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以前から不思議に思うことがある。コロナ感染が広がった昨年3月頃から、岡田晴恵白鷗大学教授など専門家はPCR検査を徹底して行うべきとか、大きな体育館のような所を確保して軽症者を治療すべきという意見を言い続けていた。しかし政府はそれを無視し続けた。説明もしなかった。なぜだろう。
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コロナ禍で食べ物に困る人たちが増えている。政府は、こういうときこそフードバンクや子ども食堂向けに、人道支援としてコメを買い入れるべきではないだろうか。コメ需要が減り、コメの生産者価格も下落している。コロナ禍で多くの国民と農家が苦しんでいるのだ。自助ではなく公助の出番である。
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コロナの感染が広がるエクアドルで、伝統的なトゥルーケ(食料交換)が復活している。外出禁止で食料入手が難しくなった人々に全国農民運動が有機栽培の食料パッケージを届け始めた。運動の代表者は「これが私たちの食料主権。食料は商品ではなく、すべての人の手に入るべき人権である」と述べている。
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4月から「合成保存料不使用」や「人工甘味料不使用」の表示ができなくなった。消費者庁によると、消費者は「合成」や「人工」という表示がある商品を避ける傾向にあるが、使用されているのは国が安全性を認めた添加物であり、消費者の誤認防止のため「合成」「人工」の表示を禁止するのだという。
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バイデン政権初の報道官記者会見で、記者たちは納得のいくまで質問を何度も繰り返し、言葉の真剣勝負が繰り返されていた。それに比べ、日本の首相記者会見はどうだろう。原稿の棒読み、追加質問禁止、事前の質問事項提出、それに隷従する記者たち。何という違い。恥ずかしくないのだろうか。
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調味料、香料、乳化剤、酵素など14用途の添加物は用途名のみ書けばよいという「一括名」が認められており、添加物の隠れ蓑になっている。例えば、一括名で「膨張剤」と書かれているものには、ミョウバンが使われていることがある。ミョウバンはアルツハイマー病のリスクを高めると指摘されている。
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農水省は、種苗法を改正しても「登録品種の自家採取も登録者(特許保有者)が許諾すれば続けられる」と説明した。しかし、政府は農業競争力強化支援法で「これまで開発した種を民間に譲渡する」と言っている。その「譲渡」を受けた企業が自社の保有する種を容易に無償開放するかは大いに疑問である。
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コメは日本で唯一自給できる穀物である。世界的食料不足が予測される中、日本はもっとコメの生産に力を入れるべきだ。水稲には連作障害がまったくないので、安定した持続的農業生産を維持できる。また、コメの生産向上は農家の経営基盤を安定化して、農業者の自信や志気の向上にもつながるだろう。
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NPO福島県有機農業ネットワークと北海道大学池中良徳准教授の共同研究によれば、それまで慣行栽培の食物を食べていた人が、米、味噌、野菜などを有機農産物に切り替えたところ、尿から排出されるネオニコチノイド系成分が1か月で劇的に減少したという。有機農産物が体内の毒を減少させたとみられる。
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危ない国ニッポン。日本にはこんな「世界一」もある。
•駐留アメリカ軍の規模が世界一
•国の借金が世界一
•残飯の廃棄量が世界一
•子供の少なさが世界一
•寝たきりの人数が世界一
•若者の自殺率が世界一
•ペットの殺処分が世界一
•家事をしない夫が世界一
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お金を出せば食料と生産資材が海外から買える時代は終わった。不測の事態に国民の命を守るのが「国防」というなら、国内農業の振興も立派な安全保障である。国防費を5年で43兆円にするというなら、農業分野にも年間で5兆円くらいの予算をつけてほしい。
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2014年、ある深刻な論文が米国科学誌プロスワンに掲載された。2009年に採取された栃木県の新生児、それも1500g以下の極低出生体重児57人の生後48時間の尿のうち、25%からネオニコチノイド系殺虫剤の代謝物DMAPが最大0.68ppd検出されたのだ。DMAPは母体から胎盤を通じ胎児に移行したと考えられた。
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国産レモンにはポストハーベスト農薬(防カビ剤)の使用は禁止である。しかし、輸入レモンにはポストハーベスト農薬の使用が許可されている。日本は米国の圧力に屈して二重基準を作った。「禁止農薬でも収穫後にかけると食品添加物に変わる」というウルトラCの分類変更で散布を認めた。
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日本ではジャガイモの収穫後農薬散布は禁止されているが、米国産ジャガイモについては、2020年、農薬(殺菌剤)ジフェノコナゾールを、生鮮ジャガイモの防カビ剤として食品添加物に分類変更して散布を可能にした。その残留基準値も0.2ppmから4ppmへと20倍に緩和した。米国からの圧力の結果だった。
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農地の売買については、農業委員会が管理していて一定の縛りがある。しかし、農業委員会が管理するのは農地だけである。耕作放棄地や遊休地に草木が生えて荒れると農地とみなされなくなり、雑種地に地目変更されることがある。こうなると外国資本がその土地を買っても問題ないことになる。
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2018年に廃止された種子法は、米、麦、大豆などの主要農作物について、国や都道府県の管理のもと、各地域にあった品種を開発したり、優良品種を指定したりする役割を果たしてきた。その結果、農家に優良で安価な種子が提供され続けてきたのである。そんな種子法をなぜ廃止したのだろう。不可解だ。
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鈴木信弘東大教授が指摘。グローバル種子企業に便宜供与をした案件。
①種子法廃止
②種の譲渡
③種の無断自家採種の禁止
④遺伝子組み換えでない(non-GM)表示の実質禁止
⑤全農の株式会社化
⑥GMとセットの除草剤の輸入穀物残留基準値の緩和
⑦ゲノム編集の完全な野放し
⑧農産物検査規則の改定
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外国人や外国資本が日本の土地を買収することは合法である。しかし、問題はないのだろうか。2011年以降、農地46.7ha、森林7560haが外国資本によって買収されている。このほか、太陽光発電用地として6万ha、リゾート地等として3万〜4万haが買収されている。水源地、温泉、離島なども含まれている。
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種子法が廃止された。稲に関する民間品種は、三井化学、住友化学、日本モンサント、豊田通商が販売している。しかしこれら民間企業の品種は、大規模農家向けで、国内の多くを占める小規模・零細農家向けの品種は1品種も作られていない。しかも、化学肥料や農薬の使用を前提とした品種ばかりである。
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世界では21億人が安全な飲み水を入手できず、45億人が安全な水で清潔を保てない生活を強いられている。2020年、アフリカでは2億5000万人が気候変動によって水不足に陥り、1日20リットルの水での生活を強いられた人々が多く発生した。私たち日本人も水の大切さをもっと自覚しなければならない。
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外国資本による土地買収で問題なのは、所有者が不明になることである。例えば、外国人が土地を購入し、海外に居住して連絡がとれない場合は「所有者不明」の扱いになる。また、外国人が法人名義で買収し、登記はそのままにして海外で土地の転売を繰り返すと、所有者は確実に不明になってしまう。
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子供の食べるものには気をつけなければならない。食品添加物をはじめとした化学物質の影響は、多くの場合、胎児期に最も大きく、乳児期、幼児期、児童期も成人より影響を受けやすいことが知られている。子供は細胞分裂が盛んで、発がん性や免疫毒性、神経毒性などが出やすくなるのである。
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外国資本が日本の農地を買収することは合法である。2009年の農地法改正で「一般法人の貸借での参入規制の緩和」が盛り込まれた。さらに2016年の改正で、農地を所有できる法人は「農業生産法人」から「農地所有適格法人」に変更された。この「農地所有適格法人」には外資も含まれるとされたのである。
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種苗法改正にあたり農水省は、シャインマスカットを例に、日本の大切な種苗の海外流出を止めるためと説明した。でも、なぜシャインマスカットが海外で栽培されるようになったかといえば、現地(海外)での品種登録がなおざりにされたからである。改正前でも、迅速に登録していれば回避できたのだ。
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ゲノム編集について日本政府は、2019年3月、一部を除いて安全審査や表示義務も設けず、厚生労働省へ届け出るだけで市場への流通を認めることにした。しかも、表示は不要だという。これでは消費者は、もしゲノム編集された食品がスーパーマーケットなどに並んでいても選別できないことになってしまう。