度についてはまったく相対化しようとしない、相対化できないことにはほんとに驚いた。
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さっきの「ポスドク」のニュースのコメント欄には「役に立たない老教授をどんどんクビにして若手を雇え」という声が並ぶけど、そういう発想と若手を使い捨てにする発想は「同じもの」だと思うのラジよ。
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上位大学の授業が下位大学の授業よりよいとは限らない、大学による差より教員個人による分散のほうが大きい、というのは大学で働いているわれわれは常識的に思っていることだが、世の中は上位大学に行くと授業も良いと思っているのだろうか。
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教養がどうしたでなく、いろんなことを知ってるほうがだいたい人生は楽しいですよ。それに尽きる。