1026
「私は隣に越してきた藤丸です、こちらは孫です」
「よろしくお願いいたします!」
「藤丸さんの家、不思議だよねー」
「なんで?」
「だって孫とおばあちゃんの二人暮らしでしょ?親はどうしたんだろう
それにさ
買い物とか散歩で見かけるけど
喋り方が孫と祖母じゃないの
何ていうか、相棒みたい」
1027
「…酒呑童子はさ、あの人のこと好きだったのかな?」
「あ〜〜!汝!なんっにもわかっておらんな!」
「愛するものか!
やつは酒呑を愛していたかもしれんがな!
やつは酒呑に与え、何も望まなかった
だから酒呑は奪って、奪いつくした
そうして酒呑は義理を果たした
鬼の礼を尽くしたのだ…きっと」
1028
「止まりなさい」
「なぁに?…このにおい あなたお医者さん?」
「看護師です、さぁ治療を開始します」
「へぇ!わたしたちになにする気?」
一触即発の雰囲気
しかしナイチンゲールはジャックを抱え膝に乗せた
「…これが治療?」
「ええ、あなたがたにはこれが必要です」
「あはは!へんなの!」
1029
小さな池
マシュと水着で遊ぶ
誰かに足を引かれた
「マシュ?」
彼女は離れた所
みると足に髪が巻きつく
「出なさいッ!」
サーヴァントに引き摺り出された
「あれは水じゃない!
宝具で溶かされたサーヴァントと人間なの!」
足にへばりつく髪の毛は橙と桃色だった
「どこかの私たちだったんだ…」
1030
「なに?今ならビーストになれるのでは、と?
獣は単独で降り立つ者
拙僧生憎独りで進むつもりはございません
この心は、マスターに差し上げました
何故って?
あの方が全てくださったからです
拙僧が知らなかったものを全て
だから拙僧も全て差し上げるのです
…当然でございましょう?」
1031
ケガレガミから金箱
鏡だ!
喜び開けると日記帳が
「○月○日 マスターとはぐれた 」
「○月△日 帰り道が分からない 頭が痛い 澱んだ空気に侵される」
「□月○日 体が重い 髪で前が見えない 帰りたい」
「?日 マスターみつけた」
「…あのケガレガミ しきりに叫んでた」
「あずたー あずたーって」
1032
バタバタ
「なんや騒がしいわぁ」
「旦那はん、そんな急いでどおしたん?」
「そういえばあのしつこい痩せっぽちのあれ、最近みぃひんけど…」
「…は?」
「末期症状?明日まで持つかどうか?」
「…ふぅん あ、そ」
「…なら急がなあかんね」
数刻後
彼女はスキルで周りを酔わせ侵入し事に及んだ
1033
藤丸立香が戦闘してる夢を見て、寝言で「来い!俺/私のサーヴァント!」っていった瞬間にカルデア中のサーヴァントが霊体化もせず集まったためぎゅうぎゅうになり、マスターの部屋のドアが破壊された回
1034
「無理だろうけど、全部終わったら2人で普通に暮らしたいね」
「はい」
「アルバイトして交代でご飯作って、疲れた時はお惣菜」
「一緒に服を買って、帰りに人気のパンケーキ屋に並ぶの」
「素敵です」
戦闘不能のオルテナウス
マスターは足が折れ動けない
猛吹雪の中
2人は寄り添って夢の話をした
1035
藤丸立香の墓には常にバラが供えられるけど、たまにどう見ても毒としか思えない色のキノコも置いてあったりする
「ネロ様のあるところロクスタあり!
死んでも関係ねぇ、キノコ食らえー!」
1036
「皆さ、藤丸立香は間違えても令呪や石でコンテできると思ってるでしょ?
違うんだよ
あの瞬間に「負けた誰か」が切り離されるの
本体は気づかないだけで、藤丸立香じゃない何かは令呪を失い永遠に彷徨う」
「あなた今までいくつ彼らを生み出した?
数えきれないよね!
だって私もその1人だから!」
1037
「死ぬのが怖くなくなってきたんだよね」
マスターがいう
「だって死んだとして
どこいくかわかんないけど、冥界?地獄かな?でも皆いそうだしさ、なら怖くないかなって」
それを聞いた一部のサーヴァントは喜んだが、大半は悲しんだ
「我々がマスターをこうしたのだ
人として当然の恐れすら奪った」
1038
その日から、毎夜来た
ベッドに座りこちらをみている
息苦しくて目が醒めると
首に髪の毛が巻きついているのだ
「うーん、とりころされかけてるねぇ!」
「しかし不思議だ、なぜライダーの方に行かずマスターに?」
「じゃあ話を聞いてみるといい、どうやら彼には彼女が違う風にみえたようだからさ」
1039
「ゴッホ勝ちました
バーサーカーだってゴッホカッターで切り裂いた
なのにマスターさまは褒めてくださいませんでした
ゴッホをフォーリナーとしか呼びませんでした…
私はクリュティエ=ヴァン•ゴッホなのに…紛い物と軽蔑なされてた
だから最期にゴッホの絵を見て欲しくて…うう
座で反省します…」
1040
「可愛い可愛い憎い藤丸立香、私のペルセポネ、もう少しだったのに邪魔が入った、くそ!くそ!くそ!」
「あなたは冥府にも地獄にも連れてってあげないわ、悪い方、私がお仕置きして差し上げましょう
あなたもあなただわ、もう少し早く来てくださらないと、危なかったのよ?おじさま」
「……」
1041
SNSにて
「とりあえずやってみた。初心者ばっかで余裕勝ち!聖杯あざーす。これで推しを120にできるわ!」
「勝った!結構接戦だったーってかバサカが強い!これ月に何回できるの?」
なお、負けたという報告は一件も無かった
1042
1043
時々起こる不思議な現象
大抵敵の宝具を食らったり、倒しきれないとき
「やられる…!」
と思うと、次の瞬間こちらが攻撃する前に戻っている
勿論マスターやサーヴァントにそんなスキルは無い
「白昼夢?それとも負けた他のマスターの記憶?」
真相は「彼ら」には永遠に分からない
答『タスクキル』
1044
「調子は…良くないみたいだね」
坂本さんは眉を下げた
「君や他のサーヴァント達はお竜さんに見えていたようだけど
僕は違った
長い永い付き合いだからね」
「知らない女性だったよ 長い髪だったけど茶髪、小柄で目の大きい」
特徴に合う人を1人だけ知っていた
人理修復途中でなくなった
女性の職員
1045
特異点を修復した時も聞こえた
実はカルデアでもたまに聞こえる
「いーなー」
「いーいなー」
でもなんの実害もないんだよね
それがなにより怖い
もし私やマシュがしんでしまったら
生きて進んでいく誰かを
呪うことすらできず
「いーなー」
と羨むことしか出来ない何かに
なってしまうんじゃ、と
1046
戦闘中腕をぱっくり切った
治療が得意なサーヴァントは不在
「ならば」
道満はどこからか針と糸を取り出し傷を塞いだ
「器用だね」
「ンフフ
しかしあくまで応急処置、戻ったら速やかに治療をば」
帰還後ナイチンゲール達に見せると
「見事な縫合です…ただ
使われているのは、彼の毛髪ね」
1047
ママにお兄さんの話をするとアルバムを
「お兄さんってこの人?」
「そう!髪が白と黒のくるくるの人!」
「そっか…」
「誰?」
「友達かな」
「しんじゃったの?」
「何で言えばいいかな
難しいね、色々助けてくれたんだよ」
「わたしのことも!」
「そうだね、ああ見えて面倒見よかったからなあ」
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藤丸立香は離婚したい
だが相手がDVを認めず応じない
「…ごめん、散々忠告してくれたのに」
「…」
…
「誰だ!」
「立香の兄じゃあ!妹にようやってくれたのお!」
「刀!?警察呼ぶぞ!」
「呼んでみぃ、証拠なぞ残さん!
さっさとハンコおさんかい!」
…
「脅してないよね?」
「脅しちょらん」
1049
去年出た音楽を「最近のだ!」と思って聞きますし
本なら10年前くらいまでは「新しいな」と思って読んでますが
「流行に乗り遅れてるよ」とか「遅いよ」と言われたりすることがあります
周りが速すぎるんだと思います
次から次に食い尽くし、あっという間に忘れ去る
なら私は「流行遅れ」でいいや
1050
「やくそくっ
やくそくよ ふふ
破ったらひどいんだから…
でもしってる 怖がって来ないような人たちじゃない
だから 愛したの」
タイトル
【まもり神】