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2月にやむなく中止した「国語辞典ナイト」が、気持ちも新たにリモート配信の形で実現の運びとなりました。テーマはもちろん、前回のリベンジで『明鏡国語辞典』。コロナに打ち負かされた証のリモートではありますが、強い警戒感を持って安全安心なイベント開催に取り組みます。ぜひご視聴ください。 twitter.com/tokyoculture2/…
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「考え深い(=思慮深い)」も、「感慨深い(=身にしみる)」も広く使われる語ですが、「先生の授業は考え深いです(=考えさせられる)」という用法は面白い。ただ「感慨深い」の意味で「考え深い」と書く例は以前から指摘があり、雑誌にも例があります。▽朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASP8G…
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新著『日本語をもっとつかまえろ!』が刊行されます。仮名が生まれた経緯から、作文が途中で行き詰まらない方法、「看護婦さん」が「看護師さん」になった理由まで、ことばのことなら何でも扱います。挿画はもちろん金井真紀さん。子どもにも大人にも読んでもらえるように書きました。ぜひご一読を。 twitter.com/mai_tosho/stat…
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「挽回」は「遅れを挽回する」(新明解)、「失点を挽回する」(明鏡)など、望ましくない状態を元に戻す場合に使われるので、「汚名挽回」も誤りではないといえます。この説は「飯間がソースである」「珍説の類である」という趣旨のツイートを見かけたので、説明しておきます。
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「汚名挽回」についての指摘は、国語問題協議会監修『死にかけた日本語』(1976年)が早いと思います。読者の指摘を踏まえ〈「汚名をすすぎたい」とか「汚名を返上したい」とか言うべきであろう〉と述べます。その後、メディアの反応が早かったのは、同書で例示されたのが新聞記事だったせいかも。
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私の主張はごくシンプルです。「汚名挽回」に違和感があり、自分は使わないという自由は誰にでもあります。しかし一方、「誤用とは言えない」という筋の通った別の考え方がある場合、そのことばを使う人を一概に批判したり、さらには罵倒・嘲笑したりするのはおかしいということです。単純でしょう。
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おっしゃるように、「健康回復」「疲労回復」の両様があることは、「名誉挽回」「汚名挽回」の両様があることを説明するために役立つと思います。 twitter.com/Syun_Toki/stat…
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「専任する」について「『任』は『まかせる』の意で、首相が自分に使うのは明らかに誤用」という意見がありました。この主張はさすがに無理です。自分に使う「○任」は、「学級を担任する」「外相を兼任する」などがあります。「明らかに誤用」という表現は慎重に(と、ことばの本の著者に言いたい)。
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『三省堂国語辞典』第8版の刊行が決まりました。この年末、2021年の12月17日に発売です。って、マジか。現在は最後の仕上げにかかりきりなんですけど、はたして間に合うのでしょうか。あと3か月(も作業時間はないけど)、ぎりぎりまで頑張ります。どうぞご期待ください。 twitter.com/zousanseido/st…
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『三省堂国語辞典』(三国=さんこく)は、1960年に初版が出て以来、改訂を経て、60年以上にわたって親しまれてきました。同じ三省堂の『新明解国語辞典』とよく混同されますが、別の辞書です。『三国』の表紙はオレンジ色、『新明解』の表紙は赤色など、と覚えてください。 twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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18日のTBSテレビ「ニュースキャスター」で「三省堂国語辞典約8年ぶり改訂」について報道。私も辞書に載ることばを紹介し、思いを語りました。「斜め上」の新用法の出どころとして示した冨樫義博さんの漫画「レベルE」がトレンドに入ったりして、反響も大きかったようです。
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「斜め上」の新用法の由来については、「レベルE」以外にも説があることは承知しています。ただ、他の説は裏付けがなく、語源説として採用できませんでした。この語の由来を探るにあたっては、ネット上の議論をかなり遡って探索しました。結果、「レベルE」以外に証拠を示すものがなかったのです。
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「斜め上」は新用法以前から誰もが(元の意味で)使っていたので、散発的にいろいろな用法が現れて不思議ではありません。その中には現在と似た用法もあったかもしれません。しかし、一定の人数の目に触れ、新用法が広まるきっかけは、現在のところ「レベルE」以外のものを挙げにくいのです。
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『三省堂国語辞典』に「マリトッツォ」が載ることについて、「ブームはもう終わったんじゃないの」との指摘もあります。私の観察では今年7月にピークアウトしています。でも、いったん知られた食べ物はファンがつきます。かつてブームになったティラミスやナタデココも、今や一般的なスイーツです。
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「コギャル」が『三省堂国語辞典』から消えることに納得がいかないという人、ごもっとも。ただ、『三国』は8万語の範囲で現代語の地図を描こうとしています。「コギャル」は紙幅の問題よりも、現代の地図に旧地名を載せたくないという感じかな。社会風俗語は改訂時に消える傾向はありますね。
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辞書に「昔のことば」を載せないと実用にならないのでは、と疑問に思う人もいそうです。昔のことばだから削るのではなく、古風でもよく聞くことばは残します。「御意(ぎょい)」「重畳(ちょうじょう)」など、実生活で使う人は少ないけど、時代劇でよく耳にします。そういう意味では現代的なのです。
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『三省堂国語辞典』に、いまだに「ナウい」が載ってるのってどうなんだ、という声もときどき聞きます。「コギャル」より「ナウい」を先に削るべきでは? ところが、「ナウい」は現在のSNSでもいろいろな場面で(ギャグ的に)広く使われます。意外に使い勝手がよく、重宝されていることばです。
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これは、そのとおりかもしれません……。今のうちに『三省堂国語辞典』の第7版もご購入ください。 twitter.com/kamikoshiki_/s…
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大学生の時、『広辞苑』が改訂されるというニュースを聞き、改訂前の版をまだ持っていなかった私は、慌てて近所の書店に駆け込んだことがあります。店主さんは「もうじき新版が出ますよ」とアドバイスしてくれました。「ええ、だからこそ今買うんです」と言ったら、妙な顔をされましたっけ。
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「若朽」「除霜」「人乳」など、『三省堂国語辞典』の古い版から何となく受け継がれてきたことばです。「こんなことばもあるんかな」ぐらいの気持ちで見過ごしてきましたが、現在ではほぼ使われない。心を鬼にして削除しました。「除霜」は私も何となく昔の記憶がありますが……。 twitter.com/kawasakinousao…
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『三省堂国語辞典』第8版の削除項目について、今後もメディアで紹介される見込みです。たとえば「ペレストロイカ」をなぜ削るかという声も多いですが、端的に言うと、近現代史用語は『大辞林』(大型辞典)や『三省堂現代新国語辞典』(学習辞典)に譲り、『三国』は日常語を重視するということです。
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かつて「ペレストロイカ」は日常用語だったのです。語釈に「〔もとソ連での〕政治・経済・社会などの改革路線」とあるように、「わが社もペレストロイカが必要だ」のように一般に使われた。だから『三国』に載った。でも、今や「ペレストロイカ」はそういう使い方はしないので、削ることになりました。