高齢を理由に仕事を解雇されて(私もそろそろ…)と考える人、申請を受け付ける市役所の親切な青年、逝く日までを親身にサポートするコールセンターのスタッフ。誰もが「プラン75」という仕組みの中で物を考え、生きている。だけどほんとうは、彼らが扱っているのは自分の、他人の、命そのもの。
カンヌ映画祭「ある視点」部門でカメラドール スペシャルメンションを受賞した『PLAN 75』12/23(fri)から上映です。主演の倍賞千恵子が、プラン75がなければ当然迷わず生き続けるだろうし、あれば迷って検討するであろう、ただの一市民をただそのままに、見事に演じています。
初代ジェームズ・ボンド役でダンディを極めてしまったショーン・コネリーがおもむろに赤ふんどし&胸毛&弁髪という320年ほど時代を先取った着こなしで2293年の撲滅戦士をひどく生真面目に演じた1974年の映画を上映します。SF映画史に残りそうで残らない、少し残ったカルトSF映画。癖になる味わい。
知性と理性が極まった【永遠人】たちは巨大ドームの中でとこしえを生き、外界では彼らが建立した浮遊巨大神像ザルドスを崇める野蛮な【撲滅戦士】たちが力なき【獣人】の殺戮に明け暮れる。それが2293年の世界。戦士の1人が不可侵のドーム内に到達し、永遠人とのファーストコンタクトを果たすまでは―
この手の映画が大好物な方はもちろん未体験の方も、巨大神像ザルドスの圧倒的すぎるビジュアルインパクトや、深淵なのか深淵「風」なのか判然としない形而上学的ストーリーを存分にお楽しみください。『未来惑星ザルドス』12/23(fri)より一週間限定上映です。
カメラが彼女を、中絶が違法だった60年代フランスで望まぬ妊娠をしたのに相手の男含め誰からも助けてもらえない大学生の彼女だけを、撮り続けるので、次第次第に自分が彼女であるような感覚になって、刻々と時が進む12週間、恐怖を、怒りを、そして未来への情熱を、自ら体感していく映画を上映します。
一週間また一週間と、物語は進む。お腹が膨らむ。あなたには将来の夢がある。一週間経過。大学を中退して出産すれば夢はそこで終わる。一週間経過。明言さえ避けられ中絶が「あのこと」と表現される時代。一週間経過。誰にも言えず、言っても助けてはくれない。一週間。時が進む。もう決断しなくては…
ベネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『あのこと』。IMAXではないし、4DXでもないし、3Dでもない。だけどこれは本当に圧倒的な映画体験になると思います。今冬上映予定。今年ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーが、自らの体験をもとに書いた短編が原作です。
望まれない娘として早くから1人で生きていたら両親が事故で亡くなって、面識のない、そして愛されて育ってきた6歳の弟と暮らすことになる映画を上映します。厄介なのは養子に出すのは反対するくせ引き取る気はない親戚たち、わがまま盛りの弟、そして何より、苛立ちながらも弟に情が湧いちゃう、自分。
大学同期の親友同士という気鋭女性監督と脚本家が生み出したこの映画は、中国の一人っ子政策と家父長制の中でSNSを中心に大きな共感と感動を呼び、2週連続No.1になりました。日本でも(これは私の映画だ…!)と感じる人は多いはず。 『シスター 夏の分かれ道』12/23(fri)より
ヤバい奴Aから大金借りてその金でヤバい奴Bからドラッグ仕入れてヤバい奴Cに倍額で売る、という計画なのに弟分がドラッグ紛失してヤバい奴AとCをキレさせた男がベルファストの闇夜を車で奔走しながらハンズフリー通話だけで事態収束に努める様を94分間ノンストップ撮影した超面白い映画を上映します。
恋人と共に裏社会から足を洗うため最後の取引を計画した男。弟分が盗まれたドラッグ満載のバンを探しつつ、手を引くと言い出した買い手を説得しつつ、一秒でも返済が滞れば命すら取る金貸しの影を警戒する。この究極のマルチタスク・クライムムービーを観始めたら、次にあなたが一息つけるのは94分後。
ロックダウン下のベルファストで1日11時間のリハーサルを一週間重ねた末に、実際に夜の市内で撮影に挑んで完成させた衝撃作『ナイトライド 時間は嗤う』は12/23(fri)より上映です。主人公以外のほぼ全員が【通話口の音声だけで映画に登場しない】のが余計に緊迫感を煽る。
2人が(明日の朝に人生が一変する)と強く思った2つの晩、つまり人生でいちばん暖かく幸せだった【結婚前夜】と人生でいちばん冷え切って不幸せな【離婚前夜】、を交互に描くという、温度調節どうかしてるコンセプトのミュージカル映画を上映します。10年の歳月、テムズ川の流れだけが変わらなかった。
小さい頃に視力を失ったけれど家族の、とりわけお母さんの愛情を受けながらまっすぐに育って、親元を離れての高校生活も謳歌していたのだけど、ある時、耳が、聞こえなくなっていく映画を上映します。光と音を失った息子と、彼とのコミュニケーションのため新たな"手段"を考案した母の物語。実話です。
喧嘩も人気も学校内最強の男が不祥事で少年院に行ってそこでも無双するインド映画を上映します。ちなみに学校といっても高校じゃなくて名門大学だし、学内最強の男は生徒じゃなくて教授だし、少年院では悪ガキを更生させまくるし、紆余曲折の末に地元ギャングと徹底抗争するし、ポスターのポーズがこれ
タイトルは『マスター 先生が来る!』で、今冬上映です。ご覧の通り写真だけでは何がどうなってこうなるのかストーリーがまるで分からないと思いますが、少年院に乗り込んで更生させまくってギャングと闘います。もちろん歌うし踊る。
写真では分からないので予告編をご覧くださいと言いたいところですが、予告編を観ても何がどうなってこうなるのかストーリーがまるでわからないですね。先生の【凄み】しか分からない。【凄み】を味わってください。主演は次世代スーパースターの"大将"ことヴィジャイ。
のどかなアイルランドの島で暮らすおじさんが理由もなく親友のジイさんから絶交される映画を上映します。不穏。ジイさん理由教えてくれず「今度話しかけたら自分で自分の指を切り落す」とまで言い出す。不穏。ご近所のバリー・コーガンは「ハッタリかもだし指1本分試したら?」とか言い出す。言いそう
今年のヴェネチア国際映画祭で脚本賞と男優賞の2冠を達成し、先月公開された北米、イギリス、そして舞台のアイルランドで大ヒットとなっている『イニシェリン島の精霊』1/27(fri)公開です。まずは予告編をどうぞ。すでにめちゃくちゃ面白そうですね。
この不穏さ、展開の予測不能さに対する謎のワクワク感、そしてオフビートでダークなユーモア。そう、これは『スリー・ビルボード』マーティン・マクドナー監督の最新作。コリン・ファレルとブレンダン・グリーソン演じる両者の友情破綻は、アイルランド内戦の戦火が及ばぬ島の平穏に何をもたらすのか。
『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が宿願だった映画を完成させたので上映します。ウェス・アンダーソンとも組んでいるストップモーションアニメ界のレジェンド、マーク・グスタフソンと共に命を吹き込んだのは、世界で一番有名な木でできた少年の物語。
団地に住んでる250匹の猫ちゃんがお引越しするドキュメンタリー映画を上映します。発端はアジア最大級の巨大団地取り壊し。特定の飼い主がおらず住民全体で面倒見ていた猫たちの大ピンチに、団地有志で移住計画を立てることに。とはいえこの難事業、何から手を付けたものか。まず250匹を見分けなきゃ!
沢山のことを考えさせ、感じさせてくれる映画です。団地という共同体が消えるとき人々が失うものって何だろう。猫かわいい。人が考える動物の幸せと実際の彼らの幸せは同じなのかな。猫かわいい。プロジェクトを進める時の意識共有やミッション設定って難しい。猫かわいい。それからええと、猫かわいい