飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(古い順)

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『三省堂国語辞典』にある「難しめのことば」の読みの解答編です。①「慇懃」だけは読めるという人が多かった印象。常用漢字外ですが、ことば自体はよく聞くからでしょうか。一方、②「矍鑠」もことば自体はよく聞くけれど、分かる人が少なそうだったのは興味深いことです。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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「NHK紅白歌合戦」の放送が始まりました。今回は「有観客」の紅白となりました。この「有観客」も、コロナ禍で「無観客」ということばが一般化してから、その後に広まった、一種の新語ですね。
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冒頭のトークもそこそこにLiSA「明け星」。この「明け星」は大きな国語辞典にもない語で、この作品での造語かと思われます。東の地平空高く輝く「明けの明星」(金星)ということでしょうか。古代に同じ意味で「あかほし(明星)」ということばもありました。
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今年の「紅白」テーマは「カラフル」ということですが、男女に分かれて戦うというコンセプトから転換しつつあるということですね。ロゴも、紅白をグラデーションで表現しており、境界がないという考え方をビジュアルで表現したもの受け取りました。
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櫻坂46「流れ弾」で〈今宵もどっかしらで顔隠してリンチパーティー〉という表現が出てきた。「リンチパーティー」は、ネットで匿名で誰かをリンチする現象を指すものと思います。そういう風潮に反対し、愛の気持ちで語り合おう、と呼びかけている曲ですね。
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日向坂46「君しか勝たん」の「~しか勝たん」は「~が最高だ」などの意味ですが、私が初めて見たのは2019年のことでした。『現代用語の基礎知識』では2021年版(2020年発行)から載っています。こうして「紅白」で歌われると、全国的定着までもう一歩。坂道シリーズの歌は現代語観察では欠かせません。
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SixTONESのアンニュイな雰囲気の「マスカラ」。〈馴染みの景色を/喰らえど喰らえど〉と出てくる「食らう」は、平安時代から例のあることばですが、当時から下品な語感があったらしい。「食う」から派生したとすると「ら」がどうして入ったのか不思議。「語る」→「語らう」の変化とは別のようです。
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KAT-TUN「Real Face #2」で〈退屈な夜にドロップキックしたつもり〉と出てくる「ドロップキック」は、新しい『三省堂国語辞典』第8版にはありません。でも、たとえばMr.Children「everybody goes」にも〈秩序のない現代にドロップキック〉と出てくるなど、反抗する意味で多く使われている気がします。
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まふまふ「命に嫌われている。」は生きることにネガティブな歌かと一瞬思うけど、最後に〈生きて生きて生きろ〉とあるので、これは生きろソングですね。〈命に嫌われている〉は「命を嫌っている」と同義でしょう。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」(ニーチェ)ではないけど。
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水森かおり「いい日旅立ち」に出てくる〈あゝ 日本のどこかに〉の「あゝ」の表記。「ゝ」は昔は「こゝで」「このまゝ」などと普通に使われましたが、今の歌ではなぜか「あゝ」とか「おゝ」とかにしか使われません。ほかの例があれば、それは珍しい例です。
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Snow Man「D.D.」。英語の多い歌は、用例採集の手を休めてゆったり聴いていることが多いです。でも、この歌では〈この地球(ホシ)〉〈頂上(テッペン)見せてあげよう〉など、独特の表記があると、おおっと思って記録します。
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松平健「マツケンサンバⅡ」、リリースは2004年だそうで、ずいぶん前ですが、私にとってはつい数年前の感覚。サンバにボンゴは出てこない、「オレ!」はフラメンコ、などとよく指摘されますが、徳川吉宗が白塗りで歌ってるのも含めて、計算ずくのハチャメチャでしょうね。曲も歌声も大好きです。
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舞台に登場した竈門炭治郎が「大泉さん、全集中、してますか?」。「全集中」は、国会で首相がまねて使ったこともありましたが、今のところ、まだ鬼滅用語というところかな。そのうち一般語として定着するかどうか、関心を持って見ています。
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高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」の「テーゼ」というのは〈はじめに立てられた命題〉。難しい哲学用語ですが、天使には残酷な運命が待っているものである、ということでしょうかね。私はエヴァンゲリオンに詳しくないので、残念ながら詳しいことは説明できません。
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関ジャニ∞「Re:LIVE」の〈変わり採(ど)る夢、時代に 君は未来持ってんだ〉は難しいフレーズです。「変わり採る」は辞書を調べても出てきませんが、〈悲しみを終わりにして また笑顔取り戻して〉から類推すると、「これまでとは変わって新しく採る夢」ということかな。貴重な用例です。
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平井大さん、インタビューに答えて〈愛するパートナーと一緒に生活する上で〉〈最愛のパートナーと生活する日常というのは〉。恋人、配偶者をひっくるめてごく自然に「パートナー」というのは普通になってきた感じがありますね。
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Perfume「ポリゴンウェイヴ」の「ポリゴン」は、ステージにも実例が出てくることで分かるとおり、コンピューターグラフィックスで使う多角形です。これは『三省堂国語辞典』の新版には載せませんでした。専門的すぎる用語との判断からですが、こうして紅白で歌われると気持ちがぐらついてきますね。
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millennium parade×Belle「U」は漢字が難しい。〈さかしまな世界乗り熟して〉は「のりこなして」、〈御呪い〉は「おのろい」でなく「おまじない」です。「熟」が「こなす」なのは、この漢字に「物事が十分な状態になる」の意味があるからでしょうね。
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乃木坂46「きっかけ」に〈ふいに点滅し始め〉とあります。「不意」はこのようにひらがな書きも多いですね。しかし『三省堂国語辞典』では漢字で書く場合しか想定していません。仮名でも書くことを示せばよかった。と、自分たちの辞書にとってはネガティブ情報ですが、そのために用例採集してるんです。
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坂本冬美「夜桜お七」の〈すげてくれる手ありゃしない〉。「すげる」も現代では難しいことばになったかもしれませんね。鼻緒を刺し通してつけることですが、今ではそういう状況が少ない。ちなみに、「ひしゃくの柄(え)をすげる(=はめ込む)」のようにも使います。
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藤井風「きらり」では、「さらり」「きらり」と「○○り」が繰り返されます。オノマトペの効果を発揮させています。日本語学者の山口仲美さんによると、このような「○○り」型は平安時代に現れたとのことです。『犬は「びよ」と鳴いていた』という本に書かれています。
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鈴木雅之「め組のひと」。「め組」って何のことか、昔はよく分かりませんでしたが、江戸時代に喧嘩事件を起こした町火消しの組のこと。つまり、町火消しのようにいなせな女性、ということですね。80年代、この歌を使った資生堂のCMでは、女性のファッションに江戸っぽさを取り入れていました。
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星野源「不思議」は、本来他人同士の2人が一緒に暮らす日々を歌った歌と解釈しました。〈命込めて目指す〉は「命の限り心を込めて幸せを目指す」。〈二人をいま歩き出す〉は「2人の生活を始めていく」ということでいいかな。凝った表現に、いつも考え込んでいます。
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BUMP OF CHICKEN「なないろ」。朝ドラ「おかえりモネ」はいつも見ていたわけですが、例によってテーマソングは空耳を訂正しないまま聴いていました。〈ヤジロベエみたいな正しさだ〉のところは、なぜか「野次の弁解の正しさが」と聞こえていました。すみません。
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東京事変「緑酒」の〈膨満感に噦いてどこから 嚥下できようか〉の「噦く」は超絶難しいですね。「えずく」、つまり吐く、または吐き気をもよおすことですが、ちょっと見ない漢字。『三省堂国語辞典』では「噦」は「しゃっくり」の字として載っています。口から何か飛び出す点では共通します。