1051
異聞帯の王と戦い樹を切除
この世界は終わる
それをしった親子たち
「この子だけでも一緒に」
…それはできない
「なら名前だけでも」
「マリア」「トーマス」「ヨシュア」「ガブリエラ」
時間まで名を書きとめ、頭を撫でた
「さよならリツカ」
「さよならマシュ」
「ずっと僕らのこと覚えててね」
1052
「…マシュを返せ」
「何をいっているの?あの子はここにいるわ いまも 混ざり合っているだけ」
「あの子の小さな願いを叶えにきたの
さあ、ここは人理焼却の炎もいかなる魔の手も届かない
完全に閉ざされた、永遠の楽園
もうどこにもいかなくていいの!
ずっとここで暮らしましょう!先輩!」
1053
強敵と戦闘中
「うちに任して先いきよし」
「!?でも酒呑童子さっき宝具食らって」
「なに見てはるんだか
当たっとらんよ、ピンピンしとるさかい…早よ」
マスター達が去った後
彼女の首が ずるりと落ちた
「流石に魔性特効は痛いわぁ」
宝具は当たっていた
「戦闘続行
うちここからが長いでぇ?」
1054
今回ガーデン級で九十九鏡が落ちる
やった!と
喜んでいたがサーヴァントはそれを覗くと叩きつけ割った
「式部のスキル用の…」
「あれは九十九から百になっておりました
物の怪に成り果てて」
たまにあるらしい
マシュは一度割る前に「百」の鏡を見たことがある
「映っていたのは先輩の死に顔でした」
1055
その後カルデアでは
毎月その日にパンケーキを焼いて部屋を飾り
顔も影も見えない異界の主人を招くようになった
サーヴァントにも好評のお祭りのようになったが、1つだけ厳格な決まりがあった
「もし声が聞こえてたら
内容に関わらず
いまはまだ行けませんと
必ずその場で声に出して断わること」
1056
よく扉の外に血まみれのリツカ達がいる
勿論うちのじゃない どっかの世界のしんだあいつら
「やっと帰ってきた!」って目を輝かせて入ろうとすんだよ
だから、どうすると思う?
塩と酒ぶちまけ罵って追い返すんだ
暫くやってりゃ帰ってく
絶望に顔を歪ませ、泣きながらな
…正直二度とやりたくないよ
1057
「やくそくっ
やくそくよ ふふ
破ったらひどいんだから…
でもしってる 怖がって来ないような人たちじゃない
だから 愛したの」
タイトル
【まもり神】
1058
サポートに出したサーヴァントが消え
1週間ほど経った頃、フレンドから手紙が
「この度はありがとう
おかげで随分助かりました
皆喜んでいます
余った分をお返しします」
いくつかの素材が添えられて
それを見たダヴィンチちゃんが零した
「残念だがもう戻らないだろう」
「これは彼の体の一部だ」
1059
戦闘後マスター達がボーダーに帰ってこない
ピピッ
「私達やることがあり遅くなります」
「む?町にでも寄るのかね」
「いいえ、今から首を吊らなければならないので」
所長の怒号が響く
「すぐ行くから座って待ってなさい!」
座標につくと呆けた2人を回収した
「暫く立入禁止、くびれ鬼が出たな」
1060
「絆6以上の最終再臨させたサーヴァントを変換して得た呼符を使うと必ず目当てのものを喚べる」
ネットで話題の召喚方法を見たマスター
3基を選択、震える指で座に
入手した呼符で回すと虹回転
「やった!本当だった!」
画面に映った待望のサーヴァントは微笑んだ
「「「ただいま、マスター」」」
1061
「昨日私もマシュもしわしわのおばあちゃんになった夢みた
所長も髭の長いおじいさん」
「何ィ!」
「お餅食べたら所長の入れ歯がとれて皆大笑い」
「失敬な!歯磨きは欠かしてないぞ!」
「…マシュ泣いてるの?怒った?」
「いえ 余りに幸せな夢で 」
「そこまで皆で生きられたらどんなにいいか」
1062
「しかしおどろいたよ
一年後のおれはアビゲイルを引いているのか?」
「ええ!ええ!勿論!
今から半年後にピックアップがあるの!そこで何人も何人も私をよぶの!」
そりゃすごい
それで悲しんでる過去のマスターにチョコを渡しにきたのか
でも、友達がいっていた
アビゲイルのチョコと
形が違うな
1063
「寒いね」
マシュも私も体が潰れている
出血が酷く半日持たない
でも数時間は持つ 三画失った令呪はあと一時間でひとつ回復する
(マシュを治してからしねる よかった)
気づくとベッド
令呪で回復したマシュが運んだ
「先輩の体は一度きりなんです!」
それでも
(あなたが生きていてよかった)
1064
「あれ、割とシャレにならないものだったよ そこでは有名なヤツさ」
検査を終えダヴィンチちゃんは言った
「それをひと睨みで…大したものだ!」
それをえへん!という顔できく坂本さん、何でおまんが…と言いたげな以蔵さん
山盛りのカエルをペロリと食べるお竜さん
とっぴんぱらりのぷう おしまい
1065
調査が進むにつれ奇妙な事がわかった
詰められたボンボンが数回に分けて作られていた、いや
作り足されていた
「あれま 肺抜いたら結構入るわ
これじゃ足りひん」
「もっとつくらなあかんね」
腹一杯食べたいなぁ!
「はいはい ちゃあんと腹一杯にしたるさかい ええこ、ええこ」
1066
「だめだったね」
「だめでしたね」
「攻め込んだけど皆全滅 立て直しも不可能」
「令呪のあった腕は千切られて」
「私も決戦の損傷で」
「あと一日もたないね、私達」
「はい」
「…無責任だよね、皆ごめん」
「マシュ、手 握ってくれる?」
「はい」
「じゃあ行きますか」
「はい、先輩」
1067
ある異聞帯で村を訪れると人々が自分達を知っていた
【カルデアの者】とは違う自分とマシュそっくりの二人が村に来て去って行ったという
「後から来る同じのは悪い人なのでころして下さい」と言い残し
何故しなかったのか聞くと
「奴ら影が無かった 化け物じゃ」
去った後村から子供が1人消えたらしい
1068
「ない…ない…」
マイルームに子供の霊
泣きながら何か探す
「大切なものでしょうか」
「一緒に探せば満足するかもしれません!」
マシュとベッドに
その夜
「ない…」 来た
「ねぇ、何探してるの?」
尋ねるとゆっくり振り返る
「ないの…どこにも…私の
せかい」
異聞帯で会った子供の顔だった
1069
「おっさんこの非常時になにやってんだよっ!」
口では怒っていても嬉しそうなムニエル
レーションを丁寧にフォークとナイフで食べ
水を飲み干すと所長がうやうやしく継ぎ足した
「こんな誕生日も楽しいですね」
マシュが目を細めて笑う
異聞帯に向かうほんの僅かの穏やかな1日
1070
マシュの血は赤かったですね
赤い血が流れていましたね
それはきっと、当たり前のことかもしれない
でも、本当にそれを実感出来ていたでしょうか
血の流れないエフェクトのゲーム画面から、実感出来ていたでしょうか
あの子の赤い血は今もどこかで流れ続けている
我々に見えないだけで
1071
「無理だろうけど、全部終わったら2人で普通に暮らしたいね」
「はい」
「アルバイトして交代でご飯作って、疲れた時はお惣菜」
「一緒に服を買って、帰りに人気のパンケーキ屋に並ぶの」
「素敵です」
戦闘不能のオルテナウス
マスターは足が折れ動けない
猛吹雪の中
2人は寄り添って夢の話をした
1072
ローマ兵に襲われた
連戦で戦えるものもおらず追い詰められ
槍がマシュに刺さろうかという時
とっさに彼の首にドロップしていた万死の毒針を突きたてた
「…助かった」
でもそこで毒針の効果を思い出した
すぐには死ねず数多の死を繰り返し魂までも朽ち果てる
「ごめん…私達がもっと強ければ」
1073
周回から戻るとマシュが青い顔で近寄る
「お怪我は!?今までどこに?」
「え いつものクエストだよ」
「どなたとですか?」
「いつものメンバーだよ フニャカガホと黒髪長足とサナヤーラランと」
「…その名前のサーヴァントはここにいません」
「ほんとだよほんとだよほんとだよ」
先輩は昏倒した
1074
マシュとカルデアに帰る途中
後ろから声
「はやく先いってよ」
「!」
「はやくいけ」
走ってもついてくる
「はやく」
「追い越して下さい!」
「やだよ」
もう動けない、その時
「いえ、貴方が先に逝くのです」
キンッ
いつの間にか合流した頼光が俺達の背後の空を切った
それきり声はなくなった
1075
「…な〜にをやってるんでちか!ほら早く起きてあっちにいくのでち!」
…あっち?
「えっ!?どうしてここにいるのかしら!?…嬉しいけど、まだ早すぎるのだわ、さぁあっちに」
…どっち?
「こっちじゃないでち!」
「違うのだわ!」
あ、こっちか…
ピッ ピッ
「マスター意識戻りました!」