901
「今までの優しい叔父さんはぜーんぶ作り物でした!いかがでしたか?マイマスター?」
「…それでも今の私がいるのは叔父さんのおかげ、ありがとう」
「…もう叔父とは呼びなさるな」
「うん、分かった道満」
…
「宝具お願い、叔父さん!」
「だから叔父と呼ぶなと言うのに!ああもう手のかかる!」
902
隣の老人、藤丸
一人暮らしなのに話し声
…
ある日うちの子が藤丸宅に入り浸ってると判明
「あんな変な老人の所行くな!」
「えー楽しい話してくれるよ」
「ダメだ!」
苦情を入れた
「これで安心だ」
…
「藤丸じいちゃん、パパとママが起きないんだ」
「…お前達何かしたか?」
「「「何も?」」」
903
「何かしたな?」
「…少し悪い夢をみせてるだけ
それだけよ?」
「今すぐ起こして」
「だってマスターのこと悪く言うんですもの」
「パパとママ平気?」
「平気だよ、ごめんな」
…
「藤丸さんの所行ってきなさい」
「いいの!やったー!」
あれ以来パパとママは優しい
まるで、人が変わったみたいだ
904
道満が膨れ顔
「なーに怒ってんの?」
「怒っておりませぬ!拙僧の絆が13になった暁の石30個で…あろうことか他のアルターエゴを喚ぼうとするなど…シクシク」
「…ほら、来なかったから、ね」
「拙僧の呪でございます〜ピロピロ」
「それ洒落んなんないから!」
「アルターエゴは拙僧だけで充分!」
905
「安倍晴明では!?」
「晴明を喚んだ筈」
「…ハァ」
道満は大抵晴明召喚の失敗で喚ばれる
だから魔術師は大抵殺した
…
「今度もですか」
喚ばれた先には少女
「どーまんだよね?ママが言ってた人とそっくり!」
握りしめるのはバレンタインのお返し
「はい、拙僧が道満にて、なんなりとマスター」
906
「聖杯戦争を勝ちたいですか?」
「ううん、ママは戦いをとめてっていってた」
「それで何故拙僧を?」
「どーまんは、たさいだから何でもできるって!」
「…そうですか、そうですか
お母様は?」
「びょーいん、体よわいの」
「…今すぐ、いえ、すぐ戦いを止め見舞いにいきましょう」
「うん!」
907
「道満…私に何かあったら娘を頼むね…」
「お任せを」
「ただ…絶対悪い事はしちゃダメ」
「…え?」
……
トラックが突っ込む
「フンっ!」
片手で止める
「ドーマン凄い!」
(正当防衛…悪事ではない)
悪口言った同級生を病院送り
(呪詛返し、悪事ではない…
ああ、悪い事しないの疲れまする!)
908
「あの男…不自然にぶつかろうとしてる、その前に…!」
「ピピー悪事判定です」
「何ーーー?!こうなったら拙僧がぶつかりますぞ!ドーン!!」
「わっ、ふっとんだ、すごいドーマン」
…
「基本カウンターしか出来ないの疲れますな…」
「ドーマン正義の味方みたい!」
「…初めて言われましたよ」
909
父から白と黒のミサンガを
「お守りだ」
学校で見つかった
「藤丸の癖に!」
「いーけないんだ!」
「没収です」
引っ張られたミサンガが千切れて
1本ずつ皆の口に入った
…
「おはよう!」
あれから学校生活は快適
でもなんか違和感が…皆人形みたい
「「「そうですとも!拙僧の傀儡ですからな」」」
910
「お父さん…あのミサンガ千切れてから皆変なんだ…」
「そうか、お父さん少し話してくるから」
そう言い向こうの部屋に
…
「虐められてました」
「全員傀儡化はやりすぎ
十分だろ?息子も怖がってる」
「仕方ありませんなあ」
…
「もう大丈夫だから」
「誰と話してたの?」
「んーミサンガ、かな」
911
母が急逝
「母さん!」
その晩夢
ボロボロの着物の男
「貴方のお母様と地獄に参りましたが、暴れて手がつけられませぬ、こんなじゃじゃ馬お返し申し上げます、次はもっとヨボヨボになってから来いとお伝えくだされ」
病院から電話
「信じられませんがお母様の心拍が戻りました…」
『まだ早すぎる』
912
「道満あっち見てみようよ!」
「いやそっちは獄卒が、ああもう仕方ありませんな!」
「あっちは何!」
「あちちちち!早く行ってくだされ龍が!龍が来てるので!!」
「寒いねー」
「ガチガチもう拙僧の服着なされガチガチ」
「地獄結構楽しいね!紅閻魔にも会いたい!」
「…当分来ないでくだされ」
913
川で溺れた
目覚めると目の前にお兄さん
「ここどこ?」
「地獄と現世の間です、あなたが早く来すぎるとお母様が悲しみます」
「ママのとこ帰りたい」
「手を繋いで、振り返らぬよう」
後ろからおいでって声がしたけどお兄さんにしがみ付いた
…
「ゲホッ」
「よかった…!」
藤丸立香は娘を抱きしめた
914
ママにお兄さんの話をするとアルバムを
「お兄さんってこの人?」
「そう!髪が白と黒のくるくるの人!」
「そっか…」
「誰?」
「友達かな」
「しんじゃったの?」
「何で言えばいいかな
難しいね、色々助けてくれたんだよ」
「わたしのことも!」
「そうだね、ああ見えて面倒見よかったからなあ」
915
退去しなかったドラコー
藤丸は世界を守る為契約を続けた
最期の時
「今まで令呪で縛っててごめんね…令呪を持って命ずる…自由に生きて…でも、都市を滅ぼしたりはしないでね…」
「…もとより貴様の令呪の拘束力で余を縛れるわけなかろうに」
『自由に生きたからこそ、貴様と共に生きたのだ』
916
「令呪とは時にサーヴァントを縛り、無理矢理にでもマスターのいうことを聞かせる、まさに呪いよな
しかし貴様と余の間にあったのは呪いか?余はそうは思わぬ
あれは絆だった
そうではないか?マスターよ…
だから、自由に生きろなどと願うな
余はビーストクラス
最初から、自由であったのだ」
917
晴明!何故勝てぬ!晴明!晴明!
…
「道満って何で指の先黒いの?」
「魔力の酷使で壊死を」
「…」
(さて、笑うか哀れむか…)
「だからいつも私の魔力残量気にしてくれるの?」
「え」
「私の指も気にしてるよね
ほら大丈夫だよ!
道満は優しい頑張り屋さんだね」
「ンン…初めて言われました」
918
違う
初めて言われた訳ではない
「道満様」
「お優しい道満様ありがとう」
「道満様は本当にご研鑽なさって」
そうだ、人を守ることもあったのだ
晴明憎しでそれが、塗りつぶされただけで
…
「ありがとうございますマスター
昔を思い出しました」
「いい思い出?」
「はい、良き陰陽師の時の事を」
919
毒耐性を失った藤丸立香は全てを忘れる病になった
「道満ずっと嫌いだった、さっさと退去して」
「嫌です」
…
「お前段蔵を壊したリン…
違う、道満だよね、なんで分かんなくなっちゃうんだろう
はやく帰ってよ
私が私じゃなくなる前に」
「それでもお供します」
…
「誰?」
「…あなたの相棒です」
920
「あなた誰?」
「道満です」
「だれ?」
「道満です」
「だれだよ!」
「…私こそ下総で貴方の命を狙い、民を殺し英霊達をぐちゃぐちゃにしたリンボにて!あはは!」
「…うそつき
あんた、こんな私の面倒見てるんだからそんな奴じゃないでしょ」
「……」
『どんなに忘れても残るもの』
921
大学の友達と帰る途中
不審者が出る道
いた
半裸の大男、あれ?
「道満じゃん」
「藤丸あれ不審者!!」
「不審者が出ぬよう見張を!」
「いや道満が不審者だから」
「…知り合い?」
「藤丸立香の下僕なれば!」
「ヤバ…」
「誤解を招く表現やめて」
…
次の日例の道で
下半身露出した男性の変死体が
922
藤丸立香は結婚した
だが相手が悪かった
「殴られた、料理が口に合わなかったらしい」
「殴られた、服に皺があったらしい」
「でもいつか、変わってくれるはず」
…
「殴られない!ご飯も食べてくれる」
「優しい!心を入れ替えてくれたんだ!」
(そうです、文字通り心を入れ替えたのです、拙僧と)
923
聖杯戦争で召喚されたジャック
「おかあさん、どこ?」
「うぎゃあ、おぎゃあ」
目の前には死んだ母親と、泣き叫ぶ赤子
赤子の手には小さな令呪
ジャックは赤子を抱く
「よかったね、産まれてこられて
願い?分かるよ
「生きたい」だよね
わたしたちと同じ、だから叶えてあげる
、小さなおかあさん」
924
「魔力使うとおかあさん死んじゃうな…そのへんで食べて補給しよう」
「うぎゃあ」
「おかあさんのミルクもいるね…」
…
「ミルク下さい」
「お嬢ちゃん偉いね」
「お母さんがのむの」
「え?」
…
「わたしたちの願いはおかあさんが生きること、おかあさんを保護してくれるなら、自害してもいいよ」
925
お盆の夜夢
死んだ父が帰ってきた
知らない男と共に
「いや誰!?」
「道満、地獄で何でも屋一緒にやってる」
「父さん地獄いるの!?」
「成り行きでな
馬が疲れてるよ〜道満が重いせいだ」
「そんな事ないですぞ〜あ、いただきます」
「供物勝手に食うな!」
…
「父さん…地獄にいた」
「えっ!?」