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「笑ってはいけない鎌倉幕府」状態ですが、周りの人々は「ありふれた日常」を送っているだけなのに、そこに疑心暗鬼を生じて自滅的に追い詰められていく頼朝の心理状態は非常に生々しく、三谷脚本の恐ろしさに背筋が凍り付きました。生死が隣合わせではなく、生と死が混濁している。 #鎌倉殿の13人
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視聴者は岸谷直弼の悲哀を見守ってきたので桜田門外の変にとてつもない喪失感を味わっていますが、江戸から遠く離れた場所にいる栄一たちはそのようなことを知る由もなく、「悪い大老」という風聞を頭から信じ、鬼退治の快挙と喜ぶ。
「対比の群像劇」としての完成度が飛び抜けている。
#青天を衝け
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今生の別れというとき、小四郎が押し隠してきた本当の気持ちを吐露する台詞が「親の死に目に会えない」。
この言葉を選ぶ三谷さんの筆がもう素晴らしくて……。
家族思いの小四郎が大好きな時政に送る別れの言葉は、これ以外にない。 #鎌倉殿の13人
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#鎌倉殿の13人 義盛最期の怒号は小四郎に騙し討ちされたことではなく、ウリンの思いを踏みにじられたことに対する怒りなんですよな。
命尽き果てるその瞬間まで、鎌倉随一の忠臣じゃないですか……。
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「頼朝が伊東と坂東をおかしくしたんだ!」と絶叫しながら引っ立てられていく曽我五郎をただ見送るしかない時政が「以上」の一言で"身内"の死を割り切る小四郎に視線を巡らせるのもゾクッと来ますね。
一族を守る為なら何でもするのは親子とも一緒なのに、深い断絶が横たわっている。
#鎌倉殿の13人
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近年の研究では松永久秀は平蜘蛛の茶釜と共に爆死していないという説が有力なのですが、「それならば平蜘蛛の現物はどこにあるのか?」というクエスチョンを十兵衛に対する呪いという形で人間ドラマに昇華してしまう池端先生、脱帽以外の言葉がありません。
神業の如きストーリー構成。
#麒麟がくる
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ここに天狗党は壊滅しますが、これすらも悲劇の発端に過ぎないわけで。
この後、水戸では諸生党が天狗党の親族をも粛清し始めます。
天狗党の残党が勢力を盛り返すと、今度は諸生党の親族が同じ目に。水戸は比喩でなく血の海と化します。
これこそ幕末水戸は本物の地獄と呼ばれる所以。#青天を衝け
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#鎌倉殿の13人
先程までの僕たち私たち「大江殿、文官だし、適材適所というか、修羅の巷に飛び込むのはよろしくないのでは……」
たった今の僕たち私たち「ヤマコー並みに殺陣巧いやんけ!!!チートか、こいつ!!!???」
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千鶴丸が命を奪われたことを悟りながら、「小さな子になんてことを!」と激昂しない小四郎が良い。「命が軽い時代」ということを残酷なくらい描いている。 #鎌倉殿の13人
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幕末大河の場合、主人公サイドで焼き討ちや倒幕活動をやるときは正義の行いのように脚色することが多いのですが、テロをテロとして描くのが本作の凄味ですね。
台詞では「天下国家の為」と義挙を唱えていますが、脚本も演出も危険分子として容赦なく突き放している。凄まじいバランス感覚。#青天を衝け
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京から離れようというとき、「もう一度、法皇様にお会いできないのは己の"不徳"」と言える男、木曽冠者義仲。
「無礼で山賊みたいな乱暴者」という歪んだイメージで長らく語られてきましたが、青木義仲こそ実態に最も近いと思います。
史上最高の木曽義仲、本当にありがとうございます! #鎌倉殿の13人
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#どうする家康
瀬名をNTRりたい氏真→✕
元康にフラれた失恋のショックを瀬名にぶつけるしかない超拗らせ男子・氏真→◯
いや、「◯」じゃねーんだよ!!!明らかに瀬名に拒否られたときより元康へのハートブレイクのほうが効いてるだろ、お前。 #ガチンコ清須クラブの相撲対決を聞いたら発狂しそう
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この大河ドラマの功績:
「渋沢栄一?新一万円の人?そんなにスゴい人だったの?」という疑問を「新一万円の顔は栄一しかいねぇ」と納得に変えたこと。
しかも、功績を並べて称揚する偉人伝とは正反対の泥臭い作風で。
#青天を衝け
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#どうする家康
今回、一番のツボは「あんな不浄な寺は仏門とは認めん」と得意顔で寺社を追い詰める家康でした(で、メシ食う)。
「国を救うにはこれしかなかった」的に同情を引くような逃げ道を主人公に用意せず、きっちりツケを払わせる脚本は信頼できる。
一向宗に救われる民も丁寧に描いたわけで。
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奥州を発った義経郎党が鎌倉方に合流するまでやけに時間が掛かったなぁと前々から疑問に思っていたのですが、まさかそのアンサーとして「天才肌ゆえに目的を忘れるレベルの気分屋」という描写が見られるとは。 #鎌倉殿の13人
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十兵衛の嘘は勿論ですが、信長が秀吉の報告を信じきっているのも最高に怖いんですよね。
この秀吉は金ヶ崎の退き陣の際に真偽不明の昔語りで十兵衛を篭絡した男なんですよ。
真実など関係なく、相手の心を突くことに長けた男なんですよ。
#麒麟がくる
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曽我兄弟が源頼朝まで狙ったのは有名で、「工藤祐経を伊東家に差し向けた恨み」を襲撃の動機にするのかと予想していたら、「平家に近い者ばかりが良い思いをする」という序盤の展開=板東の決起を反転させる形にするとは。伊東家の血筋がこの言葉です憤慨するという歴史の皮肉ですよ。 #鎌倉殿の13人
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小栗旬の顔つきと声が完全に変わった。これは鎌倉幕府二代執権になる男。
「頼朝が来る前から良くも悪くも変わらない男」として工藤祐経を登場させたからこそ小四郎の変化が際立ちますね。
#鎌倉殿の13人
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#鎌倉殿の13人 話題騒然の「オンベレブンビンバ」、「子どもを見守る親の影」と読み解く方もおられましたが、時政も含めて北条家は誰も意味が分かっていないし、説明もないんですよね。
だけど視聴者はその意味を胸に留めて親子の穏やかなシーンを見守るという構図。言葉にできないほど心震える。
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#鎌倉殿の13人 泰時の甲冑がねぇ、オープニングに於ける承久の乱の石像と同じなんですよね。
ついにここまで辿り着いた……!
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篤太夫の「何で農民たちは動かねぇんだ!? あっ、そうだよ!俺たちもいきなり仕事に駆り出されて迷惑したもんな!だよなー!」というロジック、本当に良い。これは和宮輿入れなどに伴う「労役」をちゃんと描いてきたからこそ生きるシーンですよね。苦労を具体的に描かないと成り立たない。 #青天を衝け
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藤田東湖を失ったとき、水戸斉昭は取り乱して亡骸にすがり付いた。
平岡円四郎を失った慶喜も「どうして」と慟哭するしかなかった。
格調高く聞こえる「何故じゃ」ではなく、目の前の状況を受け入れられない「どうして」なんですよね。
この台詞を選んだ大森美香さん。#青天を衝け
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#鎌倉殿の13人 平賀討滅を挟み、鎌倉幕府二代執権・北条義時の誕生と、「承久の乱」へと突き進む門が開かれた瞬間にモーツァルトの「レクイエム~怒りの日(ディエス・イレ)」をぶつけるセンスですよ!
「執権義時」にこれ以上、相応しい選曲はない。
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宮沢りえに「可愛いのぉ♥」と言ってる坂東彌十郎のほうが可愛いという異次元空間伊豆 #鎌倉殿の13人
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「我が父にあらず」と忌み嫌い、敵意を剥き出しにする高政だけど、弟たちを始末した手口は明らかに蝮の再現だし、それに本人が気付いていない辺り、完全に「血」に呑まれている。気高いものと信奉した土岐の「血」を己で否定してしまっている。底なしに業(ごう)が深く、余りにも哀しい。 #麒麟がくる