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ネオニコチノイド系殺虫剤の成分は、食べ物を通じて体内に入り、重大な健康被害をもたらす。この成分を減らす最も有効な切り札は、有機農産物の供給を増やすことである。実際、ネオニコチノイドの危険性に気づきその使用を規制しはじめた多くの国で、有機農業の推進が国策として取り入れられている。
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コロナ騒ぎに紛れ、日本の将来に重大な影響がある二つの法律がつくられようとしています。
検察庁法改正は、三権分立を脅かし民主主義を破壊します。
種苗法改正は、日本の農業を多国籍アグリ企業に売り渡す法律です。
どちらの法律にも反対します。
#検察庁法改正案に抗議します
#種苗法改正反対
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安倍政権は「種苗法」を改定しようとしている。別名「モンサント法案」とも呼ばれる。これが通ると、自家増殖(採種)の原則禁止、つまり自分の畑や田んぼで採れた種を翌年使ってはいけないことになる。農家は、毎年、種子を提供する企業から種を買い続けなければならなくなる。
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日本の食料自給率は37%である。ひとたび世界的な食糧危機がくれば日本人の大半は飢える。日本はいつから農業を大事にしない国になったのだろう。日本の農業人口はこの30年、つるべ落としで減少してきた。
1990年 480万人
2008年 300万人
2016年 192万人
2019年 168万人
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この20年、「日本の人材力は失われた」という人がいる。でも、将棋の藤井聡太、フィギアスケートの羽生結弦、大リーグの大谷翔平がいる。経済成長が止まったこの20年でも、多様な方面での文化の発展、多様な方向での個人の能力追求は続いてきたのだ。
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農民連食品分析センターが昨年行った調査では、学校給食のパンから発がん性のある除草剤グリホサートの成分が検出された。学校給食のパンには輸入小麦が使用されていた。ただ、埼玉県の学校給食のパンからはグリホサートが検出されなかった。埼玉県の学校給食のパンは国産小麦を使っていたのである。
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日本の食料自給率はわずか37%。将来、世界的な食料危機が起こったような場合、国民の多くは飢えに瀕してしまうことになる。実際、TPP協定の第2章24条には、締約国は食料危機を防ぐために食料の輸出を前日までの通告で禁止することができる、とある。政府はなぜ、自給率を上げる努力をしないのか。
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世界のオーガニック(有機農業)市場。
アメリカ 3兆6000億円
ドイツ 1兆円
フランス 8000億円
日本 1850億円
(日本の市場規模だけが際立って小さい)
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種苗法改正法案の中の「自家増殖禁止」は多くの農家を困らせるだろう。例えば、サトウキビは沖縄、鹿児島の南西諸島などでは5年に1回収穫したサトウキビから節ごとに切断し、芽出しして増殖している。それが自家増殖禁止になれば、これからは島の重要な産業が消えていくことになりかねない。
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誰も、種苗法改正と共謀罪が関係あるとは思わないだろう。だが、その可能性がある。有機農家はよく種苗交換会などを行う。このときに参加した農家が自家採種禁止の種子を持っていくと種苗法違反に問われるが、それだけでは済まない。一緒に参加した農家が全員、共謀罪に問われる可能性があるのだ。
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種子法が廃止されて以降、都道府県の農業試験場の職員数が減少し、試験場の予算も削減されている事実が明らかになっている。農業競争力強化支援法8条に基づき、都道府県の種子生産や供給の事務が縮小の流れになっているとも伝えられる。日本の農家を守る国の支援がますます減っていく。
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種子法廃止は、日本農業に重大な影響を与えるだろう。実際、インドでは今世紀に入ってから公的種子事業の予算が削られ、種苗研究が民間に委ねられた結果、コットンの種が多国籍企業の遺伝子組み換え種へと統一された。そのため価格が上がり、多くの農民が生活苦から自殺を追い込まれたと言われる。
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日本では一部に根強く「農業は補助金だらけで過保護ではないか」という意見がある。しかし、日本の農業保護は先進国で最低なのだ。2013年で見た主要国の農業所得に占める補助金の割合は以下の通り。
日本 39.1%
米国 42.5%
ドイツ 69.7%
英国 90.5%
フランス94.7%
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農業が始まって以来、多様な品種を作ってきたのは農民である。「種子は農民のもの」という考え方は、これまで世界中で当たり前のことだった。その基本的な思想が種苗法改定で崩された。農民であっても育成権者の許諾なしには、以前のように登録品種から自由に種子を採って自家増殖できなくなった。
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米が本命だったかも? 種子法廃止でまず国は日本人の主食である米の種子を守らなくてよいことにした。そして今回の種苗法改正では、農家の自家採種が禁止されることになる。農家は、今後、永続的に多国籍アグリ企業(またはそれに支配された日本の企業)から米の種子を買い続けなければならなくなる。
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千葉県いすみ市は2017年、市内の全13の小中学校の給食で使用するご飯について、全量を有機無農薬米を使用することにした。2018年からは、学校給食に有機野菜を使用しはじめた。市は、最終的には学校給食の食材をすべてオーガニックにする方針だという。こうした動きが全国に広がればいい。
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大規模農業が世界の食料を支えているというのは誤解である。国連の報告によれば、小規模家族農業は世界の農業資源(土地、水、化石燃料)の25%の利用で世界の70%の食料を生産している。一方、工業的大規模農業は、資源の75%を浪費して30%の食料しか提供していない。しかも環境破壊を招いている。
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お菓子の表示の中で「乳化剤(大豆由来)」とあるのは大豆から抽出されるレシチンという添加物である。トウモロコシから作られる場合もある。原料の大豆やトウモロコシは遺伝子組み換え作物が使われていることが多い。食品添加物は遺伝子組み換え表示を免除されているので、表示を見ても分からない。
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種子法の目的は、種子を農家に安価に安定的に供給することで農作物の安定生産を続けることだった。そのことで国民への食料の安定供給が可能になる。種子法を廃止したことは、真摯に種子栽培に取り組んできた種子農家の誠意に背くものである。また、農家の生活と国民の生活を軽んじるものでもあった。
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遺伝子組み換え作物に対する流れが変わりつつある。米国連邦裁判所はバイエルなどのジカンバ(除草剤)の農薬登録を無効とする判決を下した。今後はジカンバを遺伝子組み換え作物に散布することも、販売することも違法となった。バイエルの売上げ損失は2020年だけでも最大1億ドル(約105億円)になる。
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なぜいま種苗法改正か。農家が種苗交換会などに自家採種禁止の種子を持って行ったら、種苗法違反に問われる。また参加者全員が共謀罪の対象になる恐れもあるのだ。共謀罪には準備行為も含まれるので、交換会に向けた話し合いに参加した農家も共謀罪の準備行為に問われる可能性がある。#種苗法改正反対
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ロシアのアブラムチェンコ副首相は、遺伝子組み換え種子がロシアに入ってくるのを防ぐため、穀物や野菜など輸入種子の品質管理を強化する法律を起草したと述べた。同氏は「ロシアは大量の種子が必要である。遺伝子組み換え作物のない市場を確立することは食料安全保障にとって重要だ」と述べた。
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近年、ネオニコチノイド系殺虫剤の使用を見直す動きが加速している。市場に導入されて20余年、蜜蜂やトンボがいなくなっただけでなく、赤ちゃんを含む日本人全員の尿から検出されるようになってしまった。ネオニコチノイドは神経毒である。母親が食べれば胎児の脳に移行し発達障害の一因となりうる。
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コロナ禍でコメ在庫が増え、生産者米価の下落が心配されている。こうした状況下で、コメ農家に支払われるJAの概算金が1俵1万円を切る水準が見えてきた。どんなに頑張ってもコメの生産コストは1万円以上かかる。1俵1万円を切れば中小の家族経営どころか、専業的な大規模稲作農家も潰れかねない。
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今国会では、ほとんどの国民が知らないまま種苗法の改正がなされようとしている。法案の中でも「自家増殖禁止」は重大な問題がある。例えば安納芋は、種子島の安納地区で栽培されてきた伝統的な品種だったが、今では品種登録されているので、これからは自由に蔓を這わせて増殖することは禁止される。