201
戦闘後マスター達がボーダーに帰ってこない
ピピッ
「私達やることがあり遅くなります」
「む?町にでも寄るのかね」
「いいえ、今から首を吊らなければならないので」
所長の怒号が響く
「すぐ行くから座って待ってなさい!」
座標につくと呆けた2人を回収した
「暫く立入禁止、くびれ鬼が出たな」
202
朝から晩まで周回
「先輩!休まないと!」
「そーだよマスター」
「でも折角のボックス、皆のスキルあげたいし…」
頑張ってたマスターだが、次の朝マイルームを覗くと背を向け寝ていた
「もう少し寝かせとこう」
彼が冷たくなっているのに気付いたのは昼
喉に戻した金のリンゴが詰まり、窒息していた
203
よく扉の外に血まみれのリツカ達がいる
勿論うちのじゃない どっかの世界のしんだあいつら
「やっと帰ってきた!」って目を輝かせて入ろうとすんだよ
だから、どうすると思う?
塩と酒ぶちまけ罵って追い返すんだ
暫くやってりゃ帰ってく
絶望に顔を歪ませ、泣きながらな
…正直二度とやりたくないよ
204
カルデア七不思議「おばけ扉」
誰もいない部屋から音
「しんだ職員の霊だ」
近づくのは禁止
ガン、ガンという音を聞いて震えてた
襲撃の際逃げる時も音はして
こっちに来たら無くなった
違った
おばけなんかじゃない
人理修復の妨げになる人を、病死だった事にし閉じ込めてた
私とマシュにだけ内緒で
205
山を登ってると声
「先輩」
しかしマシュは麓の筈
サーヴァントの話を思い出す
「化け物は同じ言葉を繰り返せない 」
「もしもし!」
「もし…」
「この前のぐだぐだイベントは大変だったね!」
「はい…ぐだ…イベントは大変でした」
走って山を降りる途中
振り返り見たマシュは、頭が3つあった
206
逃げる途中サーヴァントと会った
「それは災難だね
ちょうど黄昏、逢魔が時だ」
「あーびっくりした ノッブ達に感謝しないと」
「そうだ、マシュと新シンに報告しないと」
「そうだね、マシュと新…も心配してるよ」
…
再び走って逃げた
今度は麓まで誰とも会わなかった
207
夜中2時に処置室の鏡を見ると死ぬ
そんな噂がカルデアにはあった
マスターは一度、魔が差し見に行った
しかし何も起こらず
「なーんだ、やっぱり嘘だった!」
「もう、ご無事でよかったです」
…
死溢るる魔境への門
「即死無効が発動している
やはりあの鏡は本物だ」
「ふん、まったくあの者は…」
208
夜中隣のマシュが寝言を
「はい わかりました」
「何が?」
面白くて声をかけた
「先輩をころす方法」
血の気が引く
マシュは寝ながら続ける
「まず縄を首に…そして」
「マシュ!」
揺さぶり起こす
「…先輩?」
起きたマシュは普通で
誰かと話す夢を見たらしい
だが内容と誰だったかは忘れてた
209
今回ガーデン級で九十九鏡が落ちる
やった!と
喜んでいたがサーヴァントはそれを覗くと叩きつけ割った
「式部のスキル用の…」
「あれは九十九から百になっておりました
物の怪に成り果てて」
たまにあるらしい
マシュは一度割る前に「百」の鏡を見たことがある
「映っていたのは先輩の死に顔でした」
210
お気に入りのサーヴァントが変還されたマナプリズムを持ち去る職員がいた
悪趣味だが貴重な技術者だった為黙認
ある日様子を見に行くと
洗面台に溜まった緑の液体に頭を突っ込み溺死していた
日記には
「意思を持ち始めた」
「体が必要みたい、なのであげます」
とあった
遺体はすぐに燃やされた
211
「そのサーヴァントを再召喚したわけじゃなかったみたいだ」
現場検証をした職員は言う
「全く違う何かを作り出そうとしていたようだ」
日記には聞いたことのない名前がハートで囲んであった
「多分だけど…子供のつもりだったんじゃないか?あいつとそのサーヴァントとの」
目眩がしその場で吐いた
212
酒呑童子を好きな職員
いつも褒めて物を渡していた
「ええの?おおきに」
そんな彼は病でコロリとしんだ
その夜遺体が食い荒らされた
犯人は酒呑童子
「彼はあなたの事を!」
「はて、お礼のつもりやったんやけどねぇ」
骨をしゃぶり彼女は笑う
「ああ、味ないわ
病でしにはったもんの肉はあかんね」
213
不味い不味いと言いつつペロリと食べた
「うちは鬼や 奪い奪ってぐちゃぐちゃにするのが鬼の礼儀」
「わかってはった、あん人は」
「だから礼を尽くした それだけや」
彼は痩せてた
「もっと立派な骨ならお眼鏡にかなったかも」
食い終わった後
か細い骨を摘み
彼女はコロリと笑った
「貧相やね」
214
「ギル祭でも大活躍だったね」
「あのクイックバフ様々だな!」
職員と談笑
ちょうどスカディが通りかかり
「ちょっとこの人にバフ掛けてみてよ!」
「む?まぁよいが」
肩凝り治るかな?何て言ってたら倒れて二度と動かなかった
持病が急激に悪化したらしい
「人の子には過ぎるものだったか…」
215
野営中目が覚めてしまった
「ねむれないの?おかあさん」
心配そうなジャック
「まってて!」
暫くすると戻った
「きて!」
手を引かれ進むと
腹を裂かれたドラゴンの死骸
「おかあさんも入れる用におっきなのにした!」
暖かく生臭い中にジャックと入り
そのまま寝入った
不思議にとてもよく眠れた
216
低レベルマシュのみサポのフレンド
始めたばかりだろう
微笑ましくよく戦闘に連れて行った
ある日逆にサポートに行ったサーヴァントが戻るなり
「縁を切れ」
「何故?」
「マシュ以外他のカルデアから強奪された奴らだ
俺も危うかった」
「あのマシュは餌なのだ
お前のようなお人良しの気をひく為の」
217
戦闘で腹に穴が空きしんでしまった
はずが
気づくとベッド
「助かったのか…?」
腹を触るとなんと!穴は空きっぱなし
それ以上に驚いた
体中に鎖が巻き付いている
「先輩!成功しましたね!」
成功?
「愚者の鎖で魂を繋ぎとめました!後は腐敗の進行を止めれば」
微笑むマシュの体も鎖だらけだった
218
ローマ兵に襲われた
連戦で戦えるものもおらず追い詰められ
槍がマシュに刺さろうかという時
とっさに彼の首にドロップしていた万死の毒針を突きたてた
「…助かった」
でもそこで毒針の効果を思い出した
すぐには死ねず数多の死を繰り返し魂までも朽ち果てる
「ごめん…私達がもっと強ければ」
219
「わあ、ここにはこどもがたくさんいるんだね!」
ジャックはそう笑った
勿論生きてる子供ではない
マシュ以外の被験体のことだ
「でもわたしたちとは違う
かなしいも、くるしいも、かえりたいも
なにもないんだね」
それを聞いたマシュは泣き崩れた
「みんな【人間】になる前にしんだんだね」
220
今頃バビロニアの感想
本当にマシュは盾で敵を打ちころしてきたのだと実感しました
ここでは魔獣だったけど
セプテムではきっと人の兵士だった
あの子は命を潰す感触を知っている
盾についた血の臭いも
敵の頭蓋を砕く音も知っているだろう
そうやって生き残った
部屋に入る前に髪の毛を気にする子供が
221
222
「藤丸!酒呑からのチョコいっこくれ!」
職員は頭を下げ
「大ファンなんだ!」
1つボンボンをあげた
「ああ幸せ いつかちゃんと貰って、腹一杯食べたいなぁ」
翌朝職員は腹を裂かれ死んでいた
内臓と骨は抜かれ、チョコがぎっしり
「ふふ、あんな熱烈な告白聞いたら
ついうちも張り切ってもたわ」
223
調査が進むにつれ奇妙な事がわかった
詰められたボンボンが数回に分けて作られていた、いや
作り足されていた
「あれま 肺抜いたら結構入るわ
これじゃ足りひん」
「もっとつくらなあかんね」
腹一杯食べたいなぁ!
「はいはい ちゃあんと腹一杯にしたるさかい ええこ、ええこ」
224
ゲストサーヴァントと行動を共に
「君達の名前は?」
「マ、マシェ キルエライラですっ」
「…藤田立花」
気が引けた、でも
「この先の山では必ず偽名をつかうように!」
山を歩き里に抜ける手前、急に名前を呼ばれた
「?」
「違う!?引っ張れない…嘘吐き共ッ!!」
そう吐き捨て彼は消えた
225
マスターが酷く負傷
「うう…」
「痛いよ…お母さん」
それを聞いた瀕死のジャック
がばりとマスターを引きずり背負った
「ジャック!」
「おかあさんもおかあさんのとこに帰りたいの」
「わたしたちもおかあさんにかえりたい、けどそれはおかあさんが帰ってからでいい」
「だから、かならず帰す」