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それから変なことばかり起きた
季節外れの彼岸花が咲いたり
村はずれの廃屋が燃えたり
「あいつらのせいだ!山神さまの呪いだ!」
村中その話だった
そのうち
夏風邪が流行るのも
窓ガラスが割れたのも
誰かが鎌で怪我したのも
いじめっ子の家にカラスの死骸が置かれたのも
全部「呪い」のせいになった
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間も無くアサシン、酒呑童子が来た
驚いたよ
「あー!あの時の!」
「…旦那はんうちに会ったことあるん?」
違う…?
マシュ達にも言われた
酒呑童子が戦争もなく単独で俺の前に現れるなんてありえない
他人の空似だろうって
疑問はあったが
人理修復も一緒に頑張った
絆もどんどん上がっていった
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「…あのね
私があそこに出てこられたのは
呼ばれたからなの
ガスがたまたま薄くて、意識を失うのに暫くかかったスタッフの何人かが
震える唇で祈ったの 」
「 もう体は動かない
サーヴァントもいない
だれか だれか
神さま いえ
鬼でも悪魔でも
なんだっていいから
あの子達を助けてください」
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皆が言い争ってる
私の髪、ショートかロングどっちがいいかって
照れちゃうな 気になるけど
マシュは「聞かない方がいい」って!
部屋に戻ろ
「短いと身代わりに足りない」
「長いと後ろ髪を引かれる」
「短くして切った毛を保管」
「ダメだ鮮度が落ちる」
「…先輩が思ってる様な話ではないのです」
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「今までの優しい叔父さんはぜーんぶ作り物でした!いかがでしたか?マイマスター?」
「…それでも今の私がいるのは叔父さんのおかげ、ありがとう」
「…もう叔父とは呼びなさるな」
「うん、分かった道満」
…
「宝具お願い、叔父さん!」
「だから叔父と呼ぶなと言うのに!ああもう手のかかる!」
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「どーまんはたさいで、おべんとうもすごくきれいだし、すごいんだもん!っていう!」
「ンンン店員殿!デラックスお子様セット1つ!」
「おなかいっぱいだからいい」
(めちゃくちゃ嬉しいんだな…)
「どーまんはさいきょーのひつじなの!」
「しつじ、ですな」
(本当にいるんだ、お嬢様と執事)
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「止まりなさい」
「なぁに?…このにおい
あなたお医者さん?」
「看護師です、治療を開始します!」
「へぇ!わたしたちになにする気?」
一触即発の雰囲気
しかしナイチンゲールはジャックを抱え頭を撫でた
「…これが治療?」
「ええ、「あなた達」にはこれが必要です」
「あはは!へんなの!」
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戦闘後マスター達がボーダーに帰ってこない
ピピッ
「私達やることがあり遅くなります」
「む?町にでも寄るのかね」
「いいえ、今から首を吊らなければならないので」
所長の怒号が響く
「すぐ行くから座って待ってなさい!」
座標につくと呆けた2人を回収した
「暫く立入禁止、くびれ鬼が出たな」
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「…ありがとおねえ、らいこう」
「いえ!何年経っても母は母、娘は娘です!」
本当はティアマトや茶々も来ようと熱望していたのだが、不自然すぎるため来られなかった
「みんなげんきかなあ」
「ええ、皆あちらでマスターを待っておりますよ…あの忌々しい虫共も
でもこの時間は私頼光のものです」
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「アビー!アビー!」
いつもの場所に彼女はいた
「僕を連れてって!ここはもうやだ!」
「…ダメ 」
「なんで?山神さまなんでしょ?」
「…より長く顕現するためこの地の神の概念を借りたの
私は鍵 私はあなたの未来を知る者」
「ここで生きるの
いつか私の村にくるために
生きるのよ リツカ君」
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今回ガーデン級で九十九鏡が落ちる
やった!と
喜んでいたがサーヴァントはそれを覗くと叩きつけ割った
「式部のスキル用の…」
「あれは九十九から百になっておりました
物の怪に成り果てて」
たまにあるらしい
マシュは一度割る前に「百」の鏡を見たことがある
「映っていたのは先輩の死に顔でした」
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「ない…ない…」
マイルームに子供の霊
泣きながら何か探す
「大切なものでしょうか」
「一緒に探せば満足するかもしれません!」
マシュとベッドに
その夜
「ない…」 来た
「ねぇ、何探してるの?」
尋ねるとゆっくり振り返る
「ないの…どこにも…私の
せかい」
異聞帯で会った子供の顔だった
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もしぐだおくんとぐだこちゃんがボーダーの中で20歳になったら
ホームズの外套やダヴィンチちゃんの装飾をいつもの服に纏って
少ないレーションをできるだけ豪華に持って
新所長がごほんと咳払いをしてお説教のような挨拶をして
マシュはそれを職員と並んでみてる
そんな小さな成人式をしてほしい
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「やーい、お前の母ちゃん教祖様!」
「うえーん」
…
「ごめん、俺が間違ってた、キアラ様は最高だ!」
「…」
…
「皆私の信者にして取り込んであげます」
「でも、私のママが皆のものになっちゃうの、ちょっとやだ」
「…私を獣にしない唯一の楔なのです、人を特別扱いしない私の、特別なあなた」
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「人斬りのわしは地獄でええです
極楽いこうなんて思わんき
でも立香は違う、世界を救うために戦って、なるべく人死にでんよう戦って、戦って、そんで阿鼻地獄は不憫すぎる
お願いします…」
「ならば岡田以蔵!貴様には藤丸立香極楽での護衛を命ずる!」
「でもわしは…」
「いいからはやく行け!」
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「サーヴァントは使い魔…関係ない!友達になろう!」
「はい!マスターさま」
「ゴッホカッター!」
「ふふゴッホカッターてなに
…戦闘中なのに笑ってごめん」
「令呪で命令?したくないよ」
「それでも私たちはサーヴァントとマスターなのです」
「マスターさま、目を閉じて、宝具を使います」
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マスターには懐いているというか
忠実なので「意外と結構優しいよね」
なんて勘違いしてたけど
マスター以外の人の命を
一瞬で、花を手折るよりも軽率に蹂躙しケタケタ嗤っている姿に
「混沌•悪」を改めて思い知らされて冷や汗をかくマスター概念 実に好きです
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人理修復の頃あんなに宝具に助けられたジャンヌも
どんな時もいたら安心だった孔明も
周回の時にあんなに頑張ってくれた巌窟王も
今はめっきり戦闘に出していない
嫌いになったんじゃない、いらなくなったのでもない、
でも今は、出せないんだよ ごめん
ごめんね…恩知らずなマスターで
『環境変化』
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「あの者以外の手に渡るのは癪ではあるが貴様なら許す!財宝をやろうか?」
「いえいいです、身を持ち崩しそうなので」
「フハハ!似てるな!許す!」
(許されなかったら死んでそうだ)
…
「チョコあの者食べなかったのか〜朕しょんぼり、そち食べる?不老不死なれるかもだぞ?」
「いえ、結構です」
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藤丸六香は大切な支えを失った立香
「そう、いつも一緒だった
終局特異点で消えちゃった時だって、戻って来てくれた
ワイバーンの爪からも、騎士の剣からも守ってくれた
あなたがいなくちゃ私は、私は…
結局負けちゃったよ、ごめん」
『マシュを失った藤丸立香が藤丸六香なのではないかという考察』
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カルデア襲撃
凌いだが重傷者多数
ベッドが足りず廊下に溢れ夜戦病院のよう
酷い臭いの中、ほぼ無傷のマシュと私は看護に奔走
凄惨さに座り込むのを堪え、声をかけて体を拭く
爆発音!
敵の第二陣 が
誰かが突っ込み吹き飛んだ
「命を!救う、為なら!」
「私は何でもするわ!」
天使の叫び声が響いた
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「厄介だ」
「厄介だな」
「あんなにそっくりにしたのに」
「形だけじゃない、匂いも気配も魂の形まで何もかも!」
「まったく、バーサーカーはこれだから厄介だ
まったく常識が通用しない!」
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敵の攻撃で負傷
サーヴァントも壊滅
「ごめん、皆…
でも、まだ負けない
そこにいるでしょ、流れた血、全部あげる
だから勝って、私のアサシン」
酒呑童子が起き上がりマスターの血を啜る
「その言葉も血も、甘いわあ
たぎるわぁ
鬼の戦い方、みせたるさかい
覚悟しいや!」
『私の不敗のアサシン』
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「でかい猿だったぞ」
「…山の主のこと?」
「うんと年寄りのな
まあお竜さんに比べたら若造の若造だ」
「だけどアイツ
イゾー未満のクソザコの癖にタチが悪い
人間、それも子供を50は食ってるな」
恐怖に震えてると
「ダイジョーブだ さっきお竜さんが食ってきた あー不味かった」
え、え、