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コロナ禍でコメ在庫が増え、生産者米価の下落が心配されている。こうした状況下で、コメ農家に支払われるJAの概算金が1俵1万円を切る水準が見えてきた。どんなに頑張ってもコメの生産コストは1万円以上かかる。1俵1万円を切れば中小の家族経営どころか、専業的な大規模稲作農家も潰れかねない。
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子供たちが食べているお菓子の表示の中で、安全性の面でとくに気をつけたいのが、「青色1号」「黄4」のような色名と番号で書かれている添加物の「タール系色素」である。発がん性やアレルギー性が報告されている。英国食品安全庁が児童の注意欠陥多動性障害(ADHD)にも影響していると報告している。
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お菓子の添加物には、「増粘多糖類」という表示のものがある。これは類似した添加物をまとめた「類別名」の一つである。アイスクリームやゼリー、グミのようなお菓子に使われている。この類別名で使われることの多い添加物がカラギナンだ。カラギナンは海藻から抽出されるが、発がん性の疑いがある。
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外国人による日本の土地買収が問題になっている。本来、国土は歴史・文化・知財をも生み出す国家の礎、国富のはずだが、その国土が次々と外国人向けの資産の移転先となり、真の所有者は不明化し、次第に見えなくなっている。私たちは国土から得られるはずの果実を大量に失っていくのではないか。
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家族農業はこれまで非効率な農業と言われてきたが、実は持続可能な農業として見直され始めている。家族農業は、世界の農家の9割以上を占め、資源エネルギーは25%しか使わないのに世界の70%の食料を供給している。一方、工業的大規模農業は資源エネルギーを75%も使って30%の食料しか供給していない。
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種子法が廃止されて以降、都道府県の農業試験場の職員数が減少し、試験場の予算も削減されている事実が明らかになっている。農業競争力強化支援法8条に基づき、都道府県の種子生産や供給の事務が縮小の流れになっているとも伝えられる。日本の農家を守る国の支援がますます減っていく。
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昨年12月の種苗法改正によって、種苗の開発権を持つ者の権利が大幅に強化された。種子企業に登録された登録品種を、農家は自由に自家採取できなくなった。しかし、そもそも各地の伝統的な種苗は、地域の食文化と密接に結びついた一つの大きな「共有資源」であり、私的所有になじまないものであった。
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コロナ騒ぎに紛れ種苗法が改正されようとしている。とくに問題なのは「自家増殖禁止」。例えば、果樹農家は1本の苗木を購入し接木や挿し木をして増殖してきたが、これからは育種権利者に対価を払って許諾を得るか、苗木を全て購入しなければならなくなる。農家にとって経済的負担が大きくなるだろう。
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「自助・共助・公助」という言葉ががいまでも胸にひっかかっている。国が責任を負うべき公助がなぜ最後なのか。コロナ対策でも自助だけが求められ、公助はなかなか発動されない。むしろ、この言葉は国民に向かって「和を乱すな」「公助に頼るな」と言う時の方便として用意されたのではないかと思う。
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遺伝子組み換え作物に対する流れが変わりつつある。米国連邦裁判所はバイエルなどのジカンバ(除草剤)の農薬登録を無効とする判決を下した。今後はジカンバを遺伝子組み換え作物に散布することも、販売することも違法となった。バイエルの売上げ損失は2020年だけでも最大1億ドル(約105億円)になる。
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日本は農家の自家増殖を原則禁止にしたが、これは世界の流れに逆らうものだった。米国では植物品種保護法で自家増殖を認めているし、EUも自家増殖は原則自由である。かつて自家増殖禁止法案はモンサント法案と呼ばれて中南米諸国で猛威を振るったが、農民の暴動などもあってほとんどが廃止された。
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外国資本による日本の土地買収が問題になっている。この10年、土地を取得した外国資本が別の外国人に転売することはあっても、日本人が買い戻したという例はほとんどない。このままだとそう遠くない未来、「日本の領土だが、所有権を外国人が持つゆえ収用できない土地」が各地であふれてくるだろう。
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除草剤ラウンドアップと、その主成分グリホサートがもたらす健康被害は、発がん性だけでなく、さまざまな分野で明らかになっている。発達障害など子供たちへの影響、妊娠や出産への影響、さらには世代を超えて受け継がれる悪影響などがある。いま世界では禁止を含む規制の流れが強まっている。
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東大教授の安冨歩さんの著書「生きる技法」には、次のような言葉が出てくる。
「自立とは、多くの人に依存することである。依存する相手が増えるとき、人はより自立する。依存する相手が減るとき、人はより従属する。従属とは依存できないことだ。助けて下さいと言えたとき、あなたは自立している」
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日本の大豆の自給率は約5%。大豆は日本人の食生活にとっては欠かせないものだった。味噌、醤油、納豆、豆腐はみな大豆が原料だ。また日本人は田のあぜ道に大豆を植えた。米作りに必要なチッ素を補給するためである。こうして日本人の食と農は育まれてきた。だが、その自給体制が風前の灯となっている。
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子供の食べるものには気をつけなければならない。食品添加物をはじめとした化学物質の影響は、多くの場合、胎児期に最も大きく、乳児期、幼児期、児童期も成人より影響を受けやすいことが知られている。子供は細胞分裂が盛んで、発がん性や免疫毒性、神経毒性などが出やすくなるのである。
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コメは日本で唯一自給できる穀物である。世界的食料不足が予測される中、日本はもっとコメの生産に力を入れるべきだ。水稲には連作障害がまったくないので、安定した持続的農業生産を維持できる。また、コメの生産向上は農家の経営基盤を安定化して、農業者の自信や志気の向上にもつながるだろう。
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日本も学ぶべきだ。韓国のソウル市は、国公立と私立を問わず、今年から市内のすべての小中高校(特殊学校含む)で給食を無償化すると発表した。同市は2011年から学校の給食無償化の取り組みを始め、学年ごとに対象を拡大してきた。今年から小中高1348校の約83万5000人が給食無償化の対象となる。
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農民連食品分析センターの検査では、全粒粉を使ったパンからより高いグリホサートが検出された。輸入小麦はプレハーベストにより、外皮にグリホサートが残留する。そのため外皮ごと粉状にした全粒粉は残留値が高いと推察された。全粒粉パンは「健康」を売りにしているのに、この結果は皮肉である。
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世界では21億人が安全な飲み水を入手できず、45億人が安全な水で清潔を保てない生活を強いられている。2020年、アフリカでは2億5000万人が気候変動によって水不足に陥り、1日20リットルの水での生活を強いられた人々が多く発生した。私たち日本人も水の大切さをもっと自覚しなければならない。
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原発を止める。これが世界の趨勢だ。3.11福島原発事故を経験した日本になぜそれができない。 twitter.com/ReutersJapan/s…
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スイスのグローバル企業ネスレは、こんな警告を発している。
◯2025年までに、世界の人口の3分の1はきれいな水にアクセスできなくなる。
◯2050年になると世界の全人口のほぼ全員が、きれいな水にアクセスできなくなる。
◯人類は水の奪い合いになる。だからこれから、高い値段がつけられるだろう。
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種子法廃止は、日本農業に重大な影響を与えるだろう。実際、インドでは今世紀に入ってから公的種子事業の予算が削られ、種苗研究が民間に委ねられた結果、コットンの種が多国籍企業の遺伝子組み換え種へと統一された。そのため価格が上がり、多くの農民が生活苦から自殺を追い込まれたと言われる。
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外資による日本の土地買収が問題になっている。「日本は風景がいいし、土地は肥沃です。水も汚染されておらず安全で豊富です」。買い手にとってはお買い得感がある一方、売る方は他に買い手が現れないから売り急ぐ。売買はほぼ野放し状態だ。こうして日本の農林地、リゾート地、離島が売られていく。
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NPO福島県有機農業ネットワークと北海道大学池中良徳准教授の共同研究によれば、それまで慣行栽培の食物を食べていた人が、米、味噌、野菜などを有機農産物に切り替えたところ、尿から排出されるネオニコチノイド系成分が1か月で劇的に減少したという。有機農産物が体内の毒を減少させたとみられる。