飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(古い順)

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お盆になると「地獄の釜の蓋が開く」。地獄の鬼さえも釜ゆでの蓋を開けて休むというのです。この表現はまた、恐ろしいことが起こる場合などにも使われます。池波正太郎「秋風二人旅」(1972)では、前途を絶望した凶悪人が〈おれたちの目の前には、もう、地獄の釜の蓋が開いているのだ〉と言います。
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「見くびっては困る」という表現を見た人から「見くびってもらっては困る」の誤りではないか、とのご質問。面白いですね。たしかに後者をよく聞きますが、固定した言い方ではなく、また、いったん固定しても、他の言い方が許されないわけではないので、「見くびっては困る」でもいいでしょう。〔続く〕
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不意打ちで、『新明解国語辞典』の新版第8版が発売というニュース。なんか、えらいアカウントができてます。とりあえずフォローしておきます。 twitter.com/shinmeikoku/st…
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先日、エキサイトニュースから「今年上半期のポップスの歌詞」についてインタビューを受けました。ない知恵絞って答えたのですが、話を分かりやすくするため、ごちゃごちゃした所は省きました。ここで、そのごちゃごちゃについて、いささか補足しておきます。excite.co.jp/news/article/E…
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「誰もが間違う日本語」「日本人のほとんどが誤る日本語」といった趣旨の本が多く出ています。思わず「それは大変だ」と手に取ってしまう。でも、冷静に考えると、誰もが間違うとは、私たち皆が使っている日本語ということ。「よく通じるスタンダードな日本語」であり、不安に思わなくていいでしょう。
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日本語の誤用に関する一般書というと、「間違えると恥ずかしい」「間違えるとバカにされる」に類する書名が目につきますが、なぜこうもセンセーショナルなものばかりなのか。要するに、ことばの正しさなんてのは、そういうレベルでしか議論しようがない話なのではないか。私はそう疑っています。
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26日のテレビで「中年は何歳から」という辞書の引き比べをやっていました。辞書によって40歳前後~60代前半まで幅があるという結果。それはいいんだけど、出典の記述が間違いだらけで、最新版も見てなくて、実にいい加減だと思いました。ところが話はそれで終わりませんでした。〔続く〕
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辞書の話から「俳優のAさんはおじさんか?」「いや違う」みたいな話になり、男性アナが女性タレントに「じゃあ胸元に(Aさんの)手が入ってきたら?」なんて変な質問をする。女性タレントは「なすがままです」。令和のこの時代に、テレビでこんな会話が行われているとは、勉強になりました。〔続く〕
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さすがに視聴者からクレームが入ったらしく、後に男性アナは冗談を交えながら「不快に思った方いらっしゃったら、本当に申し訳ございませんでした(スタジオ笑い声)。これは真剣に謝っております」。なんだこれは、とあきれた次第でしたが、言いたいことの主眼はそこではありません。〔続く〕
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「中年は何歳から何歳まで」というのは、国語辞典によって記述が違う。つまりは、確定できない情報です。テレビ番組でのセクハラの材料程度にしかならないなら、はたして辞書にそんな情報必要か、と考え込みました。むしろ、このように確定できないと記したほうが親切です。〔続く〕
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「中年は何歳から」「老人は何歳から」「おばさんは何歳から」……などは、しばしば話題になります。その話題の行き着く先は、えてして、該当する年齢層の人をいじったり、からかったりすることだっりする。要するに年齢差別に辞書が使われるわけです。その点をよく考えてみたいと思った一件でした。
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少々記述が混乱してますが、国語辞典に「中年は何歳から」という記述があろうがなかろうが、どのみち番組で女性タレント(と視聴者)へのセクハラは起こったかもしれない。少なくとも確かなのは、「誰々はおじさんか」と、スタジオにいる人もいない人も対象に、辞書を基に年齢差別が行われた事実です。
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26日放送の「おじさん」についてのテレビ番組の会話。細かいニュアンスも分かってもらったほうがいいと思うので、私のメモをアップします。出演者の感覚の鈍さが非常に気になります。授業や勉強会にお使いいただいてはどうでしょう。なお、共演者の細かいリアクションのことばなどは省きました。
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安倍首相が辞任。一国民として、この内閣に感想はあるけれど、病気悪化とのことなので、お大事に、治療に励んでいただきたいと思います。それはともかく、私の関心は変なところに向かう。2007年と2020年、2度の辞任会見を比べてみると、首相個人のことばにはどんな違いが現れているか。〔続く〕
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「『県をまたぐ』は誤りで『県境をまたぐ』が正しい」という呟きがありますが、「県をまたぐ」は問題ない言い方です。「またぐ」は「枕をまたぐ」のように物を飛び越える意味も、「日をまたいだ午前2時」のように区切りを越える意味もある。「県をまたぐ」は後者です。〔続く〕news.yahoo.co.jp/articles/e68a7…
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……と、なんかきつい言い方になってしまいましたね。実は、先ほど「『県をまたぐ』は当然誤りでないですよね」という前提で、「念のために言うと……」という気持ちで、もっとマイルドな表現でツイートしました(↓画像)。ところが、これが私の意図とは真逆の反応を引き起こしました。〔続く〕
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小1の時、作文で「お父さん」と書いたら、先生が「父」を漢字で書いてはいけないと赤字を入れた。「よく見る字なのに」と不満でした。今にして思う。教員の大人の事情で「教えない事項」があるのは分かるけど、子ども本人に「学んではいけないことがある」とのメッセージを与えるのはまずい。〔続く〕
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こう書くと、「ははあ、『父』は2年生で習う字なので直されたのね」と思われるかもしれません。そういうことではなく、先生は「これはあて字」と言いました。かつて「お父さん」はあて字扱いだったんです。「当用漢字音訓表」にない読みだったから。「お父さん」が認められるのは1973年です。〔続く〕
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ちなみに、当用漢字は今の常用漢字の前身で、制限色が強かった。だから、先生はある意味、当時の漢字表の精神に忠実だったわけです。とはいえ、世間ではいくらでも「お父さん」と書かれていたのは事実。子どもが書いた漢字に赤字を入れる必要は当時もなかったと、現在の私は思います。〔続く〕
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ところで、この一件は、私が小1の1974年のこと。前述のように、実はこの前年に「お父さん」の読みは音訓表に入っていたのです。先生はその新情報を知らなかったのだと思う。このように、ルールなんてすぐ変わるもの。子どもが知っている知識を「使うな」と制限をかけないほうがいいです。〔続く〕
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……などと書きましたが、私はこの先生にとてもお世話になっていて、今でも深く感謝しています。その感謝の文章を雑誌に発表したこともあります。だから、こういう例に挙げるのは恩知らずなのですが、まあ許していただけるだろうと書いちゃいました。先生、すみません。
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ああ、正確には「お父さん」という読みが入ったのは、音訓表の「付表」のほうです。この「付表」には「田舎(いなか)」「五月雨(さみだれ)」など、公に使って差し支えない当て字・熟字訓の類がまとめてあります。
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対立する考え方A・Bのうち、一方のAを主張しようとして、Bの論者をからかい、非難し、人格攻撃しても、Aに意見を変えさせることは難しい。何ごとも「北風と太陽」です。「Bの理屈は分かるが、問題なのはこの点だ」と、認める所は認め、相手側が反論しにくい部分に絞って主張すると効果的です。〔続く〕
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「三省堂 #今年の新語2020 」の候補語を募集します。今年あたりから広く使われだして、将来国語辞典に載るかもしれない語を選びたいのです。まずはどうぞ気楽に、最近よく見る、よく聞くことばをお教えください。公式のツイートにもあるように、今年はコロナ禍関連のことばが多いですね。〔続く〕
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探していた1950年代の新聞のコピーが出てきたのでご紹介。家の垣根に放尿している学生という、今なら間違いなくヤバい人の案件ですが、最初は軽蔑していた筆者の女性が、最後には学生の美しい心に打たれるという、まさかの美談展開。現代なら、筆者の女性は「勇気」「美しい」とは思わなかったのでは。