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ただ、本当にねー、セクハラ問題って考えれば考えるほど難しいんですわ。特にね、メディアにおけるセクハラ問題はねー。長時間労働けしからん、って書いて一番けしからん長時間労働しているの、メディアだし、パワハラけしからんって、メディアの存在自体がパワハラだしな。
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官僚や政治家が記者から付きまとわれて言質をとられそうになるのをさけるために、記者に暴言はく。権力の強い高級官僚はこういう暴言を報じられて失脚させられることもある。暴言を吐かせること自体が取材の狙いであることもある。暴言がハラスメントか、付きまとう記者がハラスメントか。
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男女平等の観点から、秩序が混乱した現場、危険な現場にも、女性記者が出される時代になった。記者業につきもののハラスメント問題を、女性に対するセクハラのみ、クローズアップして特別問題視するのは、この男女平等、男女機会均等の流れに逆行しているんじゃないか、と思ってみたり。
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記者と一般会社員は全く違う職種で、一般企業の感覚やコンプライアンスとかけ離れた部分があっても、仕方がないと私はずっと思っていた。だから、今展開されている女性記者のセクハラ問題特集報道に実は違和感を感じている。えっ、そんな普通のお嬢さんが、記者やっちゃいけないよ、みたいな。
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セクハラに対処できないぐらいでは、危険な現場、秩序が混乱している現場、外国の奥地などに単身で乗り込んでいけない。特に特派員はだいたい単身で動くので、身を守るガードマンも現地で自分で探して雇うから、人を見る目含めて、自己判断、自己責任。
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女性特派員が性的暴行から身を守る十戒というのがある。①結婚指輪をする②地味な服装③性的対象にならないようなふるまい④抑止力になる警察幹部などの携帯電話番号など準備⑤男性同僚との協力⑥体形を隠す服装⑦脱出、逃げ道の想定、確保
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お前、こわいこというなあwわははは、と言われて、私もあははは、とお互い、笑って終わり。でも仕事環境がすごくよくなったり、てこでも動かなかったことが動いたりするよ。
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ハニトラに引っかかったら、ハニトラと気づいた時点で、洗いざらい組織に報告して、辞表書け。たぶん、その組織は救済措置をとってくれる。へたに隠すと救済できなくなる。それで、助かった人がいることを知っている。
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「情報ください」「じゃあ、今晩食事でも?」この会話だと「情報」と「美人記者といい雰囲気で食事」がバーター。情報出さなかったり、食事以上のことやったら、セクハラといわれるやもしれない。ハニトラの怖いところは、相手が目的を明かさず接近することだ。コナンの赤井秀一がやったのがハニトラ
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記者の本当の敵が上司であることは、もうこの世界では常識ですよ!そして、記者が上司と戦うときもキメ台詞は、「これ、週刊誌とかにばれたらヤバイですよね」。正直、私も何度かこのセリフ使いましたよ。ポイントは冗談っぽく言うことです。取材相手でも上司でも態度変わります。
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政治家とか官僚とか、国政にかかわるような人間は、とにかく性的欲望をきちんとコントロールできる人間でないとダメやな。不倫も風俗もそうだし、美人記者をまえに守秘義務怠るのもそうだし、幹事長ポストふってまで間男とのあいびきするやつもそうだし、そういう我慢ができなくてどうするよ。
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男でも女でも、美貌を使って人を翻弄するときは、それは結構暴力的であり、あまり安易にそのパワーに頼ると、自分も返り血を浴びかねないという危機意識をもってほしい。
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現場で望まないセクハラを受けたら、それセクハラですよ、と言えば、今の時代、相手は顔色を変えて言い訳し始める人がほとんどだろう。それでも、図太くセクハラを続けてくるようなら、それこそ週刊誌に売ってしまえ。
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上司にすらノーと言えない人間が、暴力のせめぎあう現場で戦えるとも思えないし、遺族にふてぶてしくマイクを向けて「お気持ちは?」なんて取材もできない。
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もし、後輩の女性記者やこれから記者になろうかと考えている女性に言うべきことがあるなら、自分でよく見てよく考えて判断する癖をつけよ、ということだ。性的魅力を取材に利用するしないもあなたの判断で、上司や組織から強要されるものではない。嫌ならノーといわねばならない。
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何が言いたいかというと、MeToo運動を広げて、取材の現場からセクハラを排除して、メディア企業も一般企業と同様のコンプライアンスを持たねば、というのあまりにうわっつらすぎると思っている。普段暴力をふるっているメディアが、暴力の被害者だと訴えるのを説得力ねえ、と思う人もいるだろう
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果たして、そんなお行儀のよいことで、権力の横暴と互角に対峙できるのかな、と思う。同時に、メディアが暴力で、記者たちも日々、意識する市内にかかわらず、暴力をふるっていると思えば、自分たちが返り血のように暴力にさらされたとき、被害者顔ばかりもできないのではないか、とも思う。
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取材対象の懐に入り込むために、相手がエロおやじなら、エロおやじの弱点である美女記者を送り込むし、娘に下手甘いお父さんだったら、娘を味方につけられるイケメン記者がいく。これまでのメディアがしてきたことを、全メディアが一斉に禁止する、という方法をとるのも、一つの解決策には違いないが、
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私はメディアのセクハラ問題と、一般社会でセクハラ問題を同列に論じて、では取材の現場でペンスルールを導入しましょう、とか、女性記者は番記者にさせないでおこうとか、そういう安易な解決法に落としどころを見出すことに、危惧を感じてる。
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知っている人は知っているが、メディアはときに一種の暴力だ。身内を事件や事故で無くした人に、今のお気持ちは、とマイクを向けることの非情を思い返せばわかるだろう。暴力とは横暴な権力。末端の記者たちはその暴力の最前線にいる。私たちはときに暴力の加担者だ。
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たぶん、メディアが一般企業化していくと、昔みたいにぎりぎりで、体張った感ある面白いニュースというのは減っていくんじゃないかな、と思う。斜陽産業だからそうなるのか、そうなるから斜陽産業なのか。私はメディアの最期の面白みの残る時代にちょっと引っかかって仕事できて、ラッキーだったな
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マスコミは第四の権力とよばれる存在。実際のところかなり強力なパワーをもっている。政権と対峙できる力だという自負もあっただろう。そのおごりのせいか、一般企業のいうようなコンプライアンスとか知るか、みたいな空気は、少なくとも私が記者時代はあった。
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記者は正義!と本気で信じている記者と、記者ってなかなかげすい仕事やなと自覚している記者とで、どちらが、ぎりぎりのラインでネタを追っているとき、超えてはいけない一線を越えずに踏みとどまれるか、というと私は後者だと思うね。自分のやっていることへの迷いや疑いを忘れてはならない
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でも、男性はなかなか、それをセクハラだ、パワハラだ、と言えない。はっきりいって、心病んでいる率は、女性記者より男性記者の方が多いんじゃないか?私は心病む前に、円形はげができるので、はげができたら、やばいと気づいて原因排除の対処をする。心は健康?、と思う。
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酒席に乗じたり、ネタのためという理由で、無体をしいる文化というのは確かにマスコミの業界に昔はあり、つい最近まであったと思うが、それでも今の時代、女性の場合は、”セクハラ”という一言をいえば、相手が動かした手をハタと止めさせることができる。